2016年01月17日
Keywords: 市民社会・地域
イメージ画像: Photo by NASA Goddard Space Flight Center Some Rights Reserved.
国際的な環境保全団体WWF(世界自然保護基金)ジャパンは2015年10月15日、2020年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京大会)を、日本が持続可能な社会に大きく近づく変革の契機とするよう求める提言を公開しました。「地球1個分の暮らし」方が、東京大会のレガシーとして人類共通の一つの未来に受け継がれていくことをめざすよう、提案しています。
「地球1個分の暮らし」とは、WWFが掲げる持続可能な社会のためのコンセプト。人間による消費が限りある地球の再生産力の範囲内に収まる社会を実現するために、注力すべき「よりよい生産」「より賢い消費」など5つの取り組み分野を示しています。
http://www.wwf.or.jp/earth/
本提言の重要テーマは、「低炭素社会の実現」と「責任ある調達の根付いた社会の実現」です。
「低炭素社会の実現」では、世界最高水準の省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の活用を掲げ、CO2削減のため低炭素交通等、具体的なプロジェクト例を示しています。省エネルギーのプロジェクト例としては、大会関連施設および商業施設に対し、世界最高水準の省エネルギーとCO2削減を求めていくというものがあります。
これは2015年度内に改定される東京都環境基本計画を、オリンピックを見据えた世界最高水準の低エネルギー、低カーボン基準にアップデートし、その基準を組織委員会、東京都、国の大会関連施設すべてが遵守することを求めるというものです。基準を随時アップデートすることにより、オリンピック時だけでなく2020年以降も段階的に低エネルギー、低炭素型の都市となっていく契機とします。
「責任ある調達の根付いた社会の実現」では、東京大会に関わる全ての調達を行う組織およびその納入者対して、
という三原則を提案しています。
WWFとして特に環境への影響が大きいと考える木材、紙製品、パーム油、水産物に関しては、信頼できる認証制度の活用および具体的な調達コードを求めています。たとえば木材は、適切に利用すれば再生可能な資源です。しかし世界の森林では違法伐採ないし合法であっても環境面、社会面で持続可能ではない木材生産が行われている場合があります。そこで森林減少・劣化を引き起こさない、生物多様性や地域社会に配慮した木材を選んで調達することが調達コードとして提言されています。