2013年03月19日
Keywords: ニュースレター
JFS ニュースレター No.126 (2013年2月号)
http://eco-pro.com/eco2012/index.html
『もっとグリーンに、もっとスマートに――えらぼう未来を』 環境に優しい技術やグリーンな生き方がもっと進むほど、もっと賢く優しい世の中になるはず。そしてグリーンな生活、スマートな生き方をする人がもっと増えるはず。循環型社会を実現し、持続可能な社会を未来につなげることは私たちの使命であるとの思いが込められた、エコプロダクツ2012のテーマです。
エコプロダクツ展の歩み
エコプロダクツ展(エコプロ)は、その名の通りエコ製品を広く知ってもらうための展示会として1999年に第1回が開催され、来場者数は4万7449人でした。その規模は回を追うごとに大きくなり、第14回となる2012年は、12月13日から3日間にわたって開催され、711社・団体が出展し、17万8501人の来場者で大いに賑わいました。来場者数は、5年連続で17万人を超えています。
エコプロは規模の増大とともに、その役割も広げています。最初は製品紹介の場でしたが、エコプロダクツ2012コンセプトでは、様々なセクターが集まる、「持続可能な社会の実現」に向けた情報発信の場とされています。出展者は企業や研究機関に加えて行政・自治体、NPO・NGO・市民グループと多岐にわたり、最先端の環境製品や技術・サービスなどの新しいビジネスや、様々な環境活動を紹介することで、「持続可能な社会の実現」に向けた情報発信の場が創られました。
情報の発信者である出展者だけでなく、受け手である来場者も多種多様であり、しかも主体的に参加することで「持続可能な社会の実現」につながる力が生み出されます。主催者の「エコプロダクツ展であらたな未来への第一歩を踏み出したいと感じている皆様のご来場をお待ちしております」というコメントからも、熱い想いを感じられることでしょう。
環境教育の場としてのエコプロ
エコプロの会場でひときわ目を引くのは、大勢の子供たちでした。ブースで展示を食い入るように見つめたり、真剣な表情で説明員に質問したり、クイズを楽しんだりしている子どもたちの姿がとても印象的でした。環境教育の一環としてエコプロを訪れているのですが、これは単なる社会科見学ではありません。事務局・出展者・学校が一体となって教育プログラムを作りあげているのです。今回は約2万人の小中学生が参加しました。
企業、各種団体、行政など多くの出展者が、それぞれの環境の取り組みについて子ども向け学習資料を提供したり、製品開発について解説したりするなど、積極的に小中学生の学習に協力しています。
また、見学する子供たちも、しっかりと事前の準備をしています。エコプロで見たいこと・聞きたいこと・学びたいことを整理して、事務局が作成した「エコスタディノート」に書き込んで会場に持ってきています。先生は、子供たちの学習をスムーズに進めるために事前の説明会に参加し、次回以降の改善につなげるために見学実践レポート・アンケートを提出します。
事務局は、専用の子ども事務局を設置し、「エコスタディノート」の他にも「エコスタディガイド」の作成、無料送迎バスの手配など、様々なサポートを行っています。
見学している子どもたちの目の輝きを見ているだけでも、この取り組みの良さが伝わってくるのですが、小中学生や先生へのアンケートの回答を見ると、取り組みの効果をさらに実感することができます。以下は、2011年のアンケート結果からの抜粋です。
小中学生からの回答・エコプロダクツ展で知りたいことがたくさんあって、ホームページを調べたり団体の各ホームページを調べた。
先生からの回答
自然観察会
エコプロでは、公園で自然とふれあいながら「生物多様性」を楽しく学ぶ「自然観察会」も開催されていました。経験豊かな自然観察指導員の案内で、身近なところから「生物多様性」について考えるきっかけを提供しています。私を案内してくれた自然観察指導員の方も、公園の植物を題材に「生物多様性」に関する説明をされていました。
一例ですが、公園にオオシマザクラが植えられていたのですが、このオオシマザクラのおしべとエドヒガンのめしべを掛け合わせたものが、日本でもっとも有名な桜であるソメイヨシノであること、ソメイヨシノは接ぎ木で増やしているため、同じ遺伝子を持っており、気候に対して同様の反応をするため、見事に一斉に咲き揃うが、一方で一斉に枯れてしまうこともある、ということを教えていただきました。
自然観察会の実施も、エコプロが製品紹介の場から「持続可能な社会の実現」に向けた情報発信の場へと発展していることの表れだと思います。
これからのエコプロ
14回の開催を重ねる中でその役割を広げてきたエコプロは、この先どのような展開をみせてくれるのでしょうか。事務局の方に伺うと、ヒントとして「国際化」というキーワードを挙げてくれました。「持続可能な社会の実現」は地球全体の課題なので、確かに「国際化」は必須です。今後どのような展開を見せてくれるのか、今後のエコプロがとても楽しみです。
(スタッフライター 田辺伸広)