政策・制度・技術

2015年01月17日

 

川崎市、生活保護受給者の就労支援を実施

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写真:団地と公園
イメージ画像: Photo by いしだひでヲ

日本では、生活保護に費やす金額が年々多くなってきています。一方で生活保護受給者の中には、働く意志はあるのに働くことのできない人も少なくありません。このような状況の中、生活保護受給者の就労を支援する取り組みが、日本全国に広がろうとしています。ここでは、川崎市の取り組みをお伝えします。

川崎市は2014年4月24日、IT企業の(株)アイエスエフネット(以下、ISFnet)と連携して行っている「生活保護受給者向けの雇用創出事業」において、2013年4月以降、102人が職を得たことを明らかにしました。

川崎市の生活保護受給者は2014年3月現在24,147世帯、32,847人、生活保護に関する2014年度の予算額は599億円に上っており、就労困難者の雇用創出が課題になっています。

ISFnetは、経営理念・哲学として「限り有る資源の有効活用と次世代の働く環境の創造」を大義に掲げ、様々な事情で就労が難しい人々に対して、安心して働ける環境を創造し、提供することに取り組んで幅広く事業を展開しています。

川崎市とISFnetは2013年4月に包括協定を締結、生活保護受給者等の就労困難者の100名の雇用創出を宣言しました。同年12月には、障害者就労移行支援事業所のNPO法人FDAを川崎駅前に開設、2014年3月に株式会社アイエスエフネットケア川崎を幸区に設立するなど体制の強化を進め、2014年4月、目標に掲げた100名の雇用創出を達成しました。

本雇用創出事業では、生活保護受給者がISFnetで就労するためのしくみが作られ、さまざまな工夫が施されています。就労志望者は、事前研修を受けてから採用面接に際臨むのですが、希望すれば面接前に面接官への相談をすることができるなど、志望者の不安を取り除くための配慮がなされています。

面接が終わると、志望者は「すぐに働ける」「働くことが難しい(ボーダー)」「引き続き生活保護が必要」の3種類に区分されます。「すぐに働ける」と判断された人はISFnetに有期雇用(2~3カ月)され、研修やOJTを行った後、正社員として入社します。「働くことが難しい(ボーダー)」と判断された人は、就労事前研修を受けた後、就労に向けた進路判断がなされ、より実務的な次の段階に進みます。「引き続き生活保護が必要」と判断された人は、最長2年間の移行期間を利用して働くための訓練を行い、就労を目指します。

このように区分ごとのきめ細かい対応をすることにより、より多くの生活保護受給者に対する雇用創出を実現しています。雇用後の就労定着支援も行っており、生活保護からの真の脱却を目指せるしくみになっています。

川崎市とISFnetでは、この取り組みの成果やしくみを全国に発信しています。働きたくても働くことが出来ない人が多くの人たちのために、同様の取り組みが全国に広がり、生活保護問題対策の一助となることが期待されます。

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