化学物質

2007年06月29日

 

ダイオキシンを安全・低コストに分解 県立広島大学

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県立広島大学の三苫准教授のグループは、ダイオキシンを安全・低コストに分解する「金属カルシウム触媒法」を開発した。金属カルシウムの高い還元性を利用して、アルコールなどの存在下で、ダイオキシン中の塩素を切り離し分解する技術。2004年から2007年6月までの予定で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の産業技術研究助成を受けながら、日本オリジナルの環境浄化技術の確立を目指し研究を続けている。

日本では、ダイオキシン類による環境汚染を防ぐため2000年にダイオキシン類対策特別措置法が施行され、廃棄物焼却場などの特別施設には排出規制が課せられている。しかし従来の方法では、酸化被膜に覆われた焼却灰の内部にあるダイオキシン類へ薬剤が十分に接触できないため、外部から外側の酸化被膜を破壊するために、高温あるいは高圧条件が必要であった。

今回開発された技術では、金属カルシウムの還元力に酸化被膜を破壊する能力があり、酸化被膜に覆われた焼却灰に含まれるダイオキシンを、温和な条件(常温、低加圧)で99%分解することに成功。熱を使わないため比較的簡単な装置でダイオキシンを処理することができ、設備コストの低減とランニングコストの削減が可能となった。

現在この技術は、ダイオキシン類の分析業者の廃液処理装置として実用化済みある。また、経済産業省の地域新生コンソーシアム事業として、焼却炉解体現場で発生する高圧洗浄水中のダイオキシン類の無害化装置への応用も研究中。他にも、改良技術は農薬やアスベスト分解へ応用できることも明らかとなった。



http://www.pu-hiroshima.ac.jp/~mitomay/gyoseki2.html


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登録日時: 2007/06/29 11:49:18 PM

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