生物多様性・食糧・水

2014年08月24日

 

雨水を利用しよう!

Keywords:   

 

写真:御室仁和寺駅 雨水タンク
イメージ画像: Photo by oseigt Some Rights Reserved.

近年日本では、雨水を利用しようという動きが高まっています。世界でも特に雨量が多い日本では、戦後の都市整備から「雨を捨てる」考えが主流でしたが、雨を資源として生かすという流れに少しずつ変化してきました。この記事では、日本での雨水利用についてお伝えします。

日本では、特に東日本大震災以降、非常時への備えとしての雨水利用が注目を集め、雨水を溜めるタンクを設置する個人住宅が増えています。100リットルほどの容量の少ないものから1000リットルもの大容量のもの、テラコッタ製などガーデン家具として楽しめるようなものまで様々なタイプがあり、数千円から数万円の費用で設置できます。

雨水タンクへの助成制度を実施している自治体も増えています。2011年4月の雨水貯留浸透技術協会の調べによると、雨水を貯留または浸透させる施設の設置に対して助成を実施している自治体は、全国で208あり、そのうち貯留施設(いわゆる雨水タンク)の設置に助成を行っている自治体は179あります。雨水利用の先進都市として知られる東京都墨田区では、1000リットル未満の雨水タンクを設置する場合、工事費等の経費を含む雨水タンクの価格の半分の金額が、最大4万円まで助成されます。

こうした中、「雨水の利用の推進に関する法律」が2014年4月に公布され、同年5月に施行されました。自治体に雨水利用の目標設定を求めて努力義務を課し、国は助成制度への財政支援を行います。国、地方公共団体、事業者の責務が規定されたことで、全国的な取り組みが一層進むことが期待されています。

写真:水撒きアリガト
イメージ画像: Photo by detch* Some Rights Reserved.

雨水は様々な用途に利用できます。日常生活では、打ち水や庭木への散水、洗車やトイレの洗浄水などに使用することで、水道水を節約することができます。また、災害時や水道管の破裂などによって水道が使えなくなるなどの非常時には、溜めおいた雨水は初期消火や生活用水などの貴重な水源となるほか、煮沸やろ過をすれば緊急用の飲料水にもなります。

さらに、このようにして雨水を利用することで「都市型洪水」の対策にもつながります。都市化の影響でコンクリートに覆われた町では、雨水の浸透能力が低下し、降った雨はそのまま下水道に放流されます。このため、集中豪雨等で雨水が下水道の処理能力を超えると、マンホール等から下水が逆流します。これが都市型洪水です。各建物で雨を貯めれば下水道への負担を軽減することができるので、都市型洪水の防止に役立つというわけです。

家庭で使う雨水タンクは、ポリバケツなどの市販の材料を使って手作りするという方法もあります。様々な作り方がありますが、雨水市民の会などは、ウェブ上で作り方を紹介しています。雨水利用についてより詳しく学びたい方は、墨田区が運営している日本で唯一の雨水資料室を訪れることをお薦めします。資料室には区内だけでなく世界各国の雨水利用の技術や水の問題が紹介されているほか、さまざまな雨水タンクが展示されています。

English  

 

 

このページの先頭へ