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形態・構造をまねる -- ふくろう・カワセミに学ぶ


鳥に学んだ高速新幹線の開発 〜 騒音削減の秘密とは?
JR西日本試験実施部長(当時) 仲津英治氏の事例風洞の中のフクロウとカワセミの写真

背景

1990年、JR西日本で新たな新幹線開発プロジェクトが立ち上がりました。「最高速度300キロを目指す新型新幹線500系」の開発です。当時、東京-博多間の移動にかかる時間は、新幹線で6時間、飛行機では1時間半でした。JR西日本は、運送業界で勝ち残るために、高速新幹線の開発を目指していたのです。

課題1

しかし、その開発は一筋縄では行きませんでした。新幹線の高速走行実験を繰り返す中で、空気との衝突が原因で起こる騒音が問題になったのです。住宅のすぐ脇を走らなければならない日本の新幹線の騒音基準は世界一厳しく、75ホン以下と定められていました。この騒音基準は、一般の掃除機が出す音より小さいというのですから驚きます。

騒音の原因の一つは、電線から電気を供給するために車体から出っ張っている「パンタグラフ」でした。この出っ張りは、高速になるほど空気抵抗を増し、騒音の原因となる大きな空気の渦を発生させます。

自然に学ぶ

ふくろうの羽根仲津氏は、趣味のバードウォッチングに出かけた時に、鳥の中でフクロウが一番静かに飛ぶことを友人から聞きました。そこで氏は、フクロウに独特な風切り羽根に注目。風切り羽根にあるノコギリ状のギザギザが空気を拡散し、静かな飛行を実現することを発見しました。そして、新幹線のパンタグラフに風切り羽根をまねたギザギザをつけ、30%の騒音削減に成功したのです。

セレーション
セレーション(Serration)

五〇〇系電車の屋根上の翼型パンタグラフ

課題2

騒音に関するもう一つの問題は、新幹線が高速でトンネルに入る時に、トンネル出口付近で大きな音が発生する「トンネルドン現象」でした。新幹線がトンネルに入る時に、車体が揺れるように感じたことがありませんか? その正体がトンネルドン現象です。この騒音は、空気鉄砲が「ポン」と音を出して勢いよく発射するのと同じ原理で起こります。

自然に学ぶ

水に飛び込むカワセミここでも仲津氏は、騒音削減のヒントを鳥から得ました。カワセミは、餌を採るために高速で水中に飛び込みますが、水しぶきがとても小さいことが特徴です。氏らプロジェクトチームは、この小さな水しぶきの秘密を求めて研究を続けました。そして、カワセミのくちばしは、最も空気抵抗が小さい形をしていることが分かったのです。1996年3月、カワセミのくちばしにそっくりな先端を持つ新幹線が開発され、「トンネルドン現象」は見事克服されたのです。

五〇〇系新幹線電車

参考

写真提供

風洞の中のフクロウ - 矢島誠一氏
フクロウの羽根とセレーション(Serration) - 羽根提供 疋田章二氏、笹川昭雄氏
新幹線のパンタグラフ五〇〇系電車の屋根上の翼型パンタグラフ、五〇〇系新幹線電車 - JR西日本
カワセミ - いずれも有田正郎氏

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本プロジェクトは、財団法人 日立環境財団(平成16年度環境NPO助成)の支援によって実現しました。

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