エネルギー・地球温暖化

2014年03月09日

 

地域主導で自然エネルギー100%の地域をめざす

Keywords:  再生可能エネルギー  NGO・市民  市民社会・地域 

 

写真:コミュニティパワー国際会議2014 in 福 島
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国内外の地域エネルギー関係者が集う「コミュニティパワー国際会議2014 in 福島」が2014年1月31日から2月2日までの3日間、福島県内の3地域で開催された。50名を超える国内外のスピーカーと、日本全国から延べ700名の参加者が、地域主導による自然エネルギー100%の可能性について議論した。環境エネルギー政策研究所が主催し、昨年の山口県宇部市に続く3回目の開催。

南相馬市を会場とする初日は、現地視察の後、タウンミーティングが開かれた。オーストラリア初の市民風車を運営する協同組合担当者から事例が報告され、南相馬で自然エネルギー事業を進める市民などと交流した。

本会議1日目には、100%自然エネルギー社会の実現に関する基調講演に続き、福島からコミュニティパワーを考えるパネルディスカッションが行われ、震災・原発事故からの復興をめざす福島県から見た自然エネルギーへの取り組みの重要性が示された。3・11を機に脱原発を決定した福島県が、2040年までに自然エネルギー100%を目指す「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」をすでに定めている意義も再確認された。

2つの会場に分かれた分科会では、「リーダーシップと起業家精神」「人材育成と場づくり」「自然エネルギーと社会的合意」などのテーマで、国内外の事例を踏まえた活発な議論が行われた。「地域エネルギー政策と地域経済」については、ドイツの「自然エネルギー100%地域」や長野県などでの政策や事例が紹介され、地域経済への効果が示された。

さらに、コミュニティパワー・イニシアチブの活動紹介として、日本全国30以上の地域から「ご当地電力」のメンバーがステージ上に勢揃いして意気込みを発信。地域主導の自然エネルギー事業を支援する新たな仕組みとして「福島コミュニティパワー基金」の設立も発表された。

最終日となる喜多方市内での本会議では、福島での現状を踏まえた基調メッセージや会津電力などによる自然エネルギーの取り組みが紹介された。分科会では「ファイナンス」「自然エネルギー100%~地域のエネルギー自立とデモクラシー」「コミュニティパワー・ラボ」など多様なテーマが議論されたほか、地域ごとの知見やノウハウを広く共有する「ネットワーキング」の重要性が共有された。

「世界自然エネルギー未来白書」の著者であるエリック・マーティノー氏の講演や、全セッションの総括が行われた後、最後に福島から世界に向けてここから歴史を変えるとした「福島コミュニティパワー宣言」が採択され、3日間の会議が締めくくられた。

環境エネルギー政策研究所
松原弘直


 

 

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