2008年12月09日
Keywords: 環境技術 再生可能エネルギー 大学・研究機関
東京工業大学資源化学研究所の池田富樹教授のグループは、光に反応して変形し力を出す高分子材料を開発し、光を照射すると回転する光モーターの試作に成功した。本研究成果は2008年6月にドイツ化学会誌(英語版)に掲載された。
新開発の材料は、光に応答し分子形状が変化するアゾベンゼンという有機化合物をベースにした液晶高分子フィルムで、紫外線を照射すると縮み、可視光を照射すると伸びる性質を持つ。これをベルト状にして2つの軸に掛け、2つの場所に紫外光・可視光をそれぞれ同時に照射すると、伸縮により回転運動を起こす。
本材料は、回転だけでなく、尺取虫の動きのような並進運動など多様な運動も可能である。単位面積あたりの発生応力はヒトの筋肉の約10倍あり、また約40秒間隔で30時間連続(約2500回)伸縮を繰り返しても性能劣化がないことが確認できた。現在、太陽光は一度電気エネルギーに変換してから、仕事に利用しているが、本研究を端緒として、光を直接力学的仕事に変換するシステムの構築が可能になる。
池田教授は、「機械的強度と性能の双方を向上させ、バッテリーやギヤなどの駆動部分が不要な光で動くプラスチック車を作ることが夢である」と語っている。
登録日時: 2008/12/09 06:05:30 AM