エネルギー・地球温暖化

2014年11月26日

 

農村の再生は太陽光でスマートアグリ、砂防ダムに小水力発電を

Keywords:  再生可能エネルギー  地方自治体  環境技術 

 

写真:石川県羽咋周辺
イメージ画像:Photo by *sii Some Rights Reserved.

石川県では、農村や山間部を中心に、再生可能エネルギーが広がりつつあります。節電・蓄電・発電の最新ニュースを発信しているスマートジャパンの許可を得て、記事を要約し、石川県における再生可能エネルギー導入の取り組みについてご紹介します。

石川県にある人口2万3000人の羽咋市(はくいし)。市の面積の4割近くを水田が占める農業の盛んなところだが、最近は農家が減って「耕作放棄地」が目立ってきた。その解決策の1つとして、太陽光発電を組み合わせた収益性の高い事業モデルを導入する構想が進んでいる。

羽咋市内にある50万平方メートルに及ぶ農業地区で、9割が耕作放棄地になっている場所がある。その地区を対象に農地の地権者から土地を借り受けて再生させる計画だ。

同時に、農地を活用した営農型の太陽光発電事業も実施して、売電収入を得られるようにする。いわゆる「ソーラーシェアリング」である。ソーラーシェアリングが成功すれば、全国の耕作放棄地を再生するモデルになるだけに、関係者の期待は大きい。

太陽光発電を農業に生かす試みでは、開発中の「スマートアグリシステム」も注目を集める。温室栽培を対象にしたシステムで、発電効率の高い追尾集光式の太陽光発電を利用して、温室内の温度や光量などを最適な状態に維持することができる。

さらに「熱電発電」と呼ぶ方法を併用する。追尾集光式の太陽光発電に用いる冷却液の沸騰により蒸気を発生させ、その蒸気で発電する仕組みだ。太陽光とのダブル発電によって、自然エネルギーを高い効率で電力に変換することが可能になる。

プロジェクトでは、実際に温室に適用しながら効果を検証する予定だ。高効率の発電システムで電気代を削減しながら、従来よりも収穫時期を拡大して収穫量を増やせる効果が見込める。

全国で第1位の降水量を小水力発電に

石川県の南部には山間部が広がり、水力発電所が数多く点在している。石川県は年間の降水量が全国で最も多く、水力発電に適した地域である。自治体を中心に、農業用水路などを活用した小水力発電の取り組みも広がってきた。

小水力発電の対象の1つになるのが、県内の各地域にある砂防用の堤堰(えんてい)である。年間を通じて降水量が多いことから、土砂災害を防ぐために設けたダムの一種だ。石川県で最大の「平沢川(ひらさがわ)砂防堤堰」で、小水力発電のプロジェクトが始まろうとしている。

堤堰の上流から導水管を敷設して、堤堰のすぐ下の地下に設置する発電機まで水を取り込む。これで水流の落差は約20メートルになる。最大で毎秒1.5立方メートルの水量を利用して、198kWの電力を供給することができる。少ない水量でも効率的に発電できる「S型チューブラ水車」を採用する。

この発電機は、2015年2月に運転を開始する予定だ。年間に290日の稼働日数を想定して、発電量は約100万kWhを見込んでいる。売電収入は3300万円程度になり、15年間かけて投資額の3億円を回収する計画である。

これまで石川県の再生可能エネルギーの導入量は多くなかったが、今後は農村を中心に太陽光発電が広がって、規模は小さくても導入効果の高い取り組みが増える見込みだ。再生可能エネルギーを活用した新しい農業のモデルが、石川県から生まれる期待は大きい。

出典:スマートジャパン

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