ニュースレター

2010年02月16日

 

人材派遣から人材ソリューションへ、活き活きとした企業と人こそが持続可能な社会を実現する ~ 株式会社 グレイス

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JFS ニュースレター No.86 (2009年10月号)
シリーズ:持続可能な社会を目指して - 日本企業の挑戦 第84回
http://www.grace-e.co.jp/

1995年の創業以来、環境関連の人材ソリューション事業会社として、広く知られる株式会社グレイスは、働きたい人と企業をつなぐ立場で社会の変化を見つめ、「ひとりひとりが活き活きと働ける、美しく豊かな持続可能な社会の実現」をミッションとして事業を行ってきました。

※ JFS関連記事:「働き方から変えていく」 - 人材派遣会社グレイス
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/027253.html

環境関連の求人サイト「環境job.net」を運営し、環境の仕事に詳しいマッチングディレクターが、企業と求職者を丁寧に結ぶ、グレイス独自の人材マッチング・システムが、利用者からの厚い信頼を得ています。

kankyo job.net
Copyright 株式会社グレイス


100年に一度と言われる大不況。世界的に景気が低迷する中、日本も今年7月時点での失業率が5.7%に達しました。2007年末から新たに約130万人が失業したことになり、雇用状況は一層厳しさを増しています。

そうした中での政権交代。鳩山首相は、第64回国連総会での一般討論演説で、日本が架け橋となって世界が取り組むべき「挑戦」として、気候変動問題を掲げ、「2020年までに1990年比25%削減」という、高いハードルを世界に公約しました。

厳しい経済環境の中で、国際社会と交わした約束をどのように果たしていくのか。この大きな変化のうねりの中で、環境を核とした人材ソリューション事業を展開するグレイスの果たす役割は大きいと考えられます。

人も企業も社会も地球も、すべてがあるべき姿を取り戻すために、今できること、しなければならないことは何か。人材派遣というスタンスから長く人と社会を見つめてこられた、代表取締役社長安井悦子さん、専務取締役の小川二美代さんのお二人にお話を伺いました。


持続可能な社会を実現するための人材ソリューション

JFS/green employment
Copyright 株式会社グレイス

環境系人材派遣というと思い浮かぶのが「グリーン雇用」という言葉です。グレイスは、15年前の創業当時から「グリーン雇用」という言葉を用いていますが、それは「環境」に特化していたわけではありませんでした。

「私たちは、『活き活き』という意味でグリーンという言葉を使ってきました。自分の仕事と社会とのかかわりを考えながら仕事に取り組むことで、自分の仕事の意義を見出し、活き活きと働けるようになり、それによって持続可能な社会が実現する。今は、環境が世界的な関心事です。そこで、必然的に環境系の仕事、環境意識を高めた仕事を提案・提唱するようになってきたのです」(安井さん)

環境問題に強い人材の育成は、政府にとっても重要なテーマです。環境省は大学や企業、NPOなどの有識者で構成される検討会を設置し、2008年3月に「持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン(アジア環境人材育成ビジョン)」を策定。ビジョンの実現に向けて動き出しています。安井さんは、この動きの中のプロジェクトの一つ、「環境人材育成コンソーシアム」の準備会の呼びかけ人も務めています。社会の課題に取り組みながら、環境保全を通じて仕事を創出し、経済を活性化させる人材を育成しようという同コンソーシアムのねらいは、グレイスのミッションとも重なります。
http://www.eco-lead.jp/index.html

「グレイスがどう動けば、環境をキーワードとした雇用促進につながるのかを常に考えています。人材派遣・人材紹介からさらに一歩進めて、持続可能な社会実現のための人材ソリューションを提案できる立場として、企業や働く人に貢献したいと考えています」(小川さん)


●企業の改正省エネ法対策を支援

その一つとして、グレイスは2010年4月1日より完全施行となる改正省エネ法に対応できる人材育成などを通じて、企業のエネルギー効率を高める支援事業をスタートします。

省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)は、第2次石油危機がきっかけとなって1979年に策定された法律です。今回の法改正では、CO2排出量の3割以上を占め、かつ年々増加傾向にある民生部門(家庭と業務)の省エネ対策を強化することが最大のねらいとされます。

その中でも、業務部門においては、工場や店舗などの事業所単位ではなく、企業全体のエネルギー使用量が年間1,500キロリットル以上の企業が対象になります。たとえば、コンビニエンスストアなど、1店舗ごとのエネルギー消費がさほど多くないフランチャイズチェーンも、対策を迫られることになります。対象となる企業には、エネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者を1名ずつ選任すること、定期的な報告、中長期計画書の提出が義務づけられます。

グレイスでは、こうした人材が不足している企業向けに、省エネ法への有効な対策についてのセミナーの開催を計画。行政のエネルギー担当者や省エネ関連機器メーカー、ESCO(Energy Service Company)事業者などを招いて、省エネ対策が必要な企業の課題の整理と具体策を検討する研究会を発足させることを検討しています。「そこから、持続可能な社会づくりを可能にする、新しい人材ソリューションが見出せることを期待しています」(小川さん)


多様化する環境ビジネスだからこそ、広い視野を持つ人材が必要

創業当時は、「活き活きと働く」ことが持続可能な社会に役に立つと提唱しても、なかなか理解されず、1999年に人材派遣業としてISO14001認証を取得した際にも、「なぜ、人材派遣会社が?」という声が聞かれたそうです。今では、大手人材派遣会社も続々と認証を取得。グレイスの言う「グリーン(活き活き働く)雇用」についても、社会的に理解されるようになってきたといいます。

今や、世界が「環境」をキーワードに動く時代。環境を意識することで、社会の中で自分を活かす新しい方法を見つけることができる時代です。環境関連の仕事も、業種や職種が多様化しているといいます。

「以前は、環境分析系の仕事のニーズが高く、資格がモノをいいました。今は環境・CSRマネジメント系の比率が高まっています。資格が必要な仕事はもちろんありますが、それ以外の仕事が非常に増えています。全企業の全部門に、環境を大切に考えられる人が求められています」(小川さん)

企業の求める人材も変化していると同時に、働く人の意識も変化しているといいます。グレイスのマッチング・システムを活用した人の中には、「もっと環境に関係する仕事がしたい」と、年俸ダウンを覚悟で大手経営コンサルティング会社からCSR経営のコンサルティング会社に転職した男性がいるそうです。また、環境分析の仕事をしていた女性は、「人と接する仕事がしたい」とラボから出て保険の仕事に転身。そこで自分が人とコミュニケーションする仕事に向いていることを実感し、再度転職して、現在は環境関係のNPOで活躍しているそうです。

「こうした方たちを見て思うことは、環境の仕事は、資格以上に何事にも真摯に取り組む姿勢が必要だということです。『木を見て森を見ず』という諺がありますが、自分の仕事を多角的に見て、周囲との関連性を理解し、必要な配慮ができ、自分の仕事の意味を見出せたら、どこでも通用する人材になるのではないかと思います」(安井さん)

今、グレイスが一番に危惧していることが、環境教育のあり方だといいます。「地球温暖化を防ぐために木を植えよう」という近視眼的な教え方ではなく、「地球環境を守る立場にある人間」を育てるという視点で考えられる環境教育であってほしい。多様化する環境ビジネスだからこそ、広い視野を持つ人間教育が必要になる。グレイスはこれからも企業と働く人の間に立って、持続可能な社会づくりに必要な提言を続けます。

(スタッフライター 青豆礼子)

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