エネルギー・地球温暖化

2015年06月06日

 

企業ネットワーク、政府に意欲的な温室効果ガス削減目標を求める

Keywords:  エネルギー政策  地球温暖化 

 

図:温室効果ガス削減目標

持続可能な低炭素社会の実現をビジネスの視点から目指す企業ネットワーク「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)」は2015年3月2日、「日本の気候変動政策に関する政策提言」を発表しました。更に、4月に開示された日本政府の温室効果ガス削減目標に対し、意欲的な目標設定を求める意見書も発表しています。

Japan-CLPは、持続可能な低炭素社会を実現するためには「産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動をとるべきである」という認識の下、2009年に日本独自の企業グループとして設立されました。2015年4月現在、JFS法人会員である富士通、LIXILグループなど、10社がメンバーとして加盟しています。

〈参考〉
Japan-CLP公式ウェブサイト

背景

2014年10月、IPCC第5次報告書が公開されました。そこには、現状のCO2排出を続けると気温上昇が2℃を超えること、それを防ぐには今世紀末頃には排出量をゼロに近づけるか、またはマイナスにする必要がある、という重要な科学的知見が示されています。

世界各地では、気候変動によると思われる自然災害が既に発生しており、十分な緩和策を取らなければ気候変動に対するリスクが増大し、膨大な経済損失につながることは明らかです。国際社会では、2015年12月に開催されるCOP21における国際枠組みの合意に向け、各国での準備が進み、過去消極的とされた米国や中国もCO2削減の意欲的な目標値を表明しています。

一方で日本は、1980年代後半から改善は見られず、改善が進んでいる英国、ドイツ、フランスなどの後塵を拝しており、第四次環境基本計画で示された目標も、気温上昇を2℃未満に抑えるための最低限のものにとどまっています。

提言要旨


『2020年以降の中長期目標を早期に設定すべき』

  • 閣議決定されている長期目標「2050年に80%削減」は最低限の目標と認識し、2030年を目処とした中期目標の早期設定、2020年の目標見直しを行うべき。
  • できるだけ早期にCO2削減を進め、2050年以降も必要最低限のCO2排出が可能となるようにすべき。

『目標達成に向けたグリーン経済への移行政策を進めるべき』

  • グリーン経済へ移行すべく、炭素税、排出量取引等の炭素価格付け政策について検討すべき。
  • 制度設計は、市場混乱などの問題を生じさせないもの、企業や市民による自主的な低炭素社会への行動を促すものとすべき。
  • 炭素の価格付けに加え、情報周知や前向きな規制を組み合わせ、グリーン市場拡大を政策的に進めるべき。
  • 再生可能エネルギーの導入目標を早急に定め、着実に導入量の増加を図るべき。

『企業は低炭素社会実現の牽引車としての役割・責任を果たすべき』

  • サプライチェーン全体を通した省エネ・省資源型事業活動の展開、顧客への省エネ型・省資源型商品やサービスの開発と提供を更に強化すべき。
  • 政府や異業種と連携して、新たな低炭素社会基盤構築に積極的に参画するとともに、政策等の環境整備を、政府に対して積極的に提案・提言していくべき。

日本の気候変動政策に関する政策提言
http://www.japan-clp.jp/news/pdf/Japan-CLP_agenda_20150302.pdf

Japan-CLPでは、2030年に2013年比26%(2005年比25.4%)削減という日本政府による中期目標案が示されたことを受け、日本が積極的に気候変動問題に取り組むには、更に意欲的なものへと深堀することが望ましいとの考えから、1990年比30%(2005年比約36%)以上が望ましいとする目標を提示しました。

日本の温室効果ガス削減目標に対する意見書
http://www.japan-clp.jp/news/pdf/20150529_Japan-CLP_document.pdf
意見書リリース文
http://www.japan-clp.jp/news/news_2015.html#150529

なお、環境省では2015年6月3日~7月2日の期間、2020年以降の温室効果ガス削減目標を含む約束草案(政府原案)についての意見募集(パブリックコメント)を実施しています。
http://www.env.go.jp/press/101079.html

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