ニュースレター

2003年05月01日

 

国等のグリーン購入促進の実際の内容は? そして、その効果は?

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JFS ニュースレター No.8 (2003年4月号)

2002年12月号で「広がり深まるグリーン購入・グリーン調達の動き」についてご紹介しました。グリーン購入法について詳しく知りたい、という声に応え、今回は、グリーン購入法の内容と、このグリーン購入促進によって、実際にどのくらいの環境負荷が低減したのか、また、環境配慮型製品の市場形成のどのくらい貢献したのか、という環境省の調査結果をご紹介します。

12月号に書いたように、2000年4月に、日本政府は、主に逼迫する廃棄物処分場問題への対処として、「循環型社会形成推進基本法」「廃棄物処理法」「資源有効利用促進法」「容器包装リサイクル法」「家電リサイクル法」「建設資材リサイクル法」「食品リサイクル法」「グリーン購入法」を定めました。

日本の環境法について、JFSのサイトにまとめてありますので、ご参考に。
http://www.japanfs.org/ja/japan/laws.html

年間約4億トン排出される産業廃棄物と約5千万トン出る一般廃棄物をできるだけ減らし、特に最終処分場へ送られる廃棄物量を減らすために各種リサイクル法ができたのですが、リサイクル製品が市場で購入されないとリサイクルが進まないため、「グリーン購入法」が制定されました。

グリーン購入法の英語訳はこちらにあります。
http://www.env.go.jp/en/laws/policy/green/1.pdf

グリーン購入法の目的は、「環境負荷の少ない持続可能な社会を構築するために環境負荷の低減に資する物品・役務(環境物品)を推進・普及する」ため、
(1) 国などの公共部門において、このような環境物品の調達を推進すること
(2) 情報提供を進めていくこと
です。

2001年1月には基本方針と101品目の特定調達品目およびその基準が出されました。2002年には、特定調達品目を50品目追加し、公共工事の品目として17品目が追加されました。また、今年2月には24品目を追加しました。

基本方針などは、こちらに英語訳があります。
http://www.env.go.jp/en/laws/policy/green/index.html

特定調達品目としては、紙類、文具類、機器類(椅子、机、棚、コートハンガー、傘立て、掲示板、黒板、ホワイトボードなど)、OA機器(コピー機、パソコン、ファクシミリなど)、家電製品(冷蔵庫、テレビ、ビデオ)、エアコン、照明、自動車、制服・作業服、インテリア(カーテン、カーペット、毛布など)、作業手袋、繊維製品(テント・シートなど)、設備(太陽光発電システム、太陽熱利用システム、燃料電池、生ごみ処理機)、公共工事(資材、建設機械、工法、目的物として高機能舗装、屋上緑化)、 役務(省エネルギー診断、印刷、食堂、自動車タイヤ更正)があります。

グリーン購入法によって、国の機関は、グリーン購入法にのっとって調達方針を作成し、調達方針に基づく物品の調達を推進し、調達実績を取りまとめて公表することが義務づけられています。

このように、国が率先してのグリーン購入を進めているのですが、その目的とする「需要の転換により環境負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」にどれほどの効果を発揮しているのでしょうか?

環境省では、2001年度の実績をもとにいくつかの特定調達品目について、環境負荷低減効果の試算、特定調達物品の市場形成の状況の調査をおこない、今年2月にその結果を発表しました。

たとえば、コピー用紙を見てみましょう。特定調達物品として認められるコピー紙は、(1)古紙配合率100%かつ白色度70%程度以下であること、(2)塗工されているものについては、塗工量が両面で12g/平方メートル以下であること、という基準を満たしたものです。

グリーン購入法の対象となる国等の機関(国会、裁判所、省庁、独立行政法人、特殊法人)が平成13年度に調達したコピー用紙は合計で80,932トンでした。そのうち、特定調達物品は74,958トンと、92.6%を占めていました。積極的な取り組みがうかがえます。

この特定調達物品の調達量74,958トンが、すべてバージンパルプ100%のコピー用紙だった場合と比較すると、原材料として使用されるパルプ材を207,000立米削減したことになります(幹径30cm×高さ10mの立木292,000本に相当)。

また、コピー用紙の国内出荷量に占める特定調達物品の割合は、平成12年度の11.6%から、平成13年度は23.6%へ、2倍以上に増加しています。また、古紙配合率の低いコピー用紙が減り、古紙配合率100%など、配合率の高いコピー用紙が増えています。

平成13年度の特定調達物品の国内出荷量179,860トンのうち、国等の調達実績は74,958トンと41.7%を占めています。国等のグリーン購入が特定調達物品の市場形成に大きく貢献していることがうかがえます。

同様に、文具類ではプラスチックや立木換算での削減量を、コピー機やパソコン、テレビでは、省エネ機器による電力・二酸化炭素排出の削減量を、自動車では、窒素酸化物・二酸化炭素排出の削減量などを試算するとともに、市場創出・形成に対する効果も計算されました。

日本の最終消費支出のうち、国および地方公共団体はあわせて16.7%を占めています。そのうち、地方公共団体は国の約3倍を占めていることから、今後、国等から地方公共団体にグリーン購入が普及するにしたがい、さらに実際の環境負荷の低減と環境物品の市場形成につながるものと期待されています。

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