化学物質

2007年10月27日

 

ヒ素浄化効率良く、独自技術で商品化

Keywords:  化学物質  企業(製造業) 

 

神戸鉄鋼所は2007年5月9日、ヒ素を高い効率で吸着・浄化する鉄粉を開発・商品化したと発表した。工場排水、温泉排水、地下水などの浄化を目的としたもので、この鉄粉を入れた容器にヒ素汚染水を連続的に流すだけで、ヒ素含有濃度を環境基準値である0.01mg/L以下まで浄化することが可能となる。

独自の「水アトマイズ技術」を駆使し、ヒ素の吸着反応を促進する成分を合金化することで、ヒ素などの有害物質の吸着力を大幅に高めた。また、この鉄粉は、ヒ素に限らず、セレンや鉛、カドミウムといった重金属汚染水の浄化にも効果がある。

ヒ素浄化に対する需要は高く、国内で年間数千トンの市場規模と想定される。従来、ヒ素汚染水の浄化を行う場合、鉄塩とヒ素を反応させ、難溶性のヒ酸鉄化合物として沈殿させる「共沈法」が主に採用されていた。しかし、処理工程の煩雑さや、ヒ素を含む大量のスラッジ(汚泥)が発生するという問題があった。セリウムやランタンなどの特殊なレアメタルを利用してヒ素を吸着する方法もあるが、価格の面で課題が残った。

今回開発の「ヒ素吸着・浄化鉄粉」は、上記の問題点をクリアした。吸着力は既存のヒ素吸着剤の2倍、価格も半分以下となる。同社では、2002年に商品化された「揮発性有機化合物を分解・無害化する鉄粉」に続く第二弾として市場投入し、環境分野向けメニューの強化を図る考え。



自然の浄化作用から発見されたヒ素吸着材料、商品化に成功 (関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/db/1060-j
産総研、有機ヒ素汚染に有効な浄化技術を開発 (関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/db/1321-j


登録日時: 2007/10/27 03:43:49 PM

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