生物多様性・食糧・水

2014年08月10日

 

日本の水道インフラ:今後は「もたせる」「なくす」時代へ

Keywords:    レジリエンス 

 

写真:古い水道管 写真:新しい水道管
Copyright 橋本淳司 All Rights Resereved.

日本の土木インフラは成熟期をへて、今後は老朽化に向かいます。定期的な現状調査とメンテナンスを重ねつつ、さらには設備を残すのか・なくしていくのか、難しい判断を迫られます。
この記事では、水ジャーナリストの橋本淳司さんに寄稿いただき、生活に重要なインフラのひとつ、水道管の延命化についてお伝えします。

2014年5月21日、国土交通省は、土木インフラ(道路、橋りょう、水道、下水道等)の寿命を延ばすための行動計画を発表しました。土木インフラは、「つくる時代」「つかう時代」を経て、「もたせる時代」になりました。今後はさらに「なくす時代」をむかえるでしょう。

日本の土木インフラは、東京オリンピック(1964年)を中心とした高度経済成長期に集中的に整備されました。それから40~50年が経過しています。2度目の東京オリンピックを6年後にひかえ、本来であれば新たにつくり直したいところですが、そう簡単にはいきません。財政状況も厳しく、人口も減っていきます。高度経済成長期とは明らかに状況が違います。かといって放っておけば、事故が発生します。そこでマネジメントが必要になっています。

現在考えられているマネジメントは基本的に2つあります。1つは調査です。インフラの現状と保有性能を把握し、将来を予測すること。もうだめなのか、まだ使えるのか、使えるとしたらどこをどう補修すれば、あと何年くらい使えるようになるのかなどを考えます。もう1つは、調査に基づき、維持管理・補修・更新を行うことです。

水道を例に、具体的な話をしましょう。水道管破裂事故は毎年約1000件、陥没事故は毎年約5000件発生しています。全国の水道管約61万kmの内、法定耐用年数(40年)を過ぎた管路は約3.8万km。地球1周分に相当しますが、今後はさらに増えていきます。費用は管路1キロにつき1億~2億円かかり、多くの自治体は頭を抱えています。

そこで多くの自治体は、水道管の延命化に取り組みはじめました。財政事情から正規の耐用年数で更新できないので、水道管の内部に保護膜を張るなどして鉄さびの進行を抑え、20~30年長持ちさせます。

これについては現在さまざまな技術が開発されつつあります。一例をあげると、音波やロボットを使用した調査、SPR工法による管路再生などがあります。

SPR工法は、下水道や農業用水、工業用・排水など、老朽化した様々な管路を非開削で再生します。老朽化した既設管の内側に、硬質塩化ビニル製のプロファイルによる管路を形成し、その隙間に裏込め材を注入します。どんな形状の断面でも穴を掘らずに、かつ水を流しながら施工できるため、交通や市民生活に対する影響が少なく、また、工期・工事費とも穴を掘ったときと比べ、大幅に削減できます。

こうした調査技術、維持管理・補修・更新技術ともに、研究開発の途上です。性能の向上や低価格が求められているので、今後、産学官が連携して実施していかなくてはなりません。

もっともむずかしいのは決断でしょう。人口減少社会を真正面からとらえて、「どのインフラを残し、どのインフラを残さないのか」という判断をしなくてはなりません。

ときおり高度経済成長の夢を追い続ける人がいますが、それでは成長期ならではのもの。少子高齢化・人口減少、過疎化の進展、エネルギー問題などの課題を抱え、成熟期を生きる私たちには、別の判断が必要です。

(水ジャーナリスト 橋本淳司)

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