ニュースレター

2005年12月01日

 

温暖化防止に向けて、企業と市民の取り組み

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JFS ニュースレター No.39 (2005年11月号)

日本は、2005年2月の京都議定書の発効を受け、温室効果ガスの6%削減という約束を達成しなくてはなりません。日本の温室効果ガス全体の基準年(1990年)排出量は12億3700万トン-CO2であり、6%削減を達成するには、第1約束期間(2008年-2012年)における排出量を年間11億6300万トン-CO2に減らす必要があります。しかし、2003年度における排出量は13億3700万トン-CO2、基準年比8.3%の増加となっており、削減約束との差は14.3%と広がっているのが現状です。

部門別に見ると、排出量の約2割を占める業務その他部門、約1割を占める家庭部門、約1割を占める運輸(自家用自動車)部門からの排出量が大幅に増大しています。オフィスや家庭におけるエネルギー消費量の増大、旅客需要の増大などがその背景です。

ここでは、企業や自治体の取り組みを見てみましょう。

日本の企業、特に製造業は、1970年代の石油危機を契機として多大な省エネ努力を行ってきました。その結果、GDP当たりの一次エネルギー消費量は改善され、世界のなかでも優位に立っています。こうした努力は温暖化防止対策にも受け継がれ、成果を上げています。 富士ゼロックスは、関連会社を含む国内事業所全生産工程から、1990年度時点において14万5000トン(CO2換算値)の温暖化ガスを排出していましたが、2003年度には11万1000トンと、1990年に比べ23%も削減しました。また、2005年4月にはCO2以外の温暖化ガスの使用を全廃しています。
http://www.japanfs.org/db/1038-j

東芝グループでは、「エネルギー起源CO2排出量の実質生産高原単位を1990年度比で2010年度に25%削減する」目標を達成するために、2010年度の排出予測値に対して年間50万トン程度のCO2削減をめざして取り組みを進めています。
http://www.japanfs.org/db/1158-j

このような自社や工場での温室効果ガス排出量の削減に努力するだけではなく、製品の使用段階でのCO2排出量を削減するための省エネ製品の開発にも、製造業は力を入れています。たとえば、冷蔵庫は家庭で使う電力消費量の約20%を占めていますが、その省エネ性はここ数年大きく進歩し、多くの機種では10年前と比べると電力消費量が1/3から1/6に減っています。 また、近年日本の家庭へ浸透している食器洗浄器では、日立ホーム&ライフソリューション「ナノスチーム浸透洗浄」方式を採用した食器洗い乾燥機を発売し、手洗いと比べて、電気またはガス、水道水などを合わせたCO2排出量を年間約65%も削減できます(7人分:食器60点)。
http://www.japanfs.org/db/1106-j

家庭での燃料電池による発電と給湯のコージェネレーションシステムの導入・実用化も大きく進展しています。2005年度には東京ガスをはじめ、各社が一般家庭にこのシステムを設置し、稼動時のデータ提供などの協力を得て本格的な普及を目指しています。
http://www.japanfs.org/db/696-j
http://www.japanfs.org/db/908-j
http://www.japanfs.org/db/931-j
http://www.japanfs.org/db/1161-j

こうしたCO2削減に有効な機器の採用を促すため、日本政策投資銀行は電力会社などと組んで、2005年4月から省エネ性能の優れた家電、給湯器、自動車などを家庭にリースする事業を支援する制度を設けました。省エネ製品を開発するだけではなく、それを普及する取り組みや制度があってはじめて、社会の環境負荷を下げることができるのです。
http://www.japanfs.org/db/982-j

自治体でも、市民や企業のCO2削減活動を促すしくみづくりに取り組んでいます。たとえば、東京都は2002年1月、「環境基本計画」のなかで、2010年までに東京都の温室効果ガス排出量を1990年比6%削減するという目標を掲げ、同年2月から、「地球温暖化阻止!東京作戦」という独自の対策を開始しました。
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/027307.html

2005年1月には環境確保条例を改正し、一定規模の事業者に対しCO2排出量の削減目標の設定を義務化する等を決めました。また、企業等と連携して対策プロジェクトの推進を決めましたが、その1つとして都内百貨店への共同配送が実施されています。

計画通り、2005年度内に都内の関東百貨店協会加盟15社(30店舗)すべてが導入すれば、納品車両台数で最大5割の削減が期待され、混雑緩和とCO2排出量年間4000トン削減が見込まれています。
http://www.japanfs.org/db/889-j

ほかにも岩手県など多くの自治体で、地球環境に配慮した取り組みを積極的に行っている事業所を認定する制度を設けるなどして、企業の取り組みを促進しています。また、滋賀県の「省エネ・お得ポイント」事業のように、市民の活動を促進する取り組みもおこなっています。この事業は、参加する家庭の今年の電気使用量が昨年よりどれだけ減ったかによってグループ活動資金を支給し、温暖化防止意識向上に加えて、家庭の電気代節約、グループ活動を支援するものです。
http://www.japanfs.org/db/1095-j

日本の企業、特に製造業は、1970年代の石油危機を契機として多大な省エネ努力を行ってきました。その結果、GDP当たりの一次エネルギー消費量は改善され、世界のなかでも優位に立っています。こうした努力は温暖化防止対策にも受け継がれ、成果を上げています。

富士ゼロックスは、関連会社を含む国内事業所全生産工程から、1990年度時点において14万5000トン(CO2換算値)の温暖化ガスを排出していましたが、2003年度には11万1000トンと、1990年に比べ23%も削減しました。また、2005年4月にはCO2以外の温暖化ガスの使用を全廃しています。
http://www.japanfs.org/db/1038-j

東芝グループでは、「エネルギー起源CO2排出量の実質生産高原単位を1990年度比で2010年度に25%削減する」目標を達成するために、2010年度の排出予測値に対して年間50万トン程度のCO2削減をめざして取り組みを進めています。
http://www.japanfs.org/db/1158-j

このような自社や工場での温室効果ガス排出量の削減に努力するだけではなく、製品の使用段階でのCO2排出量を削減するための省エネ製品の開発にも、製造業は力を入れています。たとえば、冷蔵庫は家庭で使う電力消費量の約20%を占めていますが、その省エネ性はここ数年大きく進歩し、多くの機種では10年前と比べると電力消費量が1/3から1/6に減っています。

また、近年日本の家庭へ浸透している食器洗浄器では、日立ホーム&ライフソリューション「ナノスチーム浸透洗浄」方式を採用した食器洗い乾燥機を発売し、手洗いと比べて、電気またはガス、水道水などを合わせたCO2排出量を年間約65%も削減できます(7人分:食器60点)。
http://www.japanfs.org/db/1106-j

家庭での燃料電池による発電と給湯のコージェネレーションシステムの導入・実用化も大きく進展しています。2005年度には東京ガスをはじめ、各社が一般家庭にこのシステムを設置し、稼動時のデータ提供などの協力を得て本格的な普及を目指しています。
http://www.japanfs.org/db/696-j
http://www.japanfs.org/db/908-j
http://www.japanfs.org/db/931-j
http://www.japanfs.org/db/1161-j

こうしたCO2削減に有効な機器の採用を促すため、日本政策投資銀行は電力会社などと組んで、2005年4月から省エネ性能の優れた家電、給湯器、自動車などを家庭にリースする事業を支援する制度を設けました。省エネ製品を開発するだけではなく、それを普及する取り組みや制度があってはじめて、社会の環境負荷を下げることができるのです。
http://www.japanfs.org/db/982-j

自治体でも、市民や企業のCO2削減活動を促すしくみづくりに取り組んでいます。たとえば、東京都は2002年1月、「環境基本計画」のなかで、2010年までに東京都の温室効果ガス排出量を1990年比6%削減するという目標を掲げ、同年2月から、「地球温暖化阻止!東京作戦」という独自の対策を開始しました。
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/027307.html
 
2005年1月には環境確保条例を改正し、一定規模の事業者に対しCO2排出量の削減目標の設定を義務化する等を決めました。また、企業等と連携して対策プロジェクトの推進を決めましたが、その1つとして都内百貨店への共同配送が実施されています。

計画通り、2005年度内に都内の関東百貨店協会加盟15社(30店舗)すべてが導入すれば、納品車両台数で最大5割の削減が期待され、混雑緩和とCO2排出量年間4000トン削減が見込まれています。
http://www.japanfs.org/db/889-j

ほかにも岩手県など多くの自治体で、地球環境に配慮した取り組みを積極的に行っている事業所を認定する制度を設けるなどして、企業の取り組みを促進しています。また、滋賀県の「省エネ・お得ポイント」事業のように、市民の活動を促進する取り組みもおこなっています。この事業は、参加する家庭の今年の電気使用量が昨年よりどれだけ減ったかによってグループ活動資金を支給し、温暖化防止意識向上に加えて、家庭の電気代節約、グループ活動を支援するものです。
http://www.japanfs.org/db/1095-j

また、京都議定書誕生の地である京都市は、世界67カ国約470自治体が加盟する自治体の組織イクレイの協力を得て、地球温暖化対策に特化した世界的な自治体ネットワーク組織「気候変動に関する世界市長協議会(仮称)」の設立を呼びかけています。京都議定書に掲げる削減目標を達成するための都市間ネットワークを広げることを目指す「日本から世界へ」の動きです。
http://www.japanfs.org/db/1084-j

最後に、温暖化防止に向けての日本独自のツールともいえる「環境家計簿」を紹介しましょう。家庭での電力・ガス・水道の使用量やごみの量などを計測し、「どのくらいのCO2を出しているか」を把握するしくみですが、日本では自治体や企業、市民団体などが広く取り組んでいます。

環境家計簿は、当初環境省が作成しました。「計画し、実行し、振り返って、次の計画に活かす」というPDCA(Plan-Do-Check-Action)のマネジメントシステムを使いやすくくふうしています。市民一人一人が自らの日常生活と環境とがどのように関わっているのかを知り、自分の生活にともなって生じる環境への負荷を減らし、環境にやさしいライフスタイルを実行していくために、とても役に立ちます。

山口県下関市には、各家庭におけるCO2排出量をインターネット上で計算できるようにした「インターネット版環境家計簿」があります。各自の家庭で使用する電気、ガス、水道、灯油、ガソリン、軽油の使用量を入力することにより、家庭から排出されるCO2排出量を把握でき、また利用者全体の平均や同人数世帯との比較もできます。さらに、平均的な世帯とのエネルギー支出の差がわかる「エコへそくり」コーナーもあります。
http://www.japanfs.org/db/654-j

松下電器は、従業員と家族で環境家計簿にも取り組んでいます。1998年の開始当初は3300世帯だった参加家族も、2003年度は2万7000世帯となり、1世帯当たりの年平均CO2排出量を前年より23%削減できました。
http://www.japanfs.org/db/559-j

ヤマハ発動機は、数年前からエコライフノート(環境家計簿)に取り組む中で、通勤時のガソリン使用量の多さが浮き彫りになったことをきっかけに、2004年12月に「エコ通勤」制度を導入しました。2005年1月から、2km以上の徒歩通勤と自転車通勤に月額1000円の手当てを支給し、公共交通機関の乗継通勤手当(パークアンドライド)を新設し、通勤バスを増便しました。制度導入後、徒歩通勤は60人ほど増加し、好評とのことです。
http://www.japanfs.org/db/992-j

日本ではこのように企業の自主的な努力や自治体の促進策などによって、各社・各自が取り組みを進めています。しかし、14%以上の削減をおこなうためには、炭素税や再生可能エネルギーの買い取り義務制度などを含め、税制や制度の大きな転換も必要となってくることでしょう。


(小柴禧悦、枝廣淳子)

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