ニュースレター

2006年07月01日

 

環境保全を通じてかけがえのないDelightを - 日本たばこ産業

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JFS ニュースレター No.46 (2006年6月号)
シリーズ:持続可能な社会を目指して - 日本企業の挑戦 第44回
http://www.jti.co.jp/JTI/Welcome.html

たばこは中南米を起源とし、西洋の歴史に「たばこ」が現れるのは、コロンブスが1492年に西インド諸島のサンサルバドル島を発見したときからです。この島に住む先住民が、コロンブスの一行に贈った品のひとつが「たばこ」の葉だったと記録に残されています。日本に「たばこ」が伝わった時期については、諸説がありますが、1600年ごろ、ヨーロッパ諸国との交易のなかで「たばこ」が伝わったという説が最も有力です。なお、2005年の日本人の喫煙率は、成人男性46%、成人女性14%となっています。

日本たばこ産業(以下、JT)は1985年、日本専売公社の一切の事業を引継ぎ、設立されました。現在、たばこ、医薬、食品事業を中心に事業活動を行っています。たばこ事業は、世界第4位の市場規模を持つ日本で、約66%のシェアを持ち、日本国内で1,894億本のたばこを販売しています(2005年度)。海外では、JT International S.A.を通じて世界の約120カ国で事業を展開し、国内と合わせた販売数量は世界第3位です。また、たばこ、医薬、食品事業など157の子会社を合わせたグループ全体の売上高は4兆6,376億円です(2005年度)。

JTは、たばこを吸われる方と吸われない方が共存し、ともに快適に過ごせる環境の提供を目指しています。JTは、自治体や関係団体とも協力し、「SMOKERS' STYLE(スモーカーズ・スタイル)」の言葉のもとに活動を展開しています。

例えば、駅や空港など公共の場所での喫煙スペースの設置協力、「あなたが気づけばマナーが変わる。」をキャッチフレーズに、テレビや新聞、電車の中吊りやブックカバーなど、さまざまな媒体を通じた喫煙マナー向上キャンペーンなどです。

また、JT社員は、地元の市民と一緒になって清掃活動を続けており、2005年度からは、「ひろえば街を好きになる運動」と新たに名称をつけて市民参加型清掃活動を展開しています。

さらに、JTは、たばこ事業を行うにあたっての基本姿勢を明らかにするために、2003年、「たばこブランディング宣言」を策定しました。これは、「たばこに関するJTの基本認識」、「たばこ事業ミッション」、社会的責任を遂行するための指針を明示した「たばこ事業運営指針」という3つのパートで構成されています。

地球環境への取り組み

JTは「JT地球環境憲章」を1995年に策定し、地球環境問題への対応に取り組んできました。2003年に環境マネジメントの範囲をJTグループ会社に拡大、2004年には、従来の環境憲章を改定した「JTグループ環境憲章」を策定し、グループとして取り組んでいます。環境マネジメント対象会社は、事業所の事業活動、製品やサービスが環境に与える影響程度、事業所の規模や機能等に応じて選定し、2005年3月現在、JTを含む国内20社、海外1社が対象になっています。

JTは、たばこ事業の葉たばこ、紙等、食品事業の野菜、茶葉等、植物を中心とした自然由来の原材料、つまり自然の恵みによって事業が成り立っていると考え、自然への感謝と、企業の社会的責任の観点から、環境保全に関する取り組みを経営の最重要課題の一つであると考えています。

たばこ事業における環境の取り組み

たばこ事業では、事業活動の各段階で環境への配慮を行っています。JTが製造している紙巻たばこは、葉たばこから作られた刻(きざみ)、麻から作られた巻紙、木材から作られたフィルター、チップペーパーで構成され、その多くが植物由来です。

□原材料調達における環境の取り組み

葉たばこの生産では、耕作農家に対して良質堆肥や有機配合肥料の使用を推奨し、農家は良質堆肥の確保などを進めています。農薬の使用にあたっては、信頼性の高い葉たばこの生産、耕作農家の安全衛生面への配慮、耕作地周辺の環境配慮を考え、耕作農家と連携して、必要最小限の使用と使用後の農薬や容器の適切な処理などに取り組んでいます。

材料品については、グリーン調達基準を策定し、取引先へ説明会を行いました。従来からの品質、コスト、供給に、環境を評価要素に加え、環境保全活動に積極的に取り組んでいる企業から優先的に調達しています。

□たばこ包装における環境配慮

プラスチックフィルムと紙箱を使っていたたばこ10箱詰め製品の包装を、2000年から順次、包装紙のみの包装に簡略化しており、その対象商品の拡大を図っています。これにより、一箱当たりで、プラスチックを100%、紙は重量で59%を削減しています。

□製造段階における環境配慮

JTのたばこ工場では、ISO14001の認証を取得し、エネルギー使用量や二酸化炭素排出量、水使用量の削減に取り組んでいます。廃棄物発生量の削減、廃棄物再資源化率の向上にも取り組み、13工場でゼロエミッションを達成しています。

□物流・営業段階における環境配慮

物流段階においては、モーダルシフトや低公害車の導入などにより、環境負荷の低減を図っています。営業車においても低公害車の使用を拡大させています。営業活動に使用するポスターやステッカーには非塩化ビニール素材や古紙を配合した素材を使用しています。

より良い自然環境の創造に向けた「JTの森」

JTは、2005年3月から、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された和歌山県田辺市中辺路(なかへち)町の熊野古道周辺の約50haの土地で、植林と森林保全活動を開始しました。この土地を「JTの森 中辺路」と名づけ、5年間で約18万本を植林し、2015年までの10年間、下草刈りや間伐などの森林保全活動を行う計画です。
http://www.kumadoco.net/kodo/about/index.html (熊野古道とは)

事業活動の環境負荷低減だけではなく、より良い自然環境の創造に積極的に貢献したいという強い思いから、この活動が始まりました。

植林候補地を選ぶにあたっては、ある程度の面積規模で実施できること、多くの社員やその家族も活動に参加できること、地域住民と一緒に活動できることなどを条件としました。社員が汗を流し自然環境を守ることの大切さ、大変さを体験することで、地球環境の大切さを理解し自ら行動するようになってほしいという期待、そして、地域の人たちに愛着をもってもらい10年間の契約が終わった後も地域で森林を育て守り続けてもらいたいと考えています。

JTの森 中辺路では、毎年春と秋に、社員や地域住民100-250名が参加して、植林や下草刈り作業と様々な交流イベントを実施しており、社員からは、自然の中で作業をする充実感や苗木の成長を楽しみにする声が聞かれています。

さらに、関西地域の中辺路町での活動に続き、関東地域の山梨県北都留郡小菅村でも、「JTの森 小菅」として、2006年5月から5年間に亘り、約13haを対象とする植林/森林保全活動を開始しました。

この活動は、針葉樹林にケヤキ、モミジ等の広葉樹を混交させた森づくりを目指す、山梨県および小菅村の試みに参画するものです。JTの森 小菅は、東京都への水道水源林の一角に位置し、水源涵養機能の向上とともに、地球温暖化対策、生態系保全など、森林の有する多面的な機能の発揮が期待されています。

より良いコミュニケーションのために

JTでは、1997年度から「JT環境報告書」を毎年発行してきました。2005年度からは、環境面に加えて社会的活動の内容を充実させ「JT社会・環境報告書」として発行しています。

おわりに

JTは、「かけがえのないDelight」を実現することによりグローバル企業として成長し続けることが、自らの社会的責任であると考え、そのためには、より良い自然環境の創造に向けた活動が不可欠であると考えています。今後も、JTグループ環境マネジメントの対象会社を広げながら、事業活動における環境負荷削減、環境配慮型商品の開発、社員への環境教育や海外も視野に入れた植林活動などを積極的に行っていく計画です。


(スタッフライター 西条江利子)

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