2006年04月14日
独立行政法人産業技術総合研究所は2006年1月11日、三井造船と共同で、有機ヒ素化合物で汚染された土壌から有機ヒ素を高効率で抽出除去する技術の開発に成功したと発表した。本技術によって、汚染土壌を極めて高い効率で浄化できるばかりでなく、使用済み洗浄剤を回収して再使用でき、有機ヒ素は濃縮して小容量で回収できるため、汚染土壌の浄化処理にかかるコストを低減できる。
有機ヒ素化合物による汚染は、物質の毒性が強く、地下水中に溶出しやすく土壌に吸着されて環境中の残留時間が長い、微生物により分解されない、加熱や化学分解を施しても有毒な無機ヒ素化合物が残留するなどの特徴があり、従来技術による対策では除去が難しく、有効な対策技術の確立が急がれていた。
今回開発されたのは、アルコールに低濃度のリン酸を混合した洗浄剤を用いることで土壌中の有機ヒ素をほぼ100%抽出除去する技術。この高い浄化効果は、リン酸によって土壌と有機ヒ素との結合が切断され、有機ヒ素がアルコールに溶け込むためと考えられる。同研究所は今後、この技術を用いても土壌中に残るごく微量の有機ヒ素の溶出を抑制する方法を検討するとしている。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2006/pr20060111/pr20060111.html
登録日時: 2006/04/14 10:19:07 PM
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