ニュースレター

2003年01月01日

 

2年間でゴミを23%削減! - 名古屋市の取り組みと成果、そして今後

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JFS ニュースレター No.4 (2002年12月号)
シリーズ:地方自治体の取り組み 第1回
http://www.city.nagoya.jp/

日本では、近年、環境問題にさまざまな分野・レベルで取り組む県や市町村が増えています。

たとえば、日本には47都道府県3,233市町村がありますが、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の地方自治体での認証取得件数は397件(2002年10月末現在)です。中央官庁で認証取得しているのは、環境省だけです。
http://www.japanfs.org/db/17-j

また、日本の42自治体(2002年9月20日現在)が、自治体のための国際環境機関である国際環境自治体協議会(ICLEI)に参加しているほか、自治体環境政策の推進や環境に関する情報ネットワークづくりのための環境自治体会議に71自治体(2002年12月9日現在)が参加するなど、自治体間のネットワークも広がっています。
イクレイ→ http://www.iclei.org/japan/
環境自治体会議→ http://www.colgei.org/

そして、多くの自治体が我こそは「環境立県」「環境首都」だと宣言をしています。「環境問題に力を入れている」ことが、住民に対しても、他の自治体に対しても、国に対してもアピール力を持つということが、現在の日本の「環境問題への意識の広がり」を示していると思います(10年前には「環境首都だ!」とアピールしているところはそれほどなかったでしょうから)。

NGOが「環境首都コンテスト」を開いたこともあります。(2002年9月号ニュースレターに記事があります)。
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/027208.html

ここで、日本の地方自治体について少し説明しましょう。日本の地方行政は、都道府県、市町村の二層の組織になっています。このうち、市町村を基礎的自治体と呼んでおり、家庭ゴミの収集その他の環境や福祉に関わる事柄は基礎的自治体の仕事です。

また、現在、人口1000万以上を抱える12の市が「政令指都市」に指定され、都道府県並の権限が与えられています。

環境首都コンテストで第1-4位を占めた名古屋市、福岡市、仙台市、北九州市などが環境問題で成果をあげているのは、基礎的自治体でありながら、都道府県並の権限を有しているという背景があるのだと思います。

では「環境首都コンテスト」で第1位となった名古屋市の取り組みをご紹介しましょう。

私たちは、一人1日あたり、どのくらいのゴミを出しているでしょうか? 1997年のデータによると、最大はアメリカの2.0kg/人・日、次がオーストラリアの1.9kg。ノルウェー(1.7kg)、スイス(1.6kg)、デンマーク、オランダ(1.5kg)と続き、先進国で少ないのはドイツ(0.9kg:1995年データ)で、日本は1.1kgでした。

約218万人の人口を抱える名古屋市は、1998年には1,251g/人・日と、日本平均を上回っていました。市全体では102万トンのゴミを出し、うち28万トンが埋め立てられていました。

その名古屋市が、2000年には、955g/人・日、全体で79万トン、埋め立ては15万トンと、2年間で、ゴミの量は23%減らし、埋め立て量はほぼ半分にしたのです。2001年にはさらにゴミの量を76万トン(916g/人・日)にまで減らしています。

この規模の大都市で、これほど劇的なゴミ減量はあまり例がありません。何がきっかけだったのでしょうか? どのような施策や取り組みが効いたのでしょうか?

名古屋市には、廃棄物の最終処分場に適した場所が少なく、隣の岐阜県の多治見市に埋め立て処分場を設けていました。ところが、1980年-1998年に約60%もゴミの発生量が増大したため、その寿命があと2年ほどとなってしまいました。そのため、20年もまえから次の埋め立て処分場として検討していたのは、藤前干潟でした。

ところが、藤前干潟は、全国でも有数のシギやチドリの飛来地であり、埋め立てるのではなく保全すべきだという世論が高まりました。松原名古屋市長は、1999年1月に、「快適で清潔な市民生活の確保」と「自然環境の保全」の両立について熟慮に熟慮を重ねた結果、藤前干潟への埋め立て処分場建設を断念すると発表しました。

そして翌月「ゴミ非常事態宣言」を出しました。なぜなら、埋め立て場の建設を断念しても、ゴミはどんどん出るからです。2年間でゴミを20%、20万トン削減しよう、という目標が立てられました。4月には「ごみ減量対策部(翌年4月にごみ減量部)」という部門が市役所のなかに設けられました。

「東京都は10年かけてゴミを20%削減しているので、2割削減は可能かもしれないと思っていましたが、2年でというのは大変な目標でした」とごみ減量部。「ありとあらゆるやれることをやろう、といろいろなことを次々にやりました」。

主な取り組みは、「チャレンジ100」(1日のゴミ排出量を100g減らそう)という市民向けキャンペーンと粗大ゴミの有料化による発生抑制と、集団資源回収の促進(3100拠点+107学区、資源回収量は5万→9万トン/年に)やビンや缶の収集地域を全市への拡大、指定袋の導入などによるゴミの資源化の促進でした。

2000年8月からは、容器包装リサイクル法にもとづく容器・包装ゴミ(家庭ゴミの60%を占める)の分別回収を強力に推進し、4ヶ月で家庭から出るゴミをさらに25%も削減しました。分別が適切ではないゴミ袋には警告シールを貼って回収しない一方、全市で2300回に及ぶ住民説明会を開催して、分別回収の徹底をはかったということです。

現在、名古屋市では家庭ゴミは16種類に分別して出すことになっています。

藤前干潟は、「自分たちのゴミで干潟を埋め立てるのはいやだ」という名古屋市民の保全への強い要望とゴミ減量への努力に支えられて、守ることができました。藤前干潟は、2002年11月にラムサール条約に登録されました!
http://www.japanfs.org/db/170-j

大都市のすぐ近くにある藤前干潟は、開発から守ることができた湿地として、世界のモデルのひとつになるのではないでしょうか。

名古屋市は「2年間でゴミを20万トン減らす」という目標を達成しました。次なる目標は、2010年には、2000年からさらにゴミを約20%削減し、全体で62万トン(750g/人・日)とし、埋め立ては15万トンから2万トンへ激減させ、埋め立てゼロへの布石とするというものです。

また、「ごみ減量先進都市」から「環境先進都市」をめざし、二酸化炭素排出量を2010年までに、1990年レベルから10%削減するという国の目標(温室効果ガス6%削減)を上回る目標を立てて、行動計画をつくり、さまざまな取り組みを推進しています。

たとえば、職員のマイカー通勤を原則禁止
http://www.japanfs.org/db/130-j

藤前干潟をきっかけとしてゴミ問題に行政と市民がスクラムを組んで取り組んだ副産物として、地域での対話が生まれたり絆が深まったそうです。松原市長はこれを「ゴミニュケーションです」とおっしゃっていました。身近な環境問題を通して、地域づくりにもつながる取り組みのひとつのモデル事例だと思います。

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