ニュースレター

2017年09月25日

 

日本の交通事故死者数、ピーク時の4分の1に

Keywords:  ニュースレター  その他 

 

JFS ニュースレター No.180 (2017年8月号)

写真
イメージ画像:Photo by Dick Thomas Johnson Some Rights Reserved.

世界保健機関(WHO)が2015年に公表したデータによると、2013年の世界の交通事故による死者は約125万人で、2010年の124万人からほぼ横ばいの状態です。これに対してWHOでは、安全対策を打つことで事故死者数を着実に減らせるとして、各国に具体的な行動を取るよう呼びかけています。

警察庁のまとめによると、日本における2016年の交通事故死者は前年比213人減の3,904人と、1949年以来67年ぶりに4千人を下回り、ピーク時の4分の1に減少しました。ここ10年で見ても、約40%減少しています。今月号のニュースレターでは、日本の交通事故防止の取り組みをご紹介します。

交通事故の推移と現状

日本では、1950年代から車両保有台数及び運転免許保有者数が増加し始め、今や自動車は国民の日常生活に不可欠な移動手段となっています。これに呼応するように、交通事故死者数も著しい増加傾向を示すようになり、1970年には16,765人に達しました。

その後、交通安全施設の整備を行うなど交通安全対策の充実が図られたことにより、交通事故死者数は一旦減少傾向に転じ、1979年には8,466人と1970年のほぼ半分になりました。しかし、1980年代に入ると再び交通事故死者数が増加。1988年からは、8年連続して1万人を上回りました。

その後、交通事故死者数は減少傾向に転じ、1996年以降は常に1万人を下回っています。2005~2015年の交通事故情勢がまとめられている警察白書によると、2015年は4,117人で、2005年から約40%減少しています。

年齢別に見ると、65歳以上の減少率は24%に留まっており、全体に占める65歳以上の割合は、2005年の42.6%から、2015年には54.6%と12ポイント増加しています。

人口10万人あたりの死者数を見ると、全年齢層、65歳以上のいずれも2005年比で2015年には40%以上減少していますが、65歳以上は全年齢層の2倍以上の水準で推移しています。2015年は、全年齢層の10万人あたり3.2人に対して、65歳以上は6.8人です。全体では減ってきているものの、高齢者の交通事故は、今後さらに高齢化が進行する日本において、大きな課題の1つです。

交通事故防止策

日本の交通事故で特徴的なのは、欧米諸国と比較して、歩行中または自転車運転中の事故による死者の割合が著しく高いことです。交通事故発生から30日以内の死者のうち、歩行中または自転車乗用中の事故による死者の占める割合は、フランスが19.4%(2014年)、イギリスが31.3%(2014年)、アメリカが16.7%(2013年)であるのに対して、日本は52.9%(2015年)なのです。

写真
イメージ画像:Photo by Dick Thomas Johnson Some Rights Reserved.

歩行中、自転車運転中の事故を減らすために、さまざまな対策が進められています。それらが奏功し、2016年の交通事故死者の内訳を見ると、自動車やバイクに乗車中がほぼ横ばいであったのに対し、歩行中が12%減、自転車運転中は14%減でした。歩行中、自転車運転中の事故の減少の要因について、警察庁は、「総合的な対策を推進してきた結果」としています。具体的にどのような対策がなされているのでしょうか?

1.歩行中の事故への対策

交通環境の整備による歩行者等の安全通行確保を目的に、2つの施策が進められています。

1-1.ゾーン30の推進

市街地等の生活道路における歩行者等の安全な通行を確保するため、ゾーン30の整備を推進しています。区域(ゾーン)を設定して、最高速度30キロメートル毎時の区域規制や、路側帯の設置・拡幅を実施。ゾーンの道路交通の実態に応じて、通行禁止等の交通規制を実施したり、車両の低速走行等を促すために盛り上がり(凸部)を設置したりすることにより、区域内における速度抑制や通過交通の抑制・排除を図っています。

写真
ゾーン30:Photo by Jin Kemoole Some Rights Reserved.

1-2.バリアフリー対応型信号機等の整備の推進

高齢者、障害者等が道路を安全に横断できるよう、信号機や標識等の整備を進めています。

バリアフリー対応型信号機の整備では、音響により信号表示の状況を知らせる音響式信号機、信号表示面に青時間までの待ち時間及び青時間の残り時間を表示する経過時間表示機能付き歩行者用灯器、歩行者・自転車と車両が通行する時間を分離して交通事故を防止する歩車分離式信号等を整備しています。

標識等については、標示板を大きくする、自動車の前照灯の光に反射しやすい素材を用いるなどして、見やすく分かりやすい道路標識・道路標示を整備するとともに、横断歩道上における視覚障害者の安全性及び利便性を向上させるエスコートゾーンを整備しています。

2.自転車運転中の事故対策

自転車事故死者の約8割が何らかの法令違反をしていることがわかっています。なかでも、安全不確認、ハンドル操作不適等が多いことから、良好な自転車交通秩序を実現することが肝要です。そのため、4つの施策を実施しています。

2-1.自転車通行環境の確立

車道を通行する自転車の安全と、歩道を通行する歩行者の安全の双方を確保し、歩行者・自転車・自動車が適切に共存できる環境を構築しています。自転車専用の走行空間(自転車専用通行帯及び自転車道)を整備するとともに、自転車の歩道通行を可能とする交通規制の実施場所の見直し等を通じて、自転車と歩行者の安全の確保に努めています。

2-2.自転車利用者に対するルールの周知徹底

全ての年齢層の自転車利用者に対して、自転車は車道通行が原則であること、車道では左側通行すること、歩道では歩行者を優先することなどの自転車の通行ルール等の周知に努めています。

近年、自転車の利用者が加害者となる重大事故が後を絶ちません。ルールを守らなかった場合の罰則や交通事故発生の危険性、事故の加害者となった場合の責任の重大性、損害賠償責任保険等への加入の必要性等を周知しています。加えて、被害を軽減するための対策として、ヘルメット着用や幼児を自転車に乗車させる場合のシートベルト着用の促進を図っています。

2-3.自転車安全教育の推進

児童・生徒に対する自転車安全教育を推進しています。スタントマンによる事故の再現や自転車シミュレーターの活用等による参加・体験・実践型の自転車教室を開催するなど、教育内容の充実に努めています。

大田区ホームページ:自転車安全教育
自転車安全教育 大田区ホームページより

交通の危険を生じさせるおそれのある自転車運転者へは、講習会を実施。一定の違反行為を反復して行った運転者に対し、安全運転の大切さへの「気付き」を促し、交通の危険を防止するための教育を行っています。

2-4.自転車利用者に対する指導取締りの推進

自転車と歩行者との交通事故の発生状況、地域住民の苦情・要望の状況等を踏まえ、全国で1,791か所(2015年12月31日現在)の自転車指導啓発重点地区・路線を指定。自転車利用者の無灯火、二人乗り、信号無視、一時不停止等に対し、指導警告を行うとともに、悪質・危険な交通違反に対しては検挙措置を講ずるなど、厳正に対処しています。

今後の課題

2016年の交通事故死者は、54.8%が65歳以上でした。これは、統計を取り始めてから最も高い値となっています。前述したように、今後も高齢者の人口比率が高まっていくことを考えると、高齢者の事故死亡率低下は大きな課題です。

人口10万人あたりの死者数は、全年齢層でも65歳以上でも同じ割合で減少していますので、現状の対策が65歳以上に対しても効果的であることは間違いありません。今後は、高齢者に特化した事故対策も充実させることで、高齢者の事故死亡率低下を実現していくことを期待します。

スタッフライター 田辺伸広

English  

 


Our Supporters 支援企業/団体

JFSをご支援ください

『ジャパン・フォー・サステナビリティ』に、いいね!やシェアだけで支援金を届けられます。~ NPO/NGOを誰でも簡単に無料で支援できる!gooddo(グッドゥ) ~

ジャパンギビングバナー
1% for the Planet バナー
 

このページの先頭へ