エネルギー・地球温暖化

2014年11月03日

 

電力会社、ぞくぞくと再エネ接続申し込みへの回答保留へ

Keywords:  再生可能エネルギー 

 

写真:ソーラーパネル
イメージ画像: Photo by gau

九州電力は2014年9月24日、九州本土の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答を保留することを発表しました。その理由を以下のように説明しています。

2012年7月の固定価格買取制度(FIT)開始以降、太陽光発電(以下、太陽光)を中心に再生可能エネルギーの普及が進んでおり、特に九州は、太陽光のFITによる設備認定量、及び既に発電中の設備量のいずれも全国の約1/4を占めており、他地域と比べても再エネが急速に普及拡大しています。

そのような状況において、2014年3月の1か月間で、それまでの1年分の申込み量に相当する約7万件もの太陽光の接続契約申込みが集中したことから、内容の詳細を確認した結果、7月末現在の申込み量が全て接続された場合、近い将来、太陽光・風力の接続量は約1260万kWにも達することが判明しました。これらの全てが発電すると、冷暖房の使用が少ない春や秋の晴天時などには、昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れ、電力を安定してお届けすることが困難となる見通しです。

以上の状況を踏まえ、当社は昼間の揚水運転の実施や地域間連系線を活用した九州外への送電など、現状で可能な最大限の需給バランスの改善策により、九州本土において再エネをどこまで受け入れることができるかを見極める検討を行います。この間(数か月)、既に再エネの申込みをされている事業者さま、及び今後新規申込みをされる事業者さまにつきまして、申込みに対する当社の回答をしばらく保留します。ただし、ご家庭用の太陽光(10kW未満)などは、当面回答保留の対象外とします。

九州電力に続いて、北海道電力、四国電力、東北電力でも、同年10月1日より管内全域で申し込みに対する回答を保留することを発表しました。日本は全国を10の地域にわけ、各地域の1社の電力会社が独占しています。10電力会社のうち、さきに回答保留を発表していた沖縄電力を含め、5社が再エネ発電設備に対する接続申し込みの回答を数ヶ月保留する事態となっています。

電力会社では「再エネを積極的に普及拡大させるという、従来からのスタンスに変更はない」としているものの、「県立学校施設屋根貸し太陽光発電設備設置事業」を進めていた宮崎県は募集を中止すると発表したほか、メガソーラーの開発を計画していた事業者も今後の事業計画を見直す対応策を発表するなど、ようやく始まった再エネの普及に水を差しかねないと戸惑いと心配の声が上がっています。

(枝廣淳子)

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