2004年10月26日
Keywords: 環境技術 大学・研究機関 生態系・生物多様性 食糧
大分県農業技術センターでは、イチゴなどの果実に被害をあたえるハダニを天敵であるチリカブリダニを使って駆除する技術の開発に取り組んできたが、その成果がまとまり、2004年9月からイチゴ農家での実証試験栽培を始める。2005年度中にはこの「環境にやさしい病害虫防除マニュアル」を完成させる予定。
ハダニは多くの農作物葉などを食害し、品質の低下、収量の減少など被害をもたらす。非常に細かくて見つけにくいので、気がついたときは手遅れとなることが多い。今までは農薬を使って駆除していたが、栽培期間中長期にわたって発生し、農薬に抵抗性を持ちやすいので、農薬使用回数をできるだけ抑えた駆除方法の開発が課題となっていた。
天敵のチリカブリダニを使っての駆除には、農薬散布作業が大幅に省力化できる、効果が長期にわたる、ハダニに農薬抵抗性ができないなどの利点があり、何よりも、消費者に農産物を安心して買ってもらえるという大きなメリットがある。しかしチリカブリダニの散布はそのタイミング、量、回数が難しく、またハウス内の湿度、温度管理にもノウハウが必要で、今までなかなか普及しなかった。
同センターの取り組みでは、駆除にかかる費用は約3分の1、作業時間は12分の1に減るが、栽培初期には一時どうしてもハダニの被害をうける。「農薬散布だとすぐに効果が現れますが、天敵を使う場合は天敵が増殖するまで辛抱が必要です。しかし安全な農産物への需要が高まるなかでこういう取り組みは他の作目にも拡大するでしょう」と、同センターの岡崎真一郎研究員は語っている。
登録日時: 2004/10/26 11:42:15 AM
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