ニュースレター

2002年11月01日

 

進む「燃料電池革命」

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JFS ニュースレター No.2 (2002年10月号)

日本では現在、産官学民あげての「燃料電池」への取り組みが熱い話題となっています。燃料電池とは、水素と空気中の酸素を電気化学反応させることで電気を作る装置。二酸化炭素を出さず、排出物は水だけというクリーンエネルギーの切り札として、世界的に注目されている技術です。

もっとも華々しく「燃料電池」をめぐる競争や新たな提携関係などが展開しているのが、自動車業界です。たとえば、燃料電池車の市場一番乗りをめざして、熾烈な競争のまっただなかにいるトヨタやホンダ。
たとえば→http://www.japanfs.org/db/7-j

また、パフォーマンスの高いハイブリッドシステムを、10年以上の長期間にわたり、トヨタが日産に供給する提携関係が成立しています。記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/113-j

燃料電池車は、日本市場では今年末に販売が開始される予定で、プロトタイプや販売契約締結の発表など、次々と新しい動きがでています。

また、燃料電池自動車の普及に不可欠のインフラ整備の研究も進みつつあります。たとえば、東邦ガスでは、燃料電池自動車への燃料供給のための都市ガス改質水素ステーションを総合技術研究所の敷地内に建設しました。

自動車用以上に大きな可能性があるといわれているのが、一般家庭用の定置型燃料電池です。既存のガスパイプラインをそのまま使って、天然ガスから水素を取り出し、燃料電池で発電し、電気も廃熱も利用しようという燃料電池システムの開発に、ガス会社がしのぎをけずっています。

日本最大のガス会社である東京ガスでは、2004年度に家庭用燃料電池システムを市場に導入する計画です。また、日本第二位のガス会社である大阪ガスでは、1994年4月から5年間、社員16家族が入居してさまざまな居住実験を行った実験集合住宅「NEXT21」に、住宅用として日本で初めてリン酸型燃料電池によるコージェネレーションシステムを採用しました。また、荏原バラード株式会社、Ballard Generation Systems, Inc.、株式会社荏原製作所と、固体高分子形燃料電池を用いた家庭用コージェネレーションシステムの共同研究を進めています。

また、最近めざましく開発が進んでいるのは、パソコンや携帯電話用の燃料電池です。携帯電話などのモバイル機器の機能が高まるにつれて、現在主に使われているリチウム電池では対応が難しくなりつつあり、新たな電源を開発する必要に迫られているからです。

たとえば、「東芝と日立、携帯用燃料電池開発」記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/81-j

「カシオ計算機、携帯機器に最適な小型高性能燃料電池の研究開発に成功 」記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/15-j

燃料電池は水素を燃料としますが、その水素は天然ガスのほか石油やブタンからも、メタノールやバイオマス資源、廃棄物などからも取り出すことができます。水素をどのように作り出すか、各業界・各社で開発競争が進められています。
たとえば、灯油から。記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/79-j

生ゴミから。記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/89-j

その他、東京ガスフロンティア研究所では、「雑草100kgから発生する水素で一般家庭1日分の電力をまかなえる」と、雑草水素システムの開発も行っています。
参考サイトはこちら→http://www.netdecheck.com/sensing_tech/incubation/zassoH2/

このように、さまざまな業界で燃料電池への取り組みを進めていますが、日本政府も力を入れています。2001年1月に経済産業省がまとめた試算では、燃料電池自動車と家庭用定置型燃料電池をあわせた市場規模は、2010年で1兆円、(燃料電池自動車約5万台、家庭用定置型燃料電池約120万台)2020年では8兆円(燃料電池自動車約500万台、家庭用定置型燃料電池約570万台)規模に成長すると予測しています。
参考サイトはこちら→http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g10131nj.pdf

そのために、燃料電池の実証プロジェクトをスタートさせています。
記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/40-j

また、燃料電池自動車の普及を制度面から支援するために、国土交通省が保安基準の策定に取りかかっています。
記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/62-j

普及に弾みをつけるため、燃料電池自動車を非課税扱いにすることも検討中です。
記事はこちら→http://www.japanfs.org/db/125-j

燃料電池をめぐるさまざまな技術開発や制度設計、企業の動きは目が離せません。ときどき、JFSのInformation Center で「燃料電池」というキーワードでチェックしてみて下さい!

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