ニュースレター

2009年04月14日

 

交通システムと連携するカーシェアリング ~カーシェアリング普及への動き~

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JFS ニュースレター No.76(2008年12月号)

クルマの所有から機能・サービス利用へ

低炭素社会を実現するためには、交通輸送から排出されるCO2も減らしていく必要があります。CO2排出量の少ない交通輸送網のしくみの一環として、欧米や日本で、カーシェアリングの導入が進められています。カーシェアリングは、1台のクルマを複数の会員が共同で利用するしくみで、「所有」ではなく「機能・サービス」の利用だけを行おうという新しい考え方です。世界で最初のカーシェアリングは、1987年にスイスで始まったと言われています。

日本でのカーシェアリングは現在、どのように展開しているのでしょうか? 交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると、2008年8月現在までに、運営組織は19あります。合計すると、車両ステーション数は323カ所、車両台数は522台、会員数は3,875人です。2007年1月と比較すると、車両ステーション数、車両台数とも2倍以上に、会員数は5割増えています。

このように日本でカーシェアリングが増えてきている理由は、いくつかあります。ひとつは、近年のガソリンをはじめとした物価の高騰です。また、環境意識の高まりや、環境によいライフスタイルを実践していこうという運動が広がっていることも背景にあります。若者のクルマ離れが顕著になるなど、物を「所有」することから、「機能・サービス」を利用する(グリーン・サービサイジング・ビジネス)というライフスタイルが受け入れられるようになってきたこともあげられるでしょう。

「広がるグリーン・サービサイジング・ビジネス(JFSニュースレター)」:
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/027390.html

さらに最近では、政府も公共交通システムの一つとしてカーシェアリングの推進に力を入れるようになってきました。カーシェアリングを進める地方自治体への支援策を打ち出したり、法規制を緩和するなど、普及の条件を整えつつあります。

「2050年に温暖化ガスの排出量を現状から60~80%削減」という日本の長期目標を達成するための「低炭素社会づくり行動計画」においても、「2008年度中にカーシェアリングの普及研究会を立ち上げ、課題の解消と利便性向上を検討することで、環境面・経済面をアピールしていく。あわせて、環境負荷の小さな交通への転換を国民に促すなどEST(環境的に持続可能な交通)を普及展開する」と明確に打ち出しています。

環境へのメリット

カーシェアリングは環境負荷をどのくらい減らせるのでしょうか? 運輸部門から排出されるCO2の量は、2006年度では2億5400万トンで、日本全体から排出されるCO2の総量の約2割を占めており、その約半分が自家用乗用車からの排出となっています。交通エコロジー・モビリティ財団が2005年度に行ったアンケートの結果によると、都市部でのカーシェアリング導入により、カーシェアリング会員の自動車走行距離は入会前の79%、マイカーの保有台数は76%減少しました。

同じく交通手段別の利用の変化をみると、自動車利用が大幅に減少し、公共交通や徒歩・自転車の利用が増加しています。また、カーシェアリング利用者は、走行距離の削減に伴うクルマからの排出量削減分で年間1.89トン、約30%のCO2を削減するとともに、年間約45万円のコストを節減しているという結果が得られました。

このように、カーシェアリングはクルマのムダな利用を減らすことによって、(1)都市の交通渋滞の緩和、(2)公共交通機関の活性化、(3)都市環境問題への対策、(4)都市の駐車場問題の緩和、(5)CO2削減による地球温暖化の防止などの効果があると考えられています。

カーシェリング導入の経緯

欧米では主に、所有する車両数を減らす目的でカーシェアリングが普及してきましたが、日本でのカーシェアリングの展開は、ITS(高度道路交通システム)の実用化や電気自動車の普及などの技術開発型実験として1999年に始まりました。

2002年、オリックス、オリックス・レンタカー(現オリックス自動車)、NECソフト、日本電気などの共同出資によってシーイーブイシェアリング社(CEV)が設立され、欧米で普及しているカーシェアリング事業が日本のクルマ社会に受け入れられるかの実証実験が行われました。

2007年、オリックス自動車は、CEV社と会社統合を行い、レンタカー事業本部の中にカーシェアリング事業を配置し、短時間の利用に適した「カーシェアリング」と長時間や数日間の利用に適した「レンタカー」を組み合わせるサービスを開始しました。

オリックス自動車:http://www.orix.co.jp/auto/

そして、2007年10月からは、東京・神奈川、名古屋地区に次いで、京都市でもカーシェアリング「プチレンタ」の展開を始めました。JR京都駅など交通の要所24カ所に33台(2008年9月末現在)の軽自動車を配置し、15分単位で利用できます。

プチレンタ:http://www.orix-carsharing.com/

マンションなどに導入し、居住者が利用できる「マンションカーシェアリング」も広がりつつあります。2009年7月までの計画を入れると、導入事例は、40件80台になります。利用者は管理駐車場までの移動がないことや、共有する利用者とコミュニケーションが進むなどのメリットがありますし、マンション側にとっても駐車場の不足をカバーすることができます。

企業やグループ会社がカーシェアリングに切り替える動きも出てきています。オリックス自動車会員約3,200人のうち、約2割(2008年9月末現在)が法人契約利用です。カーシェアリングを利用することで所有車を減らし、経費を削減している企業が増えつつあります。

今後の展開

公共交通と提携したカーシェアリングの動きも出てきました。たとえば、「民生部門等地球温暖化対策実証モデル評価事業」の1つとして、産官学の連携で立ちあげられた「カーシェア金沢」は、2004年11月、オリックス自動車のASPサービスを利用し、これまで北陸鉄道のバスで使用していた交通ICカード「ICA(アイカ)」をカーシェアリングの鍵カードとしても使用を開始しました。また同時に、バス運賃に還元できる「エコポイント」制度を発足させました。

エコポイント:http://www.hokutetsu.co.jp/ecopoint/

また、オリックス自動車では2008年4月1日より、カーシェアリング車両の鍵として「PASMO」の利用を可能にしました。「PASMO」は、発行枚数約800万枚の交通系ICカードで、電車・バスなど首都圏の公共交通機関を利用する際に使用するものです。この「PASMO」との共用化により、「長距離間は鉄道で移動し、目的地付近でカーシェアリング車両を利用する」という環境配慮型の欧米式の利用方法が確立することに繋がることが期待されています。

カーシェアリングが日本に根付いていくには、(1)カーシェアリングの認知度を高めること、(2)公的機関の保有する駐車場の低料金での提供や税負担の軽減などの措置で、事業者が駐車スペースを借りやすくすること、などが必要です。これらの問題を改善することによって、日本でのカーシェアリングは急速に普及する可能性が高いと見込まれています。

カーシェアリングを地域社会の循環に組み込んでいくことは、CO2を大幅に削減することができるだけではなく、失われた社会のつながりを取り戻せるのではないかと期待されています。

参考資料:・カーシェアリングによる環境負荷低減効果及び普及方策検討報告書
http://www.ecomo.or.jp/environment/carshare/data/news_cs_kankyo_kaizenkoka_06.06.22.pdf

(スタッフライター 湯川英子)

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