政策・制度・技術

2013年03月18日

 

名古屋大学 炭素繊維の水浄化能力の科学的立証に成功

Keywords:  環境技術  企業(製造業) 

 

名古屋大学工学研究科生物機能工学分野は2012年8月30日、炭素繊維が微生物を集めて水を浄化するメカニズムを帝人との共同研究により解明したことを発表した。複数種類の微生物の繊維への付着速度を、炭素繊維と他の合成繊維と比較した結果、炭素繊維への付着速度が速いことが確認された。

各微生物細胞の表面の電位と各繊維の表面の電位を測定すると、水中では微生物細胞も繊維も負の電気を帯びており、水中では両者の間に反発力が働くが、炭素繊維は負電荷が他の繊維に比べて少ない。また、水中では微生物と炭素繊維間に働く分子間力が、微生物と他の繊維との間に働く相互作用より強い。

表面電位、およびこれらの相互作用を算出し、微生物が各繊維に付着する際に生じるエネルギーを計算した結果、炭素繊維に微生物が付着する際には、このエネルギーの障壁が存在しないことが明らかとなった。

今後、特に廃水処理分野での炭素繊維の利用の拡大が期待される。また、解明された理論に基づけば、炭素繊維と同等以上の微生物付着能力をもつ繊維の設計も可能であり、安価で効果の高い水質浄化用繊維の開発促進も期待される。

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