ニュースレター

2009年12月22日

 

"Save money. Live better." を追求し、サステナブルな消費の機会を提供する ~ 合同会社 西友

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JFS ニュースレター No.84 (2009年8月号)
シリーズ:持続可能な社会を目指して - 日本企業の挑戦 第80回
http://www.seiyu.co.jp/

合同会社西友は、1963年に創立された小売りチェーンです。2002年、米国のウォルマート・ストアーズ・インク(以下、ウォルマート)が筆頭株主となり、2008年6月に完全子会社となって現在に至ります。

世界最大の小売業、ウォルマートグループの傘下となったことで、EDLP(エブリディ・ロープライス)=「毎日お買い得」という低価格路線を推進。2008年11月からは、「KY(カカクヤスク)でいこう!」キャンペーンをスタートし、約1,700品目に及ぶ値下げを行うなど、さらに低価格で生活者に役立つスーパーへと移行している途上にあります。

2005年10月にウォルマートの社長兼CEO(当時)、リー・スコット氏が行った「21世紀のリーダーシップ」というスピーチ以降、ウォルマートは「自社のビジネスと世界全体の未来のために、今よりさらにサステナブルな企業に進化する」姿勢を全面に打ち出すようになり、現在、"Save money. Live better."というミッションのもと、低価格で価値あるお買物の機会を提供し、より豊かな生活を実現することを目指し、全世界で取り組んでいます。

リー・スコット氏は、サステナビリティ・レポートでこう述べています。「1962年にサム・ウォルトンが初めてウォルマートの店舗を開いた時代から、我々の使命は、お客様に、より低価格で価値あるお買い物を通じて、豊かな暮らしを提供することでした。このような我々の使命は、今やサステナビリティの分野にまで拡張されてきたと言えるでしょう」
http://walmartfacts.com/reports/2006/sustainability/companyMessage.html(English)

世界15カ国に62の店舗名で7,900以上の小売店鋪があり、毎週延べ2億人以上が来店。全世界で210万人以上のアソシエイト(従業員)を雇用し、2009年会計年度の売上高は約4010億ドル。2009年には、フォーチューン誌の「最も賞賛される企業」の小売業部門で1位になったウォルマート。

日々のビジネスの一部としてサステナビリティに取り組む親会社の元で、日本で続けてきた地道な環境活動を継続させながら、ウォルマート全体の動きと足並みを揃える西友。「親会社のサステナビリティへの取り組みの本気さ、"Savemoney. Live better."の実現のために何でもやるという姿勢を肌で感じています」という、企業コミュニケーション部広報室の小畑絵美さんにお話を伺いました。


身近な食品トレイを見直す

西友は、自社のサステナビリティへの取り組みを、ウォルマートと同様の「エネルギー」「廃棄物」「商品」の3つの分野でとらえています。これによって、各分野の具体的な長期目標を共有し、実現に向けてグループ一丸となって取り組むことができます。

3分野の中で、今、顕著な動きを見せているのが商品分野の「パッケージ削減」です。「資源や環境を持続可能にする商品を販売する」ことを分野の最終目標としています。容器包装については、PB商品(西友開発商品)と生鮮食品の容器包装を中心に見直しを進めています。

「レジでのお支払い後、トレイから中身をビニール袋に詰め直して帰られるお客さまが、かなりいらっしゃいます。トレイはかさばるわりに、リサイクルするにも、自宅で洗って乾かさなければなりません。持ち帰るだけならビニール袋で十分、というお客さまの心理が見えてきました。身近なところから、できるだけトレイをやめる『ノントレイ化』や、トレイの仕様を変えることで、削減に取り組んでいます。お客さまの声と合致するものは実行に移しやすいですね」と小畑さんは言います。

発泡スチロール製トレイに関しては、従来、食品の見栄えをよくするために色柄付きのもの、形も大小含めて40種類以上を取りそろえていたそうですが、2008年度には、まずは精肉用から軽量な白色に統一し、形も9種類にまで集約。年間13.2トンのトレイ削減を実現したといいます。

「鶏肉などは、店頭に並ぶまでに2回の加工を要していました。屠殺したものを大きな塊にパックしてから、西友の加工工場に運ぶために1回、さらにそこでは、そのパックを開封して店頭販売用の購入いただきやすい分量に切り分け、別のトレイに載せて店頭に運んでいました。それが、取引先の協力で1回の加工で、店頭用真空パックにする仕組みができました。加工の度に発生していた包装の無駄も手間も省くことができ、より新鮮で衛生的な状態で、低価格でお客さまに提供できるようになりました。この取り組みは今後も進んでいくことでしょう」(小畑さん)


ゴミゼロ店舗の増加とマイバッグ普及率の目標達成

廃棄物の分野の最終目標は、リサイクルする分も含めて「廃棄物をゼロにする」ことです。2008年度は、約373店舗のうち、41店舗でゴミゼロを達成しています。

「ゴミゼロ達成のポイントは分別です。弊社本部の廃棄物担当が、行政やリサイクル業者との交渉などの道筋をつけ、理論上はゴミゼロが達成できる仕組みができている店舗が増えています。ただし、これは店舗で分別ができていることが前提です。各店舗に12分別を徹底するよう呼びかけ、2008年度はリサイクル率75%を達成しました。」(小畑さん)

レジ袋削減については、「マイバッグ持参率」を2009年までに50%にするという目標は、この4月に初めて達成しました。7月の持参率も51.4%と、順調に推移しています。

レジ袋の削減については、行政も積極的に取り組んでいます。市町村レベルで見ると、2010年3月末までに、23都道府県の384市町村で有料化が実施される予定ですが(2008年11月1日現在、環境省調べ)、西友は有料にしない方針です。無料であっても、消費者自身が考え、自発的にマイバッグを選択する、そのための働きかけに全店挙げて力を注いでいます。


会社、地域、家庭、人生、すべてがサステナビリティと一体となるように

昨年ウォルマートは、4月22日のアースデイ前後の1カ月を「アースマンス」とし、積極的に環境配慮型商品をアピールするキャンペーンを行いました。今年はグループ全体に拡大。西友を含め、全世界で約7,800店が参加しました。

西友は、このキャンペーンで、約1,000品目の環境配慮型商品について、どのような点で環境に良いのかをPOPなどで説明しましたが、キャンペーン後のアンケートから、「なかなかお客さまの目には留まらず、売場で商品の特徴やメリットを伝える難しさを実感した」と、小畑さんは言います。

「サステナビリティの啓発活動や、情報提供をお客さまに直にできるのは、小売業だからこそ。その自覚を持って、来年以降のアースマンスに向け、従業員のサステナビリティへの意識を高め、お客さまがもっと参加しやすい取り組みにしたいと考えています」(小畑さん)

従業員の意識向上については、ウォルマートでは、PSP(パーソナル・サステナビリティ・プログラム)に取り組んでいます。リサイクルや省エネ、健康的なライフスタイルなど、各自が立てたサステナビリティに関する目標に取り組むというもので、西友では、「私のサステナ」という名称で実施しています。

「会社だけでサステナブルな活動をするのではなく、会社も家庭も地域も、そして自分自身の人生もすべてがサステナブルであることを、ウォルマートは伝え、実行しています。西友もそれを実現していきます」(小畑さん)

7月16日、ウォルマートは商品のサステナビリティを測定する初の試み、「サステナブル商品インデックス」の開発方針を発表しました。さまざまな商品のサステナビリティを評価するための一元的なデータソースを構築し、顧客が商品の品質や精算・流通プロセスに関して、限りなく透明性の高い情報を得ることを可能にする取り組みです。
http://www.seiyu.co.jp/CGI/news/topics.cgi?key=detail&corner=1&seq=514

その第一歩として、ウォルマートと世界各国で取引のある10万社余りのサプライヤー企業を対象に、サステナビリティに関する取り組み状況を、「エネルギーと気候変動」「素材効率」「天然資源」「人と地域社会」という4分野、15項目の質問から評価する計画です。

世界最大の小売業という規模と斬新な発想で、スピード感をもって自らの考えるサステナブルな企業、社会のイメージを形づくろうとするウォルマート。その姿勢や手法にならいながら、西友のサステナビリティへの取り組みはますます加速していきます。

(スタッフライター 青豆礼子)

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