ニュースレター

2003年02月01日

 

日本の環境行政

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JFS ニュースレター No.5 (2003年1月号)

日本の環境行政は、環境省を中心に展開されてきました。環境省は、公害が激しかった時代、1971年に環境庁として設立されました。2001年に中央省庁が1府22省庁から1府12省庁に再編された際に、環境省に格上げされました。

しかし、職員数が30万人、予算規模18兆円超の巨大な総務省や、6万8千人の職員を抱え、公共事業予算の7割以上を握る国土交通省などに比べると、職員数1100人余の環境省はとても規模が小さいのです。政府全体の職員数のなかで、環境省が占める割合は0.001%強にすぎません。中央官庁で残業時間が一番多いのも環境省だといわれています。

環境問題は、特に経済活動と切り離せない性質からいっても、さまざまな省庁の管轄範囲に関わる問題です。環境省は主に調整役を担う立場にありますが、実際には、環境行政に関する権限は各省庁に分散しています。ここでは、最初に環境省の組織と管轄、その後に他省庁の管轄事項について、簡単にご紹介します。
環境省には1つの官房、4つの局、3つの部があります。
http://www.japanfs.org/ja/join/cat46/pages/010240.html

◎総合環境政策局:環境保全に関する基本政策の企画、立案及び推進、事務の総合調整。
環境基本計画、環境白書、環境教育と環境学習の推進、こどもエコクラブ事業、環境カウンセラー制度、環境研究と環境技術の推進、事業者の自主的環境保全活動(ISO14001や環境活動評価プログラム、環境報告書や環境会計)、グリーン購入、環境アセスメント

◎地球環境局
地球温暖化、オゾン層の保護(フロン等対策)、酸性雨、海洋環境、地球環境研究・モニタリング、国際環境協力

◎環境管理局:
工場・事業場(固定発生源)の大気汚染防止、自動車交通(移動発生源)の公害対策、ダイオキシン対策、生活環境保全対策(騒音・振動・悪臭・低周波音・ヒートアイランド・光害など)

◎水環境部
水環境、土壌環境、地盤環境の保全、農薬による汚染防止、環境保全上健全な水循環の確保、ダイオキシン類対策

◎自然環境局
生物多様性の保全、自然環境保全地域・自然公園など自然を守る取り組み、自然とのふれあいの推進、飼養動物の愛護・管理、国際協力の推進(渡り鳥の保護のための条約や協定、ラムサール条約、ワシントン条約、世界遺産条約に基づく自然遺産である屋久島及び白神山地の保全、国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)など)、野生生物の保護管理(トキ、イリオモテヤマネコなど国内で絶滅のおそれのある57種、ゴリラ、ジャイアントパンダなど国際的に保護すべきとされている約600種の希少野生動植物)

◎廃棄物・リサイクル対策部
循環型社会の構築、廃棄物の適正処理、廃棄物の減量化、リサイクルの推進、PCB廃棄物、廃棄物処理施設におけるダイオキシン類対策、大都市圏の廃棄物対策、生活排水の適正処理(合併処理浄化槽の整備)

◎環境保健部
化学物質の環境リスク対策、公害健康被害の補償等(水俣病など)

◎大臣官房:人事、法令、予算などの総合調整、政策評価、広報活動、環境情報の収集

環境省以外の省庁が管轄する環境行政の主なものを下に示します。
(各省庁へのリンク→ http://www.kantei.go.jp/jp/cyuo-syocho/madoguchi.html

△国家公安委員会・警察庁 公害罪その他の環境関連犯罪
△外務省 条約、国際会議
△財務省 財政、環境税
△文部科学省 原子力、科学技術、環境教育、エコスクール
△厚生労働省 水道、廃棄物、ダイオキシン対策、内分泌かく乱化学物質、食品 添加物、牛海綿状脳症(BSE)、遺伝子組換え食品
△農林水産省 国有林、森林法 漁業資源、農薬
△経済産業省 省エネ、環境技術、有害廃棄物の輸出入、稀少野生動物の輸入、 地球温暖化対策、産業界関連、環境ビジネス振興、化学物質対策、リサイクル 法、自動車
△国土交通省 飛行場、港湾、河川改修、都市計画、下水、都市公園、土地
 利用、自動車交通関連
△内閣官房 地球温暖化対策推進本部、21世紀『環(わ)の国』づくり会議

環境行政全体のビジョンを示すのが「環境基本法」です。環境基本法のほかにも、日本には数多くの環境関連の法律があり、特に近年、その数も種類も増加の一途をたどっています。

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