2013年07月10日
Keywords: 震災復興 NGO・市民 水 生態系・生物多様性
東日本大震災から2年が過ぎた2013年春時点、被災地では瓦礫を活用しながら自然の防波堤をつくる「森の防波堤」プロジェクトの取り組みが進められている。沿岸部に被災瓦礫を混ぜた土で盛土をし、様々な種類の広葉樹を植えることで津波の被害を軽減する構想だ。
日本の沿岸では、潮風ややせた土地に強く、成長の早いマツが多く植えられてきた。しかし、マツの土壌保持力は小さいため、東日本大震災の津波では根こそぎ倒れ流木化したマツが家屋を破壊するなどの被害が生じた。
被災地の海岸付近に残った木々や森を調べたところ、タブノキやカシなどの広葉樹が多く生き残っていることがわかったという。その土地本来の多様な樹種から構成される森を再生することで、緑の壁をつくって津波の威力を減退させ、また引潮により漂流する人や財産が海へ流出することを防ぐことができる。
また、被災地で発生した瓦礫を選別し、無害なものを土と混ぜて植林地に盛土をすることで防潮林の高さを上げ、津波への防潮機能をさらに高める。森の防波堤の延長は青森県から福島県の太平洋岸の300キロメートル、9千万本の植樹を目指す。現在の植樹本数は約12,300本で、市民の参加により植樹が進められている。
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