ニュースレター

2002年12月01日

 

運輸部門でのさまざまな取り組み

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JFS ニュースレター No.3 (2002年11月号)

上述したように、日本の二酸化炭素排出量の2割強を占め、かつ、90年以降もっとも高い増加率を示しているのが運輸部門です。

他国と比べて、日本の交通・運輸部門の大きな特徴のひとつは、鉄道が発達していることです。全世界の鉄道利用者の約40%は、日本の鉄道会社を利用しています。世界全体での1日当たりの鉄道利用者は1億6000万人ですが、日本では毎日6200万人が鉄道を利用しています。

しかし、日本国内の1999年の輸送手段別のデータによると、
・ 自家用乗用車 56.4%
・ 自家用貨物車 11.3%
・ 営業用貨物車 16.7%
・ タクシー    1.7%
・ バス      1.7%
(自動車合計    87%)
・内航海運     5.5%
・航空       4.0%
・鉄道       2.7%
と、9割近くを自動車が占めていることがわかります。

ちなみに、日本の交通機関別の二酸化炭素排出量を見ると、人ひとりを1km運ぶときに出る二酸化炭素の量は、鉄道が18g、バスが99g、航空が110g、自家用乗用車は172gとなっています。

自動車の燃費向上は技術的には進んでいますが、消費者がより大型の自動車を志向するようになっていることから結果的には燃費悪化につながっています。また、自家用車保有台数の増加も、自動車からの二酸化炭素排出量増加の要因です。(日本の自動車保有台数は、1970年には約1653万台でしたが、80年には約3733万台、90年には約5799万台、2002年8月末には約7684万台となっています)政府の地球温暖化対策推進大綱では、以下のような対策による輸送部門からの二酸化炭素排出量削減を考えています。
・自動車の燃費の改善など 400万トン
・トラック輸送の効率化  250万トン
・公共交通機関の利用促進 160万トン
・情報通信を活用した交通代替の推進 110万トン
・ITSの推進           110万トン
・化石燃料(ガソリン・軽油)以外のエネルギーによる自動車の開発 90万トン・交通需要マネジメント(TDM)施策の推進 10万トン
など。

ここ1-2年、特に加速して取り組みが進められているのは、企業の物流再編・モーダルシフトです。たとえば、

電機・情報各社、CO2削減へ物流再編 
http://www.japanfs.org/db/29-j

沖電気 物流のCO2抑制へ
http://www.japanfs.org/db/77-j

シャープ、モーダルシフトを加速  
http://www.japanfs.org/db/66-j

各企業は、地球環境保全のためだけにモーダルシフトや物流再編を行っているわけではありません。コスト削減などによって企業経営にもプラスになるとして、積極的に推進をしているのです。

たとえば、日産自動車では、関東から九州の工場までの間の部品輸送に関して、トラックから船舶に転換することにより、輸送時間は22-26時間が41-44.5時間へと延びるものの、輸送費31%、作業量は76%、エネルギー41%、二酸化炭素排出量39%の削減効果があるとの検討結果を明らかにしています。

市場では競合している企業が、共同配送などで物流再編を協力して行っている事例もいくつもあり、今後もこの動きは続いていくものと思われます。

政府や諸団体でも、物流・流通業界が環境負荷低減に取り組むよう、マニュアルやガイドなどを作成するなどして支援しています。たとえば、

トラック運送事業におけるグリーン経営推進マニュアル、完成
http://www.japanfs.org/db/133-j

国土交通省、環境調和型ロジスティクスマネジメントシステムのマニュアルを作成http://www.japanfs.org/db/159-j

省エネ運転で年間1万8000円も「お得」に! 
http://www.japanfs.org/db/44-j

自治体でも、自動車利用を少しでも減らそうという取り組みを進めています。たとえば、

名古屋市、職員のマイカー通勤を禁止
http://www.japanfs.org/db/130-j

高松市で放置自転車をリサイクルして活用
http://www.japanfs.org/db/1-j

また、NGOもユニークな活動を始めています。たとえば、
「自転車タクシー」の営業始まる  
http://www.japanfs.org/db/98-j

欧米で取り組みが進んでいるカーシェアリング(自動車共同利用)も、「所有から機能・サービスへ」の意識変革を進めるきっかけとなるとともに、実際に二酸化炭素排出量の削減など、環境負荷を下げることが知られていますが、日本では、既存の法規制や現行の社会システムとの関連もあり、これまでは実験的な取り組みや、自転車の共同利用の取り組みが主です。たとえば、
大学で、カーシェアリング
http://www.japanfs.org/db/124-j

ホンダ、電動アシストサイクル共同利用システムを発売 
http://www.japanfs.org/db/26-j

東京での自転車共同利用実験も  
http://www.japanfs.org/db/90-j

ホンダ、シンガポールで会員制の自動車共同利用システムを開始
http://www.japanfs.org/db/33-j

日本初の民間カーシェアリング会社、営業始まる 
http://www.japanfs.org/db/104-j

最後の記事に書いてあるように、「成長ベンチャーとして注目されている米国に比べ、日本では、経済産業省や国土交通省が推進役となり、電気自動車など低公害車の普及と結びつけてカーシェアリングを推進していることが特徴」ですが、今後の取り組みの広がりが注目されています。

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