ニュースレター

2002年11月01日

 

いつでも・だれでも・どこでも「環境マネジメントシステム」

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JFS ニュースレター No.2 (2002年10月号)

事業活動が環境に与える負荷を継続的に改善していくためのしくみが「環境マネジメントシステム」です。環境マネジメントシステムの国際規格がISO14001ですが、日本の認証取得事業所数は、2002年8月末現在で9,929件。

これは世界トップの認証件数です。ドイツ、英国、スペイン、スウェーデン、米国と続きますが、いずれも2,000-3,000件台であることを考えると、突出した取得数となっていることが分かります。1996年に規格が発行されて以来、日本では当初、特に海外へ輸出している電機・電子機器業界の取得が多数を占めていましたが、現在では、あらゆる業種にISO14001取得の動きが広がっています。

しかしながら一方では、ISO14001認証取得は荷が重いと二の足を踏む中小企業も多いため、中小企業にも取り組みやすい環境マネジメントシステムのツールがいろいろと用意されていることは、日本独自の特徴です。

環境省は「環境活動評価プログラム(エコアクション21)」を作成し、二酸化炭素、資源、廃棄物にしぼったプログラムで、中小企業の取り組みをうながしています。

環境活動評価プログラムの英語版を近日中にJFSのウェブにアップする予定です。

ソニーは、独自の簡易型環境マネジメントシステム「シンプルEMS」を作成し、一定規模以下の非製造事業所や取引先に、リスクマネジメントの一環としてこのシステムを勧め、構築の支援をしています(1999年度版環境報告書27ページ参照)http://www.sony.co.jp/SonyInfo/Environment/issues/report/1999/index.html

交通エコロジー・モビリティ財団では、トラック運送事業者のために、ISO14001に基づいたグリーン経営推進マニュアルを作成し、中小企業が99%を占めるトラック運送事業者のCO2やコストの削減を支援している。

また、地域ぐるみで環境マネジメントシステムの構築を進めているのが、水俣市です。水俣市は、水俣病という悲しい歴史を教訓に、さまざまな面で環境モデル都市の実現に向けて取り組んでいます。

1999年2月に水俣市役所がISO14001の認証を取得しました。その後、中小企業に対して、経営基盤の形成、職場の活性化、環境リスクの回避、コストダウン、取引先の拡大、環境情報管理の充実を図るため、水俣市役所が取得した環境ISOシステム構築のノウハウを公開し、市内の中小企業に対して、簡易な環境ISOシステム構築を支援しています。

また、水俣市のユニークな取り組みとして、家庭版ISOと学校版ISOを作成し、家庭でも学校でも、あらゆる人々が「環境マネジメントシステム」の考え方や進め方を身につけられるようにしています。

また、NPO法人国際芸術協力機構では、ISO14001の骨子をベースとした環境マネジメントシステムの教育支援プログラムを作成し、「Kids ISO」として普及させています。これは、子供たちひとりひとりをリーダーに、各家庭で計画を立て、実行に移すことで環境問題に取り組むものです。
参考サイト→http://www.artech.or.jp/japanese/kids/kids.html

もっと手軽に「知るところから始めよう」というツールが、環境省の作成した「環境家計簿」です。これは、市民一人一人が自らの日常生活と環境とがどのように係わっているのかを知り、自分の生活にともなって生じる環境への負荷を減らし、環境にやさしいライフスタイルを実行していくための道具です。

たくさんの自治体や企業・団体でもそれぞれの「環境家計簿」の取り組みを進めています。

認証の有無に関わらず、さまざまなレベルで環境マネジメントシステムを導入することで、「P-D-C-A」(計画し、実行し、チェックし、是正して実施する)の考え方やサイクルを定着させることができます。子どもも主婦も企業人も、会社も地域も、同じ「言葉」で話せるようになるということです。これは今後の日本の環境への取り組みにとって、非常に強力な基盤となることでしょう。

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