2012年01月04日
独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センターは2011年9月28日、東南アジアにおける熱帯林の炭素収支と森林伐採による炭素放出量、およびアブラヤシプランテーションへの転換による炭素収支の変化について、独自のモデルを用いて分析した評価結果を公表した。
この研究は、同研究所と京都大学、マレーシア森林研究所、タイ国立公園局との共同研究によるもので、同研究所などが開発した陸域生態系の物質循環モデル、VISIT(Vegetation Integrative Simulator for Trace gases)を用いて分析を行った。
分析の結果、森林伐採が起こった後の炭素放出量は、生態系に放置される樹木の残渣量によって大きく変化することが明らかになった。さらに、このモデルによる植栽後30年のアブラヤシプランテーションの炭素貯留量は、森林の約35%と予測され、森林に比べて炭素固定能力が明らかに低下することが分かった。
また、VISITモデルによる計算結果と野外観測値を比較し、モデルの予測精度について検討を行った結果、タイの熱帯季節林においてモデルは炭素貯留を過小評価する傾向にあるものの、マレーシアの熱帯雨林の炭素収支を精度高く見積もっていることが明らかになった。同研究の成果は、REDD(森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減)などの国際的な温暖化対策の評価に貢献することが期待される。
登録日時:2012/01/04 06:00:15 AM
国立環境研究所 東南アジアの熱帯林の炭素収支と森林伐採の影響を評価
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2011/20110928/20110928.html