エネルギー・地球温暖化

2013年11月21日

 

進み始めた再生可能エネルギー分野の規制改革

Keywords:  再生可能エネルギー  政府  政策・制度 

 

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2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT)により、再生可能エネルギーの本格的な導入が始まる中、この分野の規制改革が進み始めている。現状では、再エネ導入に不可欠な土地や電力系統の利用に多くの規制があり、法制度の改革やガイドラインの整備もあまり進んでこなかったため、その対応には高額の追加費用が想定され、導入を断念する場合も多かった。

政府の規制改革会議は2013年6月、エネルギー・環境分野の規制改革に関する実施計画を発表した。発電コスト引き下げによる再生可能エネルギーの普及促進を進めるとともに、地域発の再エネ発電事業による地域活性化、ユーザーの主体的な省エネ・創エネを可能にする環境整備などを重点的に進めるとしている。

具体的に太陽光発電などに関する法制度の改革としては、電気事業法上の保安規定などが再エネの現状に合わせて見直されつつある。また、小水力発電の水利権やバイオマス発電燃料に関する制度見直しと合わせて、優良農地の確保や森林の適正な利用に支障ない範囲で、太陽光や風力発電について農地や林地の転用制度の見直しも始まっている。さらに、比較的規模の大きい風力や地熱発電については、環境アセスメントの審査期間を大幅に短縮する手続き方法が見直されている。

本格的な再生可能エネルギーの普及には、FITで決められた電力系統の優先的な接続・利用が不可欠であり、関連する法制度の改革を進め、広域系統運用機関や発送電分離などを含む電力システム改革の断行が期待されている。

環境エネルギー政策研究所(ISEP)
松原弘直


 

 

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