生物多様性・食糧・水

2003年07月23日

 

水産業が環境保全機能に果たす価値は、4兆5,111億円

Keywords:  生態系・生物多様性  政府   

 

水産庁は2003年5月15日、水産業・漁村が有する多面的機能についての検討・調査報告を発表した。これまで水産業・漁村のもつ多面的な機能については、農業や森林・林業ほど議論や調査がなされていなかったが、今回の調査では評価額の算出も試みた。

水産業には、水産物を供給するという第一の役割に加え、次のような様々な機能がある。
1)環境保全(海から陸への物質循環など)
2)生命財産の保全(海難救助・防災など)
3)保養・交流・学習の場の提供
4)水産業・漁村を通じた伝統文化の継承

うち環境保全機能の評価額は、合計で4兆5,111億円にものぼった。
・二枚貝等による水質浄化を下水処理のランニングコストに置き換えたら:3兆1,200億円、
・干潟による水質浄化を下水処理のCOD除去コストに置き換えたら:4,052億円、
・藻場による水質浄化を下水処理の窒素・リン回収コストに置き換えたら:7,410億円、
・海浜・漁港及び海底の清掃活動をゴミ清掃に必要な公的費用に置き換えたら:1,602億円、
・魚付林(魚類の接岸や棲息・繁殖を促進させる目的で、海岸などに仕立てている森林)と植樹活動を森林の多面的機能評価額から按分:847億円

その他の機能を合わせると、水産業・漁村の多面的機能の評価額は9兆2,052億円と報告されている。





登録日時: 2003/07/23 09:53:36 AM

英語記事はこちら


 


 

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