ニュースレター

2003年08月01日

 

日本の環境ラベル動向

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JFS ニュースレター No.11 (2003年7月号)

環境ラベルとは、環境配慮型の製品やサービスに付ける環境情報ですが、各国の代表的標準化機関からなるISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)では、環境ラベルをタイプI、タイプII、タイプIIIの3つのタイプに分けて規格を制定しています。

タイプI
タイプIは第三者機関が認定するラベルで、日本では「エコマーク」があります。(財)日本環境協会が、商品ごとに認定基準を作り、その基準に照らしてメーカーの申請を「認定」し、認定されたものに「エコマーク」をつけることができます。
http://www.ecomark.jp/

2003年6月30日現在、60の商品類型で、5,533の商品ブランドが認定されています。認定企業数は、1,883社です。HP上で、ガイドラインや認定基準が読めるほか、認定商品のデータベースがあります。

タイプII
タイプII は企業の自己宣言で、さまざまなものがあります。

たとえば、NECではエコシンボルを制定し、エコシンボルの適用製品率を2003年度までに自社ハード製品に占める売上高比率の30%以上にするという目標を掲げています。
http://www.nec.co.jp/eco/ja/04/4-2-25_2.html

エコシンボル製品の環境への効果をみると、たとえば、2000年度に出荷したエコシンボル適用製品の使用時における消費電力は、従来製品に比べ59%低減し、約12万世帯が1年間に排出する量に相当する41万トンのCO2排出量の削減という結果が得られています。

松下電器は、2003年4月よりの環境ラベルを導入しています。

松下電器では、環境配慮設計に基づいた製品を「グリーンプロダクツ」として、開発する製品への拡大をはかっています。2010年度に90%が目標ですが、2002年度は、開発した製品のうち、583機種がグリーンプロダクツとして認定され、グリーンプロダクツ開発率は41%。2002年度に開発した新製品の年間販売予想金額の約4割を占めています。

凸版印刷でも環境配慮型製品ラベルを設定しています。
http://www.toppan.co.jp/csr/index.html

その他にも、キヤノン、シャープ、東芝、日立、富士通、三菱電機などが、独自の環境ラベルを制定し、使用しています。

また個別企業ではなく、業界としての取り組みもあります。パソコンメーカーの団体である(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は2001年9月に「PCグリーンラベル」を定めました。環境にやさしいパソコンを購入したいという消費者の選択の目安となるように設定したパソコンの環境ラベル制度です。
http://www.pc3r.jp/

また、主に省エネに着目したラベル制度として、「省エネラベリング制度」「環境・エネルギー優良建築物マーク表示制度」などがあります。
http://www.eccj.or.jp/labeling/index.html
http://www.ibec.or.jp/nintei/hyouji/index.html

47都道府県団体、39民間団体(消費者、事業者及び廃棄物関連団体)により構成されているNGOであるごみゼロパートナーシップ会議は「再生紙使用マーク」を定めています。また、原料に古紙を規定の割合以上利用していることを示す「グリーンマーク」、「牛乳パック再利用マーク」、「間伐材マーク」などのほか、PETボトルのリサイクル品を使用した商品につけられる「PETボトルリサイクル推奨マーク」などがあります。
http://www.prpc.or.jp/

また、国土交通省が運営している「低排出ガス車認定」では、自動車の排出ガス低減レベルによって、超、優、良の3段階のマークがあります。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/lowgas/youryou/lowgas2.htm

タイプIII
タイプIII は環境負荷情報を定量的に表示するもので、日本では(社)産業環境管理協会(JEMAI)の運営する「エコリーフ」が2002年6月から始まっています。http://www.jemai.or.jp
http://www.japanfs.org/db/198-j

これは、資源採取から製造・物流・使用・廃棄リサイクルまでの、全ライフサイクルを通じた製品の環境データをLCA (ライフサイクルアセスメント) で計算し、製品の定量的な環境情報を示すものです。

2002年度には19製品分類について基準が制定され、56製品のエコリーフが登録、公開されました。

また、JEMAI は、タイプIII環境ラベルの国際規格化を促進し、国際レベルでの積極的な情報交換を行って、将来の国際相互認証に関する協議を行うために、1999 年に、スウェーデン、デンマーク、ノルウエー、ドイツ、イタリア、カナダ、韓国の各国に呼びかけ、「Global Environmental Declaration Network (GEDnet)」を結成し、各国の状況報告や国際規格化の進め方などの討議を行っています。
http://www.gednet.org/

また、業界が独自に定量的な環境情報を提供しているものもあります。たとえば、自動車メーカーの業界団体である(社)日本自動車工業会が、自動車の環境負荷を幅広く考慮した環境性能の一覧として、車種別環境情報を提供しています。
http://www.jama.or.jp/eco/eco_car/info/index.html

また、電気機械器具の業界団体である(社)日本電機工業会が、家電製品のライフサイクルを幅広く考慮した環境性能のデータ集として、家電製品環境情報を提供しています。
http://www.jema-net.or.jp/

では、このような環境ラベルは、一般の消費者にどのように浸透し、使われているのでしょうか?

最もよく知られている環境ラベルであるエコマークについて、エコマーク事務局が2001年1月に行った「エコマークに関する一般消費者意識」の調査があります。有効回答数のうち92%がエコマークを知っていると答え、その中でも学校で習ったことのある若い層で認知度が高いという結果でした。

さらに2000年11月に、環境省が都道府県・市区町村を対象に実施した「地方公共団体におけるグリーン購入の調査」では、「グリーン購入にあたって参考にする基準・資料」の項目で「エコマーク」が県100%、市区81.4%、町村59.9%とトップで、一般の人々にもグリーン購入の担当者にも認知度が高いことがわかります。

タイプIIについては、現在のところB to B での利用が主流であることもあり、タイプIIやタイプIIIの環境ラベルについては、環境意識の高い層をのぞいては、あまり知られていないのが現状です。「環境ラベル=エコマーク」というイメージを持つ一般消費者も多く、目的や必要な情報に応じてさまざまな環境ラベルの環境情報を利用することができるよう、環境ラベルについての普及啓発が必要です。

身近な買い物行動を通して、環境への意識を高めてもらおうと、さまざまな地方公共団体が独自の環境ラベル等の制度を設けています。リサイクル製品やエコショップの認定・指定が主です。
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/c01_01.html

(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)の環境委員会では、消費者の環境ラベルへの意識啓発をはかるため、さまざまな学習会やシンポジウム、展示を開催しているほか、「消費者が望む環境ラベル10原則」として、環境ラベルを消費者への情報提示として用いる場合の原則を提示しています。
原則1 十分な量の情報があること
原則2 わかりやすいこと
原則3 具体的な表現であること
原則4 トータルな情報であること
原則5 比較できること
原則6 信頼できること
原則7 社会のニーズを反映していること
原則8 検証されていること
原則9 「消費者の知る権利」に対応していること
原則10 「消費者の意見をいう権利」が確保されていること
http://www.nacs.ne.jp/~ecology/label/label_10.html

生産者と消費者の両方を持続可能な方向へ進めていくひとつのツールとして、環境ラベルの役割は重要です。ラベル制度のみならず、活用の事例やその効果についても、注目していきたいと思います。

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