ニュースレター

2006年10月01日

 

ベター・バナナ・プロジェクトへの取り組み - チキータ ユニフルーティー ジャパン

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JFS ニュースレター No.49 (2006年9月号)
シリーズ:持続可能な社会を目指して - 日本企業の挑戦 第50回
http://www.chiquita.co.jp/

子どもたちが大好きな果物、バナナ。食べやすく、栄養バランスがよく、日本でもっともポピュラーな果物の一つで、1年間に約100万トンのバナナが食べられています。国内では地理的な条件からごくわずかな量しか栽培できないため、ほとんど全量が海外から輸入されており、その89%がフィリピン産です。(2005年)

チキータ ユニフルーティー ジャパンは、米国のバナナ生産大手、チキータ ブランズ インターナショナルが生産するバナナをアジアに輸出・販売するための拠点として、1962年に業務をスタートしました。設立当時の社名は、極東フルーツ。その後、イタリアのデナダイ社の資本参入を受けて現在の社名に変わり、現在は主に、チキータブランドのバナナとパイナップルの輸入販売を行っています。
従業員数は51名です。(2006年1月)

チキータ ブランズ インターナショナル(以下、チキータ)は、バナナの品質や安全性を高めるためには、自然環境の保全が不可欠であると考え、熱帯雨林の保護や栽培地域の活性化に積極的に取り組んでいます。そして、活動の推進と信頼性の向上のために、環境保護団体レインフォレスト・アライアンスと協働でベターバナナプロジェクト(BBP)に取り組んでいます。

レインフォレスト・アライアンスとは、熱帯雨林の環境保全活動に取り組む国際的なNGOで、熱帯地域における農業経営を、環境保護と社会貢献の観点から改善する持続可能な農業プログラムを進めています。BBPはその一つで、その他にも、コーヒー、オレンジ、サトウキビなどを対象にしたものがあります。
http://www.rainforest-alliance.org/ (英語)

BBPでは、熱帯雨林の保全、野生動物の保護、土壌汚染への配慮、廃棄物の処理方法、そして労働者の公正な待遇など9つの基準を策定し、認証活動を行います。BBP認証を取得した作物や商品には、持続可能な農産物の基準を満たすことをレインフォレスト・アライアンスによって認められたことの証としてカエルマーク(Frog Seal)が付けられます。

中南米のコスタリカやコロンビア、ガテマラなどにあるチキータの119のバナナ農園は、化学肥料不使用、農薬の使用規制、水資源の汚染防止と節水など、さまざまな厳しい管理基準を設けて運営されており、2002年に全ての農園でBBP認証を取得しました。ここで生産されるバナナは欧米に輸出され、全てにカエルのマークがつけられています。

一方、アジア向けに輸出されるチキータバナナは主にフィリピンで生産され、農園の運営は、チキータ ユニフルーティー アジアが行っています。BBP認証取得への取り組みは中南米よりも遅れて始まりましたが、2002年に、2つの農園(農園に併設の1つのパッキングハウスを含む)で認証を取得しました。

認証を取得した農園の1つ、フィリピン南部のセントラルミンダナオに位置するマウント・キタングラードでは、ブランド名「チキータ・プレシャス」という日本へ輸出する高地栽培バナナを生産しています。チキータ ユニフルーティージャパンは、2005年末から、プレシャスバナナにレインフォレスト・アライアンスの認証マークをつけ、環境にやさしいバナナとして販売を開始しました。それまで日本では、カエルマークのついた商品として、レギュラーコーヒーやコーヒー飲料はありましたが、バナナでは初めてのことです。

BBP認証のプレシャスバナナは、自然環境に配慮した持続可能な農法で栽培されていることに加え、労働者の生活レベルの向上にも配慮され労働に見合う賃金が保証されること、高品質で味もよいので一般のバナナよりも高価格で販売でき、流通を含めた全ての工程の人たちが公平に利益を享受できるしくみになっています。市場規模はまだ小さいのですが、小売店でも積極的に取り扱いを増やしており、販売量は増加傾向にあります。マウント・キタングラード農園では、2006年中に、もう1つの併設パッキングハウスでBBP認証を取得する計画で、これによりカエルマーク付きのプレシャスバナナの輸出量はさらに増える見込みです。

チキータ ユニフルーティー ジャパンは、この販売開始をきっかけに、カエルマークを活用した自社の環境活動についてのお客さまとのコミュニケーションや、レインフォレスト・アライアンスの活動の日本での普及浸透に、いっそう力を入れていきたいと考えています。

その第一弾のチャレンジとして、9月16日から10月15日までの期間限定で、東京都港区に、「コーヒーとバナナを通じて地球環境を考える"レインフォレスト ラウンジ"」を開設しています。これは、レインフォレスト・アライアンス認証取得のコーヒーを販売しているキーコーヒー株式会社と協働で行うイベントで、訪れたお客さまに、リラックスした空間で、レインフォレスト・アライアンスの認証やカエルマークについて知ってもらい、カフェのメニューを楽しみながら熱帯雨林の保護活動に参加できることを伝えることができればと、両社は願っています。

期間中はカフェレストランを借り切って、熱帯雨林をイメージさせる内装を施し、レインフォレスト・アライアンスの活動を分かりやすく展示しています。提供するメニューには、両社のレインフォレスト・アライアンスによる認証を取得したコーヒーとバナナを使ったオリジナルのドリンクやデザートがたくさん用意されています。

また、チキータ ユニフルーティー ジャパンでは、環境や健康への意識の高い消費者をターゲットにしたコンビニエンスストアチェーンと協働して、カエルマークを集めて応募するキャンペーン企画も検討中です。この他、チキータのCSR(Corporate Social Responsibility)レポートを和訳して日本向けに発行したり、流通関係者向けの広報誌の中で、レインフォレスト・アライアンスへの取り組みを特集するなど、さまざまな切り口で一歩ずつ、環境コミュニケーションの取り組みを進めています。

日本では、持続可能性な農産物への取り組みは全般的に遅れており、たとえば、オーガニック農産物に対する認証制度として法律で定められている有機JAS認証を取得した農産物は、市場全体の2%にも達していません。チキータ ユニフルーティー ジャパンの、BBP認証取得バナナを浸透させようという取り組みは、人気のあるバナナを通じて多くの日本人に持続可能な農業の大切さを気づかせるきっかけになることでしょう。


(スタッフライター 西条江利子)

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