ニュースレター

2003年06月01日

 

児童も教師も - あさのがわグリーンプロジェクト(石川県浅野川小学校)

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JFS ニュースレター No.9 (2003年5月号)
シリーズ:環境教育の取り組み 第1回

「石川県、学校版環境マネジメントシステムを推進」というJFSの記事で紹介しましたが、石川県では小・中・高校で環境行動計画を策定し、実践する動きが広がっています。
http://www.japanfs.org/db/241-j

初年度に県から「学校版ISO」の認定を受けた金沢市立浅野川小学校の実践を紹介しましょう。浅野川小学校では、11クラスで257人の児童が17人の教職員と学んでおり(平成14年5月1日現在)「あさのがわグリーンプロジェクト」と名づけた環境保全活動を進めています。

プロジェクトでは、(1)省電力(CO2排出抑制)、(2)省燃料(CO2排出抑制)、(3)節水、(4)紙資源の節約、(5)ごみの減量化、(6)自然を大切にすること の6領域ごとに担当者を決め、年間を通して、(1)学習活動、(2)児童委員会活動・学校行事、(3)ふだんの学校生活、(4)地域との連携などの場面にできるだけ分けながら、実践をおこなっています。

その中から、節水の領域での児童の実践を紹介しましょう。6年生は2学期に、総合的な学習の「あさのがわ環境ISO」で、子供たちが自分たちが今できる環境保全活動や、これからも浅野川小学校に残していきたい取り組みについて、考えたり実践する学習をおこないました。

浅野川小学校は、その横を流れる浅野川の下流に位置していて、水はきれいとはいえない状態です。そのためか、児童の水への意識も高く、水を大切にしたいという強い思いを子どもたちは抱いています。

その中で、児童は「雨水の貯水タンク計画」を提案してきました。雨水を学校の数ヶ所に貯水して、掃除やビオトープ、トイレ、牛乳パック洗いなどに利用しよう、という計画です。児童の提案書には、場所や貯水タンクの大きさ、利用方法などが細かく計画されていました。現在、タンク1基が予算化され、設置されることになっています。

また、「節水コマ計画」も児童から提案されました。節水コマとは、水道の蛇口に取り付けて流量調節をするもので、日本では節水のために地方自治体が無料または格安で市民に提供するなどして、取り付けを進めています。児童は、この節水コマの効果を検証した結果、校舎内の水道栓に取り付けてほしいと学校に要望を出しました。そして、校舎内にある水道栓の約半分に取り付けられました。

節水については、委員会活動として、学校の水使用量を測定し、ふだんの学校生活では「水道の蛇口は確実に閉める」「ぞうきんはバケツで洗う」などを実践。また、浅野川小学校では、年間を通して「歯みがき運動」を実践しているのですが、これまでは、水を出しっぱなしでみがく姿が多かったことから、「コップ一杯の水運動」に児童会全体で取り組みました。

このような取り組みの結果、平成12年度から14年度のあいだに、児童・教職員一人あたりの水使用量は約9%減りました。

ごみの減量の領域では、児童会の委員会で、学校全体のごみと、給食の残さの重量を毎日測定しています。資源を有効使用し、ごみを減らし、給食を残さず食べることが目的です。

また別の委員会では、給食の残さをコンポストで堆肥化する取り組みをおこなってきましたが、植木鉢に堆肥入りの土と堆肥を入れない土をそれぞれ入れて、学校内の廊下数ヶ所に2つ並べて置き、花の育ち方が違うかを比べることで、学校全体の意識をあげる試みをおこなっています。

また、給食で飲んだ牛乳パックを洗って乾かし、リサイクルする運動は数年前から取り組んでいます。金沢市は最近、学校が牛乳パックをリサイクルした分をトイレットペーパーで学校に還元する取り組みをはじめました。自分たちのリサイクルの実践が目に見える形で戻ってくることはとても意義深く、児童の動機づけにもつながっています。

教職員がレールを敷いて引っ張るのではなく、子どもの発想による取り組みであるところに意味があると思われます。このように6領域のそれぞれで、学習や委員会活動、全校での実践をつなげて進めた結果、平成14年度の児童・教職員一人あたりの二酸化炭素排出量は、平成12年度に比べて、約18%も減りました。

浅野川小学校では、このような学校での活動や実践を1枚にまとめた「あさのがわISOだより」を発行しています。また、学校の掲示板に取り組みを紹介するスペースを確保しいたり、学校のHPにもコーナーを設けています。

学校の取り組みを紹介するだけではなく、環境保全への思いが広く市民に伝わり、少しずつ環境の輪が広がっていくことを願っているからです。

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