エネルギー・地球温暖化

2014年09月11日

 

地熱発電:世界3位の資源量は4000万世帯分、6割が開発可能

Keywords:  再生可能エネルギー  環境技術 

 

写真:海地獄, 大分県別府市
イメージ画像:Photo by 663highland Some Rights Reserved.

日本には、火力発電に匹敵するほど設備利用率が高く、年間を通じて安定した発電量を得られる地熱発電の資源が豊富にあります。節電・蓄電・発電の最新ニュースを発信しているスマートジャパンの許可を得て、記事を要約し、日本における地熱発電の現状と、今後の展望についてお伝えします。

世界の中で地熱の資源量が群を抜いて多いのは米国、インドネシア、日本の3カ国だ。このうち日本の地熱発電の導入量は他国の半分以下にとどまっていて、開発の余地は極めて大きい。発電コストはガス火力並みの10円前後と安く、地熱資源が集中する自然公園の規制緩和も進んできた。

日本は狭い国土の中に活火山が集中していて、地下には地熱資源が豊富にある。その資源量は米国とインドネシアに次いで世界で3番目に多く、電力に換算して2347万kWにも達する。一般家庭で4000万世帯分に相当する膨大な量になるが、実際に発電に利用しているのは2%に過ぎない(図1)。

図1 主要国の地熱資源量
図1 主要国の地熱資源量
出典:NEDO(産業技術総合研究所などの資料をもとに作成)

最大の要因は活火山のある地域の大半が国立公園などに指定されていて、これまで開発が厳しく制限されてきたからだ。2012年3月に環境省が自然公園の規制を緩和して、直後の7月から固定価格買取制度が始まったことにより、全国各地で地熱開発プロジェクトが活発に動き出した(図2)。

図2 地熱発電の主要な開発プロジェクトの進行状況
(クリックすると拡大表示します)
図2 地熱発電の主要な開発プロジェクトの進行状況(2014年1月10日時点)
出典:資源エネルギー庁

地熱発電の利点は設備利用率が70%程度と火力発電に匹敵するほど高いことにある。年間を通じて安定した発電量を得られるために、再生可能エネルギーの中では発電コストが最も安く、LNG(液化天然ガス)を使う火力発電とほとんど変わらない(図3)。政府も電力供給のベース電源と位置づけ、多額の 予算を投じて開発プロジェクトを促進中だ。

図3 再生可能エネルギーとLNG火力の発電コスト比較
図3 再生可能エネルギーとLNG火力の発電コスト比較
出典:NEDO(コスト等検証委員会の資料をもとに作成)

新たな地熱資源は120度以下の低温水


国内に膨大な量が存在する地熱資源のうち、従来から開発可能な地域に存在するのは全体の約4分の1で、600万kW程度の発電規模になる。年間の発電量は一般家庭の使用量に換算して実に1000万世帯分に相当する。さらに規制緩和によって開発の可能性が生まれる地域を加えると、その2倍以上のポテ ンシャルが見込まれている(図4)。

図4 地熱資源の開発可能性
図4 地熱資源の開発可能性
出典:NEDO(資源エネルギー庁の資料をもとに作成)

そればかりではない。これまで地熱発電の資源に想定していたのは150度以上の高温の熱水だけだった。しかし最近では150度以下の熱水でも発電できる「バイナリー方式」が登場して、新たな地熱資源が浮上してきた。

特に導入可能量が大きいのは、53~120度の低温水を利用した地熱発電だ。環境省の推定では全国で750万kW分のポテンシャルがあって、150度以上の高温水による発電規模を上回る(図5)。

図5 地熱発電の賦存量(資源量)と導入ポテンシャル(可能量)
図5 地熱発電の賦存量(資源量)と導入ポテンシャル(可能量)
出典:NEDO(環境省の資料をもとに作成)

国内には53~120度の熱水資源が広い地域に分布している。特に北海道を含む東日本の山間部に資源量の豊富な場所が多い(図6)。バイナリー方式の発電設備は小型で、建設工事は1年程度で完了する。しかも買取価格が1kWhで40円(税抜き)と高く設定されているため、今後は急速に普及していく 可能性が大きい。

図6 熱水資源(53~120度)の分布状況
図6 熱水資源(53~120度)の分布状況
出典:環境省

出典:スマートジャパン

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