ニュースレター

2008年01月01日

 

質の高い「楽しさ」の実感がサステナブルへのパワーになる - インパクトジャパン株式会社

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JFS ニュースレター No.64 (2007年12月号)
シリーズ:持続可能な社会を目指して - 日本企業の挑戦 第67回
http://www.impact-japan.com/

1980年、夢と感動を与えるトレーニングを提供することを目的に、ビジネスパーソン向けアウトドア研修専門会社として、ピーターラビッドで有名な英国・湖水地方に誕生したIMPACT Development Training Group。現在、日本を含む世界14カ国16支社で事業を展開し、アウトドア研修はもちろん、室内でのコーチングプログラムや組織開発コンサルティングなども行う、総合コンサルタント会社として成長しています。

インパクトジャパン株式会社は、IMPACT Development Training Groupのアジア市場の拠点という位置づけで1990年に支社として設立。2000年4月より現地法人化された企業です。

「働きがいのある組織」「よりよい社会」を創り出すというグループ全体の使命のもと、人や組織のポジティブな変化の実現をミッションとし、人材育成および組織開発の領域におけるチームビルディング、マネージメントディベロプメント、チェンジマネージメントの分野において、アジア・オセアニア地域での卓越した会社であることを目指しています。

リピート率85パーセントというインパクトジャパンのトレーニング。その一番の特徴は、「知っていること」と「できること」の違いを、体験を通して実感することにあります。

机上の知識・理解に重点を置いた人材育成・組織開発研修も少なくない中、インパクトのトレーニングは、習得した知識を実際に行動に移す「場」を、自然の中に求め提供するところに独自性があります。

知識を行動に移すことで、自分のふるまいが周囲に与える影響に気づき、それが自然に行動変容につながり、意識の変化となって現状を変えていく。そうしたつながりを全身で感じられること。そして何よりもトレーニングに常に「楽しさ」を盛り込んでいるところも、インパクトトレーニングの大いなる魅力です。

人材教育のニーズの変化

企業にとって、利益をあげることが存続の第一条件であり、人材育成はそのための「手法」、つまり人事考課やプレゼンテーションシステムなどを改善するためのものととらえられがちではないでしょうか。

しかし、利益をあげるという「成果」を根底で支えているものは、手法だけではないということに気づき始めた企業から、手法を支える人の「ふるまい」、さらにその奥にある「意識」から教育したいという方向にシフトし始めているといいます。

「企業として利益を上げるために、限られた人生の時間を投資する社内環境が、売上偏重、残業は当たり前、実態を伴わない顧客満足を求めるだけ、という場所になってはいないか。そうした問題意識を一人ひとりの社員が抱いていても、企業・組織という大きな歯車の動きを止めることは容易ではありません。しかし、その問題意識を共有し行動を変えていけば、流れを変えられるのではないかと考えるのです」(セールス・マーケティングディレクター、池内信弘さん)

例えば長い歴史を持つ大企業であれば、もはや今の時代にそぐわない組織文化や暗黙の前提に縛られていることもあるでしょう。そこにメスを入れ、改めて議論し、「企業とは、組織とは、リーダーとは」、ひいては「社会とは、人生とは」といったことまで、新しく編み上げていく時期が来ているとインパクトジャパンはとらえています。

「コミュニティ・アクション・ラーニング(CAL)」

この先に何があるのか、このままで幸せなのか。仕事観から人生観までも研修領域となることで、これまで企業の1セクションのために行うことが多かったトレーニングが、多セクションにまたがる、あるいは他の企業、NPOやNGO、学生など、立場の違う人とかかわりながらのトレーニングへと変容してきたといいます。それが、「コミュニティ・アクション・ラーニング(CAL)」というトレーニングです。

CALは、人材育成と企業の社会貢献活動を同時に行うプログラムです。たとえば、リーダーシップトレーニングの手段に富士山清掃活動を活用します。4日間のトレーニング期間のうちの1日を富士山清掃に当て、富士山麓が人間や他の動植物に与えている恩恵、その環境が今置かれている状況を事前に知識として習得した後、実際の清掃活動に入ります。

富士山清掃では、環境NPO「富士山クラブ」という富士山清掃のエキスパートともかかわりながら進められます。参加者は、自らのリーダーシップトレーニングの場として活動に参加していますが、それは同時に企業が富士山清掃活動という社会貢献を行うことと、一石二鳥の取り組みになっています。

「ラーニング・イン・ザ・コミュニティ(LITC)」

CALの社内版ともいうべき取り組みが、「ラーニング・イン・ザ・コミュニティ(LITC)」です。どういう取り組みなのか、ザンビアでの1カ月にわたるエイズ撲滅活動の支援を例に挙げましょう。

エイズ撲滅というミッションに向けて、さまざまな団体がザンビアで活動していますが、各団体の力を束ねることで、もっと効果的な活動になるのではないか。その命題のもと、インパクトは日々培っている研修ノウハウを活かし、活動するNPOやNGOにトレーニングを提供します。こうした活動は、表向きにはインパクトの「社会貢献活動」と映ります。

インパクトは、その活動を行うプロジェクトチームを国籍の異なるメンバーで構成。参加するメンバーにとっては、「さまざまな国籍の人と働くワークスタイルを見いだす」という研修の場となります。ほかにも、ザンビアでの学校建設や女性の自立支援としてのヤギの配給など、現地で行われている活動に参加し、自らの手足を動かしてその実情を肌で体感します。

「知識として知っていたザンビアの社会と日本の私。実際に同じ地球の上で、同時進行で二つの社会が動いているということが、帰国後も頭から離れませんでした」(プログラム・ディベロップメント・マネージャー、吉村啓邦さん)。

ザンビア研修は、インパクトグループが25周年の記念に行ったスペシャルイベントでしたが、インパクトジャパンでは、年間3日のボランティアを社員に課し、そこで得た学びをフィードバックすることを義務づけています。吉村さんは、ザンビアで学んだことを社内にフィードバックすると同時に、お子さんの通う学校で子どもたちの前で語り、学びから得たことを次世代とシェアしました。いわば、ボランティアも仕事の一環ととらえているのです。

「ボランティアは、自分本位の価値観で休暇中にすればいい、儲かったときだけ企業として取り組めばいいというものでなく、インパクトの価値を長期的に高めていく活動として、社員が主体的に行っていくことで、組織力へとつなげていくことが大切だと考えています。そういう意味では、『仕事』の定義も変わってきていると言えるでしょう」(池内さん)

人材育成・組織開発のプロとして、「もっと人へ」

こうした流れの中で5年ほど前、「サステナブル」という言葉が英国の親会社から各国に投げかけられました。インパクトジャパンでは、サステナブルを自然環境だけでなく、もっと大きな枠組みでの「環境」ととらえ、社会から賞賛されるサステナブル・エンタープライズのモデルとなることを目指し動き始めています。

インパクト全体のトリプルボトムラインとして、「人・地球環境・利益」を定義していますが、その中でも人へのクローズアップが第一義とインパクトジャパンは考えています。

「広い意味では、自然も社会も企業も、すべて『環境』です。人の意識と行動が現在の環境をつくり出したのであれば、人の意識と行動で変えていくことはできるはず。私たちにできることは、よりよい社会を創造できるはずだという信念のもと、行動変容のきっかけとなる場づくりです。そこでは、ときに仲間同士のぶつかり合いもあり、嘆き苦しむこともあります。そうした紆余曲折を、信念を持って乗り越えたとき、人と人とが共に在り、共に歩むことの喜びを知り、同時に自分という存在の奥深い楽しさを見い出せます。刹那的な快楽とは違う心からの喜び、それこそがサステナブルの源泉、パワーだと感じています」(吉村さん)

サステナビリティについての各国での議論がまとまり、まもなくインパクトグループとしての方針が提示されます。インパクトジャパンは、「もっと人へ」のこだわりをもち、人材育成・組織開発のプロとして、トレーニング事業、イベント事業、コンサルティング事業に取り組み、サステナブルな社会の実現にさらに近づいていきます。


(スタッフライター 青豆礼子)

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