ニュースレター

2015年04月20日

 

環境未来都市、4年目の取り組み

Keywords:  ニュースレター  市民社会・地域  政策・制度 

 

JFS ニュースレター No.151 (2015年3月号)

世界の各地で、新しい都市づくり・まちづくりが進められていますが、日本でも内閣府が「環境未来都市」構想を展開中です。JFSでもかねてより取り上げている「環境未来都市」の4年目の取り組みについて、担当者からの情報をお届けします。


「環境未来都市」構想とは

「環境未来都市」構想の基本コンセプトは、「環境・超高齢化対応等に向けた、人間中心の新たな価値を創造する都市」を実現することです。すなわち、我が国及び世界が直面する地球温暖化、資源・エネルギー制約、超高齢化対応等の諸課題を、持続可能な社会経済システムを構築しつつ、また社会的連帯感の回復を図りながら解決し、新たな価値を創造し続ける「誰もが暮らしたいまち」「誰もが活力があるまち」を実現し、人々の生活の質を高めることです。このビジョンの下、2015年3月現在34の環境未来都市・モデル都市が認定されています。

環境未来都市・モデル都市

現在全国で11の都市が環境未来都市として認定されています。

図:環境未来都市図:環境未来都市(被災地域)

また、23の都市が環境モデル都市として認定されています。

図:環境モデル都市

2014年度の取り組み

国際フォーラム
内閣府はこれまで、「環境未来都市」構想への理解と協力の輪の拡大、国内外の先進的取り組みの共有、国際的ネットワークの構築と深化を目的として、年に一度「環境未来都市」構想推進国際フォーラムを開催してきました。2014年度は東松島市(宮城県)での開催に加え、ジョホールバル市(マレーシア)での開催にも成功しました。海外での開催は初の取り組みです。

 

東松島市の国際フォーラムは、2014年12月6日に開催されました。「レジリエンス向上と環境未来都市」をテーマとして開催し、東松島市と関係の深いデンマーク王国のA・カーステン・ダムスゴー駐日大使およびロラン市長に来賓として出席いただいた他、7名の海外招聘者等を招き、国内外から合計250名が出席しました。

前半セッションでは、東松島市長の阿部秀保氏から、東松島市の復興への取り組みと、平常時に培われたコミュニティの絆の重要性についてのお話がありました。

後半のパネルディスカッションでは、各都市や各分野の専門家が議論を交わし、建物・基盤などのハード面と、コミュニティ育成・意識形成などのソフト面の両方を包含する環境未来都市の取り組みが、レジリエンス向上につながっていくという共通理解が得られたとともに、今後の課題が確認できました。

 

ジョホールバル市の国際フォーラムは、「環境未来都市と持続可能な都市づくり」と題して、2015年2月8日に開催されました。開催都市であるジョホールバル市長のアブド・ラーマン・モハメド・デワム氏やマレーシア連邦政府住宅・地方自治省事務次長ハリミ・ビン・アブドゥル・マナフ氏、マレーシア国土開発庁長官ダリア・ビンティ・ロスリー氏などを初めとした来賓者にご出席いただいた他、日本、マレーシアをはじめ10カ国以上から約300名が参加しました。

マレーシア・ジョホール州では現在、国家プロジェクトとしてイスカンダル地域開発計画が進んでいます。これは建築・交通・都市のガバナンスなど、様々な側面から持続可能な都市づくりを目指すものです。この取り組みを通じ、マレーシアでは2020年には2005年比で40%の二酸化炭素排出削減を目指しています。

フォーラム当日は、日本とマレーシアの取り組み事例を交えながら、「環境未来都市」構想のマレーシアを初めとしたアジアの都市開発への活用可能性についての議論が行われたことに加え、両国のビジネスマッチングも活発に行われ、今後の都市間連携への手ごたえを得ました。

取材記事の作成
昨年度の富山市・東松島市に続き、環境未来都市の取り組みを取材し、記事を作成しました。この記事は、各都市の先進的な取り組みを紹介し、これから同様の取り組みを進めたいと考えている他都市の参考として利用することを目的としたものです。同時に、取り組み内容だけでなく、現場で活躍する人々に焦点を当て、各都市の魅力を広く知ってもらうことも目指しています。

先進技術を用いたスマートシティの取り組みは、柏市横浜市の取り組みが参考になるでしょう。北九州市の記事は、スマートシティの取り組みを海外に展開していく先進事例としても活用可能です。

富山市はコンパクトシティの取り組みが有名ですが、小水力発電にも取り組んでいます。地域発のエネルギーとしては、森林を活かしたエネルギー自給を進める下川町や気仙広域の事例も役立ちます。

被災地域の記事では、東松島市の一般社団法人東松島みらいとし機構(通称HOPE)や岩沼市の玉浦西地区集団移転の取り組みから、コミュニティ再生の手法について知ることができます。南相馬市「南相馬ソーラー・アグリパーク」では、現在のコミュニティのみならず、未来の人材育成にも目を向けています。新地町では、ITを電力の見える化のみならず、子どもたちの環境意識の向上にも役立てています。

被災地域の中でも、気仙広域では、高齢化が進む中、未来かなえ協議会を立ち上げ医療の改善に取り組んでいます。地域包括ケアの取り組みとしては、釜石市の在宅医療連携拠点事業の取り組みも参考になるでしょう。

これらの記事は、環境未来都市のホームページ上で「持続可能な都市のつくりかた」として公開しています。

以上の内容に加え、今年度は各都市の取り組みの経済波及効果を算出しました。「環境未来都市」構想も4年目を迎え、計画当初とは都市の抱える状況も変化しています。これらの変化に柔軟に対応しながら、適時計画の見直しと成果評価を行い、世界に誇れる成果を目指し、これからも取り組んでいきます。

〈参考〉
「環境未来都市」構想

〈JFS関連記事〉
誰もが暮らしたいまち「環境未来都市」構想
環境未来都市、東松島市で国際フォーラムを開催
環境未来都市、海外初の国際フォーラムを開催

(編集:スタッフライター 田辺伸広)

English  

 


 

このページの先頭へ