エネルギー・地球温暖化

2015年11月15日

 

エネルギー・食料の自給が可能な永続地帯、じわり増加

Keywords:  再生可能エネルギー  市民社会・地域 

 

写真:太陽光発電
イメージ画像: Photo by hbruellmann Some Rights Reserved.

千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所(ISEP)の共同研究「永続地帯研究会」では、日本国内の地域別の自然エネルギー供給の現状と推移などを把握し、「永続地帯」の報告書を毎年作成しています。「永続地帯」とは、エネルギー需要と食糧需要のすべてを、その区域で得られる資源によって賄うことができる区域のことです。

2015年3月末に公表された「永続地帯2014年度版報告書」によると、2012年7月に施行された再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取制度の影響で、太陽光発電は2012年度に対前年比で41.9%増加しました。2013年度はさらに97.5%増加(ほぼ倍増)し、2012年3月と2014年3月時点での発電電力量(推計)を比較すると、2.8倍になったと推計されます。太陽光発電による供給量の増加に支えられる形で、日本全国の再エネ発電量は、2012年度に8.5%、2013年度は25.3%の増加となりました。

一方、その他の再生可能エネルギー発電については、固定価格買取制度の効果が依然として十分に現れていない状況です。2012年度と2013年度の供給量の対前年比伸び率は、風力発電がそれぞれ3.4%、2.9%、バイオマス発電が2.2%、8.5%です。バイオマス発電の数字が若干動き始めましたが、風力発電はそうでないことがわかります。小水力発電は、同様に0.2%、0.4%の伸び率であり、まだ横ばいです。地熱発電は、2012年度は若干減少しています。

固定価格買取制度の対象となっていない再生可能エネルギー熱は、太陽熱利用が、2012年度に10.0%、2013年度に6.1%増加したものの、バイオマス熱利用が、同期間に1.9%、0.5%の伸びにとどまり、再エネ熱供給全体では4.5%、4.8%の伸びとなりました。再エネ電気の供給量が増えたため、再エネ供給量に占める再エネ熱の割合は、20.3%(2012.3)から、19.7%(2013.3)、17.0%(2014.3)と低下しつつあります。

2012年度に、再生可能エネルギー供給量は、7.7%増加しました。また、2013年度は、21.1%増加しました。2012年3月から2014年3月にかけての2年間では、約3割(30.6%)の増加です。この結果、国全体での地域的エネルギー需要(民生用+農林水産業用エネルギー需要)に占める再生可能エネルギー供給量の比率(地域的エネルギー自給率)は3.81%(2012.3)、4.10%(2013.3)、4.97%(2014.3)と毎年わずかながら増加しています。

域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(100%エネルギー永続地帯)は、2011年度に50団体だったところ、2012年度に53団体、2013年度に57団体と、順調に増加しています。また、域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市区町村(100%電力永続地帯)は、2011年度に84団体、2012年度に86団体、2013年度は89団体と、こちらも同様に増加しています。

100%エネルギー永続地帯市町村の中では、29市町村が食料自給率においても100%を超えていることがわかりました。これらの市町村は、まさに「永続地帯」であると言えます。2011年3月末時点で「永続地帯」であった24市町村に加えて、北海道上ノ国町、群馬県嬬恋村、群馬県片品村、岡山県鏡野町、鹿児島県長島町の5町村が新たに「永続地帯」市町村の仲間入りを果たしました。

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