震災からの復興

2014年12月12日

 

防潮林再生 住民の力で

Keywords:  震災復興 

 

写真:わたりグリーンベルトプロジェクト
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東日本大震災の被災者支援プロジェクト「JKSK結結プロジェクト」が、東京新聞への連載を通じて被災地復興の様子を伝える「東北復興日記」。今回は、2014年4月18日に掲載された、住民による防潮林再生の取り組みをご紹介します。

防潮林をご存じですか? 宮城県の仙台平野では、伊達政宗公が沿岸部の水田開拓のために植林をしました。沿岸部に「防潮林」を造ることで高潮や津波、風を軽減し、米作りを可能にしたのです。

この防潮林は東日本大震災で1,400ヘクタールが被災しましたが、残った一部は3年間手をつけられることなく、ハリエンジュやイタチハギといった外来樹が繁茂してきました。防潮林を昔から知る住民や専門家はその伐採の必要性を訴えていましたがなかなか実施されませんでした。

その理由は、震災前に亘理町の防潮林の管理を担っていた4つの沿岸部集落が震災の影響で、2集落が解散、2集落が小規模化(120世帯強から20世帯弱へ)してしまったからです。さらには膨大な復旧作業の中でこのような作業は優先順位が低く、また国や自治体の財政難という問題もあります。「復旧」が終わった後、どのように皆で支えあいながら、防潮林をはじめとした地域の維持管理・運営をしていったらいいのか? 考えさせられました。

1月12日から毎週、約8週間にわたり、市民の力で防潮林の再生と維持を目指す「わたりグリーンベルトプロジェクト(以下、わたりGBP)」が、外来樹の伐採を延べ213人の町民や全国からのボランティアの力で行いました。今まで地元の住民のみが関わっていた維持管理を、町全体、そして全国の皆さまと共に担い、防潮林のある美しい海岸線を取り戻そうという計画です。わたりGBPは地元小学校と連携し、防潮林の種まき・苗木育成などの総合学習プログラムを提供、次世代の育成も行っています。

震災が忘れられても、そこに人は住み続けます。どのように美しい景観、そして地域を守っていくか。解決策を探っていきたいと考えています。

(わたりグリーンベルトプロジェクト事務局長 松島宏佑)

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