エネルギー・地球温暖化

2016年09月26日

 

日本海に洋上風力発電が広がる未来、地熱とバイオマスでも電力を増やす

Keywords:  再生可能エネルギー  市民社会・地域 

 

写真:ミドルグロン風力発電所
イメージ画像: Photo by Kim Hansen Some Rights Reserved.

秋田県の沖合3カ所で洋上風力発電所の建設計画が進んでいます。陸上でも風力発電が拡大する一方、地熱やバイオマス発電の開発プロジェクトが活発になってきました。節電・蓄電・発電の最新ニュースを発信しているスマートジャパンの許可を得て記事を要約し、再生可能エネルギーの導入量を10年間で倍増させる計画についてお伝えします。

いよいよ日本の近海にも洋上風力発電が広がる状況になってきた。特に大規模なプロジェクトが集中しているのは秋田県の西側だ。能代港と秋田港では陸地に近い水深30メートル以下の浅瀬を利用して、大型の風車10基以上を設置する計画が進んでいる。

2カ所とも秋田県が再生可能エネルギーを拡大するために選定した海域で、漁業権は設定されていない。能代港の沖合では5.6平方キロメートルの洋上に16~20基の大型風車を配置して、最大で100MWの発電能力を見込んでいる。一方の秋田港の沖合では3.3平方キロメートルの洋上に11~14基の大型風車を設置して最大70MWの発電能力になる予定だ。

順調に進めば2018年に2つの海域で工事に着手して、2021~22年に運転を開始できる見通し。能代港と秋田港の沖合は年間の平均風速が毎秒7メートルを超える。国内でも有数の風力発電の適地である。風力発電の設備利用率は30%程度を見込める。

2カ所を合わせて最大170MWの発電能力になると、年間の発電量は4億4700kWhにのぼる。一般家庭の使用量に換算して12万世帯分になり、秋田県の総世帯数の3割が消費する電力量に匹敵する。

さらに2カ所の中間に位置する海域では、はるかに大規模な洋上風力発電所を建設する計画も始まった。最大455MWの洋上風力発電所を開発中だ。実現すれば秋田県の8割以上の家庭が必要とする電力を供給できる。

対象の海域は沖合の49平方キロメートルに及ぶ。水深は30メートル以内で、発電設備を海底に固定する着床式で建設できる見込みだ。風車の数は75~120基を予定している。2016年3月に環境影響評価の手続きを開始して、国の認可と地元の理解を得るプロセスに入った。

沖合で洋上風力発電の開発が相次いで始まる一方、陸上でも風力発電所が続々と運転を開始している。その中でも最大の規模を誇るのは、2015年12月に運転を開始した「ユーラス由利高原ウインドファーム」である。

1基あたり3MWの風車17基を高原に設置して51MWの発電能力がある。年間の発電量は3万世帯分に相当する。この風力発電所が立地する由利本庄市の総世帯数と同等の規模の電力を供給できる。

秋田県では2016年度から風力をはじめ地域のエネルギー資源を活用して新産業を創出する戦略に着手した。再生可能エネルギーによる発電設備を10年間で2倍の規模に拡大することが目標だ。風力や太陽光に加えて、地熱発電とバイオマス発電を積極的に伸ばしていく。

地熱発電の開発計画は温泉地で有名な南部の湯沢市を中心に広がる。1998年から「上の岱地熱発電所」が発電能力29MWで運転を続けている。地熱発電の設備利用率は標準で70%と高い。

上の岱地熱発電所を囲むように、現在3カ所で地熱発電所の開発プロジェクトが進んでいる。先行しているのが「山葵沢地熱発電所」の開発だ。地下から蒸気と熱水を取り込むための生産基地3カ所に加えて、発電後の熱水を地下に戻すための還元基地2カ所を発電所の周辺に建設する計画だ。発電に利用した熱水を地下に還元して環境保全を図る。

地熱発電よりも短期間に開発できるバイオマス発電では、新しい方式による試みが北部の北秋田市で始まろうとしている。地域の特産品を販売する「道の駅」にフィンランド製の木質バイオマス発電装置を導入して、再生可能エネルギーの地産地消を推進する計画だ。

バイオマスからガスを生成して発電に利用する取り組みは、秋田市の生ごみ処理施設でも始まる。地元のホテルや飲食店などが排出する食品廃棄物を収集して、メタン発酵によってバイオガスを生成してから発電に利用する。

出典:スマートジャパン

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