震災からの復興

2017年03月07日

 

「おやこ食堂」で心も満腹に

Keywords:  震災復興  食糧 

 

写真:おやこ食堂のちらし
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東日本大震災の被災者支援プロジェクト「JKSK結結プロジェクト」が、東京新聞への連載を通じて被災地復興の様子を伝える「東北復興日記」。今回は、2016年9月20日に掲載された、一緒にご飯を作って食べることから始める、心の復興の取り組みをご紹介します。

私はお客さまにごちそうするのが大好きです。「ご飯食べた?」というのが口癖です。これは田舎の貧しかった時代の先人たちの「おもてなし」の心が私たちのDNAにも受け継がれているからかもしれません。

日本全国にこども食堂が増えていますが、子どもの貧困問題は国が抜本的な対策を行うべきで、民間の私たちができることには限りがあります。まして福島県南相馬市の場合、ほかの地域とは明らかに異なった問題が顕在化しています。

東日本大震災から5年半。精神と肉体の両面でダメージを受けている人、母子が避難して単身赴任しているお父さん、若い家族と離れて高齢者だけになった老夫婦、除染や廃炉作業に従事している方――。

満足に落ち着いて家庭料理を食べていないという人も少なくありません。「ベテランママの会では料理は教えてくれないの?」と若いママから質問を受けた時、とっさに思いついたのが「おやこ食堂」です。

みんなで作ることは料理の勉強にもなりますし、食育指導士の資格を持っている私が栄養の大切さのうんちくを語ることもできます。学生は、大人たちの接客をすることで、おもてなしの仕方やマナーが学べ、孤食や偏食、コンビニ弁当だけの食事からの脱却も図れます。何より多世代が同じ場所に集まり、おしゃべりしながら一緒にご飯を食べるということは、心の面での効果も期待できます。

先月のおやこ食堂では、女子中学生が奮闘しました。おからや豆腐を混ぜ込んだハンバーグを、準備から調理まで全て一人でこなし、参加者のおじさんたちからは、形もかわいいハート形でヘルシーなのが大絶賛されました。

きっと彼女にとっても忘れられない一日となったことでしょう。私たちができることは一緒にご飯を作って食べること。それだけで人は幸せな気持ちになれると思っています。そこから心の復興が始まると期待しています。

ベテランママの会
代表 番場さち子

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