ニュースレター

2006年05月01日

 

eKOシステムで全体最適を目指す - 日本コカ・コーラ

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JFS ニュースレター No.44 (2006年4月号)
シリーズ:持続可能な社会を目指して - 日本企業の挑戦 第40回
http://www.cocacola.co.jp/corporate/eko/index.html

日本コカ・コーラ株式会社は、ザ コカ・コーラカンパニーの日本法人として、1957年に設立されました。同社は、コカ・コーラ社製品の原液の製造・供給と、国内での清涼飲料のマーケティングや企画を行っています。製品の製造・販売から空き容器の回収・リサイクルまでを受け持つボトラー社は、別法人として運営され、全国各地に14社あります。JFSニュースレター2005年12月号でご紹介した三国コカ・コーラボトリングは、ボトラー社の一つです。

日本コカ・コーラは、ボトラー社、原料・資材の調達・製造・物流を全国規模で統括・管理するコカ・コーラ ナショナルビバレッジ社、研究開発部門であるコカ・コーラ東京研究開発センター、全国チェーン店への営業を行うコカ・コーラ ナショナル セールス社、広域法人向けの自動販売機の営業を行うエフ・ヴィ・コーポレーションと共に、コカ・コーラをはじめとする炭酸飲料、ペットボトル入り緑茶、缶コーヒーなどを全国に提供しています。これらの関連企業をまとめて、日本のコカ・コーラ システムと呼んでいます。システム全体で約23,000人が働き、全国に31の工場があります。
http://www.cocacola.co.jp/corporate/family/index.html

人と人をうるおす10の約束

「ただ人をうるおすのではなく、人と人のかかわりもうるおす会社になりたい」 --2005年8月、コカ・コーラ システムは、新たな決意を宣言しました。この話題は、三国コカ・コーラボトリングの取り組みでもお伝えしました。
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/027331.html

ここには、経済性の追及だけでなく社会との共生を深めて生きたいという思いが込められています。コカ・コーラ システムはこれまで、飲料を通じてお客様に「はじけるような爽やかさ」を提供してきました。これからは、爽やかさに加えて、全ての企業活動において人と人のかかわりやコミュニケーションをベースに、その絆を強めていくようなうるおいをも提供していきたい、と考えています。

この決意に対して全国のお客様から1万件以上の声が寄せられまた。その8割はポジティブなもので2割が要望や意見でした。これを全社員で読み込み、部門ごとに1ヶ月議論し、80ページに及ぶアクションプランを作成しました。そして2006年1月に、『人と人をうるおす10の約束』としてお客様に向けて発表しました。
http://www.cocacola.co.jp/uruosu/

この中には、環境負荷低減に関する約束が6つ含まれています。コカ・コーラシステムは、人と人をうるおし豊かな社会にしていくためには、製品や容器の製造、自動販売機での販売などを含めたライフサイクル全体で環境負荷を低減していくことが非常に重要だと考えたのです。そのために、システム全体が一体となって環境経営、環境活動に取り組んでいます。

日本のコカ・コーラシステム全体で取り組むeKOシステム

「eKOシステム」とは、2000年にザ コカ・コーラ カンパニーが独自に開発し、世界各国で運用している、飲料業界に特化した環境マネジメントシステムの名称です。eKOシステムでは、世界共通の改善項目として、「水使用量」「エネルギー使用量」「廃棄物発生量」の3つを掲げています。
http://www.cocacola.co.jp/corporate/eko/this/index.html

以前は、各社が個別に環境活動を行っていましたが、2005年にシステム全体での「eKOシステム」の統合運用が始まってからは、全体を一つの仕組みとして環境負荷の低減と経営の効率化を図り、最大の効果を得ることが可能になりました。

2010年までに、CO2排出量10%削減目標を策定

4月4日、コカ・コーラシステムは温室効果ガス削減の取り組みの一環として、2010年までに、CO2排出量の70%を占める製造部門のCO2排出量原単位(注1)を04年比10%削減する中長期目標を発表しました。削減されるCO2排出量は年間約4万トンとなり、これはCO2を吸収する森林8,000ヘクタールの造成に相当します。

注1)CO2排出量原単位とは、1リットルの製品を生産するときのCO2排出量

CO2排出量原単位の削減は、31工場のうちすでに13工場(05年末時点)で実施している「重油から天然ガスへのエネルギー転換」を20工場に、5工場(05年末時点)で行っている「コージェネレーションシステム(発電装置を用いて電気と熱を有効利用する)の導入」を10工場に拡大することにより、目標の約90%を達成する計画です。これに関わる2006年から2010年までのシステム全体の投資額は約10億円と試算しています。

2005年CO2排出量原単位を対前年比2%、総排出量15,000トン削減

日本の清涼飲料市場は、この10年間に大きな変化が起きています。茶系飲料の需要拡大、とりわけ緑茶飲料の拡大です。緑茶は、家庭で茶葉からいれて飲むものでしたが、約20年前に缶入り緑茶が発売されて以来着実に消費者の支持を獲得し、今では炭酸飲料やコーヒー飲料に匹敵する市場になりました。コカ・コーラ システムのボトラー各社でも、茶系飲料は主力アイテムの一つになっています。

茶系飲料の製造では、茶葉から緑茶を煮出す工程、ボトルに充填する前に加熱殺菌する工程などが必要となり、炭酸飲料に比べてエネルギーをより多く使用します。そのため、茶系飲料の市場拡大に呼応してボトラー14社のCO2排出量も毎年増え続けていました。

コカ・コーラ システムでは、各工場の生産品目やエネルギー消費のデータをもとに、全体の中で最も大きな削減効果が期待できる改善箇所や改善方法を検討しました。そして、5工場にコージェネレーションを導入、13工場で燃料を重油から天然ガスに転換しました。中には、自社で投資しパイプラインを引いて切り替えたところもあります。

コカ・コーラウエストジャパンプロダクツ社(注2)の鳥栖工場は、コージェネレーションと天然ガスの両方を導入して、年間でCO2排出量を6,000トン削減しました。また、コカ・コーラセントラルジャパンプロダクツ社(注3)の東海北工場では、コーヒーや緑茶を抽出した後のコーヒー滓や茶殻などを分解処理する過程でメタンガスを得て、これをエネルギーとして利用するメタン発酵処理設備が稼動しています。この設備は、これまで産業廃棄物として処理していたものを減容化でき、エネルギーの使用量削減と共に廃棄物の削減に貢献しています。
http://www.japanfs.org/db/882-j

注2)コカ・コーラウエストジャパンプロダクツ社:コカ・コーラウエストジャパン社の製造子会社
注3)コカ・コーラセントラルジャパンプロダクツ社:コカ・コーラセントラルジャパン社の製造子会社

これらの活動により、システム全体で、製造工程から排出されるCO2を年間15,000トン削減。原単位では2%の削減になります。

コカ・コーラ システム全体では、製造時だけでなく、自動販売機による販売時のCO2排出量の削減も課題であり、設置場所の効率化による台数の削減、省エネルギー型の自販機への切り替えなどに取り組んでいます。これらについては、三国コカ・コーラボトリングの取り組みをご参照ください。
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/027331.html

人と人の双方向で進めていく

コカ・コーラ システムは、今後もeKOシステムを活用して、全体最適を追求していく考えです。その過程でもお客様との双方向のコミュニケーションを大切にしたいと考えています。

なぜなら、冒頭に掲げた10の約束の中には、自社だけが努力しても達成できないことも含まれているからです。例えば、空容器の回収・リサイクル、空容器の散乱防止などは、お客様の協力があって進められることです。

コカ・コーラシステムでは、お客様の理解を深めていただくために、回収やリサイクルの現場を見ていただく機会や、直接コミュニケーションをとれる機会を増やすなど、広く伝えていくことが課題の一つだと認識しています。また、次世代の環境教育も重要と考え、小学校のビオトープの整備支援や子供たちを対象とした自然体験キャンプの実施など、地域密着型での子供たちへの啓発活動にも力を入れています。

日本コカ・コーラは、システム全体での最適化を目指すと同時に、社会全体で環境にやさしく、うるおいに満ちた豊かな世の中となることを目指して、自社の使命を果たしていきたいと考えています。


(スタッフライター 西条江利子)

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