生物多様性・食糧・水

2013年09月05日

 

渡良瀬遊水地、ラムサール条約登録から1年

Keywords:  生態系・生物多様性  NGO・市民 

 

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関東平野のほぼ中央に位置する渡良瀬遊水地は2013年7月3日、ラムサール条約に登録されて1年を迎えた。一帯は治水機能を備えた3つの調整池を持つ約33平方キロメートルの氾濫源。本州最大級のヨシを主体とする湿地には、環境省のレッドリスト掲載種を含め、700種以上の植物種や約140種の鳥類が確認されている。

19世紀後半、渡良瀬川上流の足尾銅山から下流部に鉱毒が流出・氾濫し、広範囲に深刻な被害をもたらした。政府はその後、治水事業によって鉱毒被害を抑えるため、下流部の谷中村を廃村にして遊水池化を進めた経緯がある。

現在の課題の1つは、地下水位の低下による乾燥化や生態系の単純化。2010年3月には「渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画」が策定され、外来種の増殖などで環境が悪化した場所を掘削するなどして、多様な動植物の生息域再生の試みが進められている。

流域で保全活動を続ける「わたらせ未来基金」代表世話人の青木章彦さん(作新学院大学女子短期大学部教授)は、条約の3本柱の1つであるワイズユース促進のため、河川管理者を中心に、関係する各主体の連絡調整の場となる協議会の設置を提言。多くの市民に「遊水池の自然の素晴らしさを肌で感じてほしい」と語っている。


 

 

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