Home > About us > JFSの歴史とイベント活動報告 > 【イベント報告】日本学生プレゼンテーション(日米学生環境会議) >
| Posted by jfs |
2004.06.08 Tue
【イベント報告】日本学生プレゼンテーション(日米学生環境会議)

日本側の最初のプレゼンテーションとして、最初に日本の地理、歴史、文化について簡単にお話します。持続可能な社会に向けた取り組みに対して重要と思われる日本の特徴、特に日本人特有の「ものを無駄にしない」価値観について、詳しく見ていきたいと思います。

まず初めに、日本の地理についてお話します。日本はアジアの最東部に位置しています。細長い国で南北の長さは3,300キロメートルにもなります。また、気候は温暖で雨が良く降るので植生が豊かです。

日本の人口はアメリカの約半分ですが、韓国やドイツより多いです。そして面積も同様に、アメリカよりははるかに小さいですがドイツよりもやや大きくなっています。しかし、国土に占める森林の割合を見ると日本はアメリカやドイツよりもはるかに高くなっています。このことは、日本には居住できる場所が限られることと、豊かな森林資源があることを示しています。

それでは次に、日本の歴史からものを無駄にしない価値観の原点を探っていきます。日本列島にははるか昔から人々が住んでいました。紀元前300年くらいになると、弥生時代といって、農耕を中心にして集落を形成する人々が現れます。弥生時代の人々は自然のすべてのもの、例えば草、木、山、川などに神が宿っていると信じていました。

1000年ごろになるとみなさんもご存知の侍の出番です。特に源頼朝は、武士による政権を初めて鎌倉に置きました。鎌倉時代以降、日本は長い内戦の時代に入りました。その内戦をまとめ、統一したのが徳川家康です。彼は1603年から江戸、つまり現在の東京に政権を置きました。江戸時代には外国との貿易を断ち、ほとんどすべてを国内でまかなっていました。限られた中でものを大切に使う必要がありますので、江戸時代の人々はものを徹底的に再使用し、その後はさらにリサイクルしました。例えば、薪などを燃やした後の灰は肥料として使用しました。また、ろうそくはとても高価だったので火を灯した後のろうそくのしずくを買い集める業者がいました。その結果、廃棄物はほとんど出ず、自然の恵みだけですべてのものをまかなう究極の物質循環の社会でした。

このような歴史の中で生み出された、日本に特有の価値観とは一体どのようなものでしょうか?ここでは、その一例として「もったいない」という言葉を紹介します。「もったいない」とは日本語に特有の言葉で、会話でしばしば使われます。意味としては、英語の "What a waste!" に近いものです。「もったい」とは、そのものの本質的な状態、価値、使命などを意味します。そして「ない」は、その直前の語の否定や無視を意味します。したがって、「もったいない」とは、そのものの本質的な状態や価値を無視していることを指します。さらに、「もったいない」には精神的な意味合いが含まれています。それは、日本人に特有な自然観といえます。日本人は弥生時代から、自然のすべてのものに神が宿ると信じてきました。この神々を総称して、「八百万の神」と言います。この自然観により、自然を尊敬し、ものを無駄にすることを嫌う精神が生まれました。「もったいない」という言葉にも、同様に自然に対する畏敬の念が含まれています。

実際にどのような場合に「もったいない」という言葉を使うのか紹介したいと思います。「もったいない」という言葉は、例えば、次のように使われます。

  • こんなに食べ物を残したらもったいないよ。
  • 学生だというのにアルバイトばかりしていたらもったいない。

最初の例では、食べ物は自然の恵みであるので、それを粗末にすることに対する嫌悪感があります。2つ目の例は、お金を稼ぐことよりも、自分を成長させるために時間を使う方が有意義だという気持ちが含まれています。

それでは、とある日本の家族での会話で、「もったいない」がどのように使われているのか紹介したいと思います。

<寸劇>

父:
「今日の魚はおいしいな。なんて言うんだい?」
母:
「鯵ですよ。それはそうと、京子、あなた最近バイトばっかりしてるんじゃないの?」
娘:
「いいじゃん別に。バイトの何が悪いの?私月に20万円も稼いでいるのよ。」
父:
「おまえ、そんなことばっかりしていたらだめだぞ。せっかく学生だっていうのにもったいない。もっと将来のためになるようなことをしたらどうだ。」
娘:
「お父さんだって学生のころは遊びほうけていたって言っていたじゃない。あ、私の携帯が鳴っているわ。もうご飯いいや。ごちそうさま〜。」
祖父:
「お待ち、京子。ご飯を残すことほどもったいないことはないよ。いいかい、ご飯一粒一粒には神様が…」

このように日本人は、その風土と歴史の中で、ものを無駄にすることを嫌う価値観を形成してきました。しかしながら、特に1960年代以降、日本人もこのような考え方を次第に忘れ、大量消費は美徳であるというような風潮が一般的になっています。持続可能な社会の形成は、私たちにとって逃れることのできない使命ですから、今一度このような価値観を取り戻すべき時代であると思います。 次に、国レベルでの持続可能な社会に向けた取り組みをお話します。

日本では、行政・NGO・企業・市民といった様々なセクターが環境活動に携わっています。そして、これからは協働の時代と言われ、それぞれのセクターが協力しながら、持続可能な社会を実現するために様々な取り組みを行っています。近年、パートナーシップが国や地方公共団体の重要な施策として位置づけられました。また、パートナーシップに関する条例や要綱、協定を定め、資金提供の枠組みを設けて支援拠点を設置する行政機関が急増しています。今回は、このパートナーシップに焦点を当ててお話します。特に、私たちに最も身近なライフスタイルをより環境にやさしいものにしようと行われている2つの事例を紹介したいと思います。

まず、「環のくらし」を紹介します。日本のCO2排出源は、間接的なものも含め約半分が家計に由来すると言われています。しかも、家庭からのCO2排出量は増加の一途を辿っています。そんな中、行政・NGO・企業・研究機関などの各界で活躍しているオピニオンリーダーからなる「環の国くらし会議」が開催されました。本会議では、国民一人一人の自発的な取り組みを促し、応援するメッセージを発信しました。また、今後更に推進すべき効果的な取り組みについて検討を進め、政府と国民各層が一丸となったライフスタイルの変革を呼びかけました。さらに、より具体的で身近なアイディアを出すためにユニークで幅広い議論が延べ21回行われました。そして、その議論をもとにライフスタイルを変える具体的なアイディアが紹介されたり、シンポジウムが開かれたりしています。

環のくらしの「環」には、環境や循環、そして日本を表す「和」という意味が含まれています。「環の国」とは、20世紀型の「大量生産・大量消費・大量廃棄の社会」に代わる、「持続可能な簡素で質を重視する循環型社会」をイメージするものです。

環のくらしには屋上緑化や雨水利用、エコバックの利用、風力発電など、様々なアイディアがつまっています。これらは、単に我慢や節約を意味するのではなく、より人間的で豊かなイメージを持っています。また、環のくらしハンドブックも発行され、より具体的に持続可能な社会に向けたライフスタイルなどを提案しています。

次に、「キャンドルナイト」というイベントを紹介します。これは、豊かさの象徴でもある電気を消してキャンドルを灯そうという、日本のNGO発の自主消灯ムーブメントです。東京タワーや沖縄の首里城などの大規模な施設の電気が消えたり、全国で様々なキャンドルイベントが行われたりしました。また、それぞれの家庭でも、キャンドルの灯火で友人や家族と語り合いながら、ゆっくりした時間を過ごしました。ライフスタイルについて考え、生活を見つめ直すとても良い機会になりました。

このイベントで特筆すべきは、環境NGOが自発的に始めた草の根の呼びかけイベントだったことです。昨年の100万人のキャンドルナイトは、推定参加者500万人を動かす一大イベントになりました。一人が一人に呼びかけることから始まり、様々な活動をしている著名人を巻き込んで企業や行政までが協力するビッグイベントになりました。これだけの人を巻き込むことができたのは、NGOから企業、行政そして市民へとつながりを築き上げることができたからだと思います。今年は国内に留まらず海外にも呼びかけ、夏至を含む6月19、20、21日の3日間行われます。ぜひこの機会に、夏至の夜をキャンドルで過ごしてみてはいかがすか。

このように日本では、行政・企業・NGO・市民といった様々なセクターが協力し合い、持続可能な社会に向けた取り組みが行われています。
次に、持続可能な社会に向けた、日本の地域社会の取り組みを紹介します。

日本の風土や文化、歴史を反映している面白い取り組みを2つ紹介します。まず初めに、岩手県葛巻町のクリーンエネルギーについてお話します。葛巻町は、人口8,725人(2,873世帯)、面積434.99km2で、その内86%が森林という典型的な農山村です。これまで酪農と林業を基軸に産業が発展してきました。また、東北地方一の酪農郷と言われ、乳牛を1万1千頭飼育し1日に牛乳110トンを生産しています。

葛巻町では、近年クリーンエネルギーの導入が盛んに行われています。特に、「天と地と人の恵みを生かして」という理念を掲げた取り組みは、日本国内でも先進的な活動として注目を浴びています。

まず天の恵みについてですが、これは太陽光発電・風力発電などを意味しています。例えば、ある葛巻町の中学校では学校の年間電力使用量の約25%が太陽光発電によりまかなわれています。また、風力発電所の設置が推進され、現在約600世帯分の電力が風力発電から供給されています。今後は、1万6千世帯分の電力がまかなわれる予定です。

次に、地の恵みについてお話します。地の恵みとは、畜産糞尿、森林、水を意味しています。畜産糞尿や生ごみから出るバイオガスを利用して発電し、木質ペレットを床暖房や部屋暖房の燃料に活用しています。

最後に、人の恵みについてですが、葛巻町の風土や文化を守り育ててきた人を尊重し、地域の特性を活かしたクリーンエネルギー導入を実践しています。この人の恵みを活かすという考えが、この町の大きな特徴です。

続きまして、里山の保全活動を紹介します。この活動は、日本全土で行われている日本固有の活動です。里山の保全活動は、この30年間で徐々に増え、現在では1,000事例を越えています。最近では洋書で『Satoyama: The Traditional Rural Landscape of Japan』(竹内和彦編、2002年)という専門書が出版されました。里山の説明は非常に難しいのですが、簡単に説明すると「雑木林(二次林)を含んだ、日本の伝統的な農耕地」と言えます。里山には、田んぼや農作物を育てる畑があります。そして人を含めた様々な生き物が里山で生活しています。

日本は平野部が少なく、国土の7割が森林に覆われています。この地形的な特徴から、里山独特の景観が生まれました。里山は、人の力によって何十年も何百年もかけて作り出された、日本の伝統がぎっしりつまった場所です。しかし、一つ一つの農耕地が小さく大規模農業が営めないために現在は、荒廃の一途を辿っています。こうした中、里山を活用しようという動きが日本各地で始まりました。例えば、以下のような目的で活用されています。

  • 荒廃してしまった里山を復元する活動
  • 伝統工芸の再生
  • 伝統的な日本の景観を保全する活動
  • 環境教育
  • 生物多様性を保全する活動

里山での活動は、日本の地域社会において大きな動きとなっています。
最後に、持続可能な社会に向けた、学生の活動をお話します。

日本の環境サークルの数はどんどん増えています。1990年代前半には10団体ほどしか知られていませんでしたが、現在は約200団体が活動しています。サークルに限らず、大学で環境問題や自然を研究する学生も増えてきました。

環境サークルの活動テーマはごみ問題、地域の環境問題、環境政策などです。環境問題に関心のない人を巻き込みながら、自ら問題を解決していこうとする主体的な態度の学生が多く活動しています。また、反対運動をするのではなく政府や企業などと協働してものごとに取り組むことが一般的に好まれています。

それではまず初めに、一般的な環境活動、リユース市について紹介したいと思います。これは、卒業生が不要になった電化製品や家具を新入生に譲り渡すことを環境サークルが手助けするものです。これにより、引越し時に出るごみの量と費用が削減されます。30以上の大学がこのリユース市に取り組んでいます。

また、環境教育では、大学生が小学校を訪れて、子どもたちが自然を感じたり、環境問題について知ったり考えたりするのを手伝います。小学生だけでなく、大学生や学校の先生も新しいことを学ぶことができる、とても意義のある機会です。

そして、多くの学生グループが環境問題の勉強会を開いたり、研究したりしています。基礎的な知識を勉強会で学び、その後機関紙で報告したり、他の学生に発表したりしています。

それでは次に、エコ学園祭について詳しくお話します。多くの大学では、大学学園祭が一年に一度開かれます。そして、規模の大きい大学では、学園祭開催中に数トンのごみが出ます。学園祭での一番大きな環境問題は、ごみの問題です。そこで何年か前に、学生がエコ学園祭を始めました。エコ学園祭の目的は、ごみの削減だけでなく、来場者に環境問題に関心をもってもらうことです。使い捨て容器の量を減らす方法は、いろいろとあります。例えば、何度も使える容器で行うデポジットシステムや、生分解性の環境にやさしい使い捨て容器を導入する方法、また使い捨て容器を洗って、リサイクルする方法などがあります。

また、環境サークルのメンバーや個人からなる、エコ学園祭ネットワークという団体があります。学生同士が情報を共有したり、イベントを一緒に開催したりしています。現在、約70の大学でエコ学園祭が開かれていますが、およそ150名の学生がエコ学園祭ネットワークのメーリングリストでつながっています。

その他日本には、インターカレッジの環境サークルがたくさんあります。全国の若者をつなぐ日本で一番大きいネットワーク組織には、150の精力的な団体が参加しています。この組織は情報を発信したり、イベントを開催したりして、環境を良くしたいと思っている人や団体を支えています。

そして最後に、環境問題や南北問題などの社会的不公正の解決を目指す組織を紹介したいと思います。こうした団体は国際的なネットワークを持ち、若者に情報提供を行い、またアクションによる問題の解決方法を主張しています。

若者は、社会の中で重要な役割を果していると思います。私たちは、他の世代と共により活発に活動し、持続可能な社会を目指したいと考えています。

この記事の関連したニュースです
RELATED NEWS
【イベント報告】日米学生環境会議2006
【イベント報告】日米学生環境会議
【イベント報告】日米学生環境会議2005
JFS-Youthチーム
学生環境活動
Creative Commons