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2016年05月14日

 

強風でも発電できる「台風発電」実現へ、マグナス力を利用した垂直軸型

Keywords:  環境技術  再生可能エネルギー 

 

株式会社チャレナジー ウェブサイト
株式会社チャレナジー ウェブサイト

強風でも発電できる「台風発電」を開発、実用化することで、日本での風力発電の普及を加速させようとする取り組みが進められています。節電・蓄電・発電の最新ニュースを発信しているスマートジャパンの許可を得て、記事を転載し、「台風発電」の実用化に向けた取り組みについてご紹介します。

チャレナジーは2014年創業の研究開発型ものづくりスタートアップ企業だ。東京都墨田区の助成金プロジェクトで採択されたモノづくり拠点「Garage Sumida(ガレージスミダ)」を本拠としている。

同社が板金加工企業の浜野製作所などと実現に取り組んでいるのが、プロペラのない風力発電機である「垂直軸型マグナス風力発電機」だ。

風力発電は再生可能エネルギーとしては効率が高く、世界の再生可能エネルギーの中でも発電量は水力に次いで2番目に多い。しかし、日本の場合は太陽光発電に偏重しており、風力の比率は非常に低い状況が続いている。この日本で風力発電の普及を妨げてきた要因にはさまざまなものがあるが、要因の1つとして日本では風が一定に吹き続けている場所が少ないという点が挙げられる。

風力発電は、風が吹けば吹くほどよいというように思われがちだが、実は台風などの強風が吹く状況では、ブレードなどが破損する可能性があるため、発電を行えない。チャレナジーの取り組む垂直軸型マグナス風力発電機はこれらの課題を解決し、台風などの強風時でも発電を行える他、従来設置できなかった小さな環境にも設置することを目指したものだ。

同社が取り組む「垂直軸型マグナス風力発電機」は、円筒を気流中で回転させた時に発生するマグナス力を利用した風力発電機である。マグナス力とは速度を持った空気の気流の中を回転する円柱もしくは球が存在する時、この円柱や球の回転運動に気流が引きずられ移動方向もしくは流れの方向に対し、垂直に働く力のことをいう。例えば、左から右に一様に流れる気流があったとして、そこの中に時計回りで回転する円柱があったとすると、マグナス力は上方向に働く。この一定方向に流れる気流(風)に対し、円筒形のものを回転させることで揚力を得て、回転する風力発電がマグナス風力発電である。

既にマグナス力を生かして回転する風力発電は、世の中に存在しているが、チャレナジーが取り組んでいるのは、垂直軸型であることが特徴であるといえる。垂直軸型を採用することで、設置スペースを小さくでき、安全性の向上や静音化などの効果も期待できるという。また、円筒の回転をコントロールすることで、発電量を制御できるために、台風など強風環境でも制御した発電を行うことが可能だとしている。

同社では、これまで垂直軸型マグナス風力発電機の試作機を開発し、屋内での実験を行ってきた。しかし、製品化を目指し、屋外でフィールドテストを行うために今回クラウドファンディングに募集することを決めたという。

2016年の夏、沖縄県南城市にフィールドテスト機を建設し、世界初の「台風発電実証実験」に取り組む計画だ。今回の実証実験では、直径3メートル×高さ3メートルの大きさで、発電量1キロワットのフィールドテスト機を設置するという。そして、台風を迎え撃ち、発電量などのさまざまなデータを取得し、大型の量産機を開発することを目指す。設置するテスト機の設計・製造・組立、現地の基礎工事などの準備費用を含め、約1500万円の費用が必要なため、クラウドファンディングで集めた費用をその一部として使うとしている。

同ファンディングは2016年1月18日から開始され、10日あまりで250万円以上の金額が集まり、目標としていた200万円を突破している。

出典:スマートジャパン

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