生物多様性・食糧・水

2013年05月17日

 

世界初 生物的性質に基づく「土壌肥沃度指標」を開発

Keywords:  食糧  大学・研究機関 

 

立命館大学生命科学部の久保幹教授の研究グループは2012年12月10日、土壌の生物的性質の分析に基づく「土壌肥沃度指標(SOFIX(R)=Soil Fertile Index)」を世界で初めて開発したと発表した。

土壌の定量的な診断方法には、化学的性質(肥料成分、緩衝作用等)、物理的性質(保水力、通気性等)、生物的性質(微生物による有機物の分解、耐病害虫等)の3つがある。従来、生物的性質の評価は技術的に困難とされ、化学肥料を使わない有機農業では土づくりを経験に頼らざるを得ず、安定的な生産ができないことが課題となってきた。

SOFIXは土壌中の微生物量や微生物による窒素やリン酸等の分解・循環を測定する新たな手法に基づくもので、有機肥料による土づくりの科学的な処方箋を出すことを可能にし、有機農業の生産性向上につながる。

実証実験として、2011年12月~2012年7月に実際の圃場で化学肥料を用いた土壌とSOFIXに基づき牛糞を施肥した土壌とでトマトの比較栽培を行った結果、収量はほぼ同程度、トマトの糖度は化学肥料の場合と比して有意に向上したという。今後はSOFIXによる土壌診断の普及と最適な有機肥料の開発により、化学農業と比べコストを約30%減少させることを目指す。

関連のJFS記事:
不可能を可能にした自然栽培と「奇跡のリンゴ」

English  

 

 

このページの先頭へ