政策・制度・技術

2016年03月25日

 

酵素と微生物で燃料製造、日本の技術がタイで生きる

Keywords:  環境技術  再生可能エネルギー  国際 

 

写真: サトウキビ畑と収穫したサトウキビ
サトウキビ畑と収穫したサトウキビ(右下)
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タイでは、国産の植物原料からエタノールを生産し、ガソリンに添加するとり組みが進んでおり、日本企業のバイオ技術が役立てられようとしています。節電・蓄電・発電の最新ニュースを発信しているスマートジャパンの許可を得て、記事を要約し、タイにおける日本のバイオ技術活用の取り組みについてご紹介します。

タイ政府はガソリンの正味の消費量を減らすために、エタノール(エチルアルコール)をガソリンに添加する政策を進めている。2013年には無添加のガソリンの販売を禁止してしまった。現在、タイ国内ではエタノールを添加した「ガソホール」を利用している。混合比率によって3種類に分かれ、「E10」(10%混合)の他、E20とE85が販売されている。

新政策を打ち出した2013年時点で、タイ国内には既に21カ所のエタノール製造工場が稼働している。主な原料は、サトウキビから取り出された糖蜜、キャッサバ。2014年時点では、燃料用エタノール生産量は年産100万kL(日産3000kL)に達し、これは世界第5位である。

タイはバイオ燃料に関連する大目標を2022年に達成しようとしている。例えば、2022年時点でバイオエタノールの消費量を現在の3倍に相当する9000kL/日に高める。タイが意欲的なのは先進的バイオ燃料の生産目標量も定めたことだ。バイオエタノールの目標消費量の3倍近い2万5000kL/日とおいた。

先進的バイオ燃料とは、糖蜜やデンプンなど発酵しやすい物質からではなく、扱いにくいセルロースから作り出した燃料をいう。現時点で先進的バイオ燃料の商業生産を行っている国はない。製造コストが高すぎるからだ。

サトウキビから砂糖をとり出す際、糖蜜の他にもう1つ食品廃材が生じる。繊維質の「バガス」だ。バガスはセルロースに木質のリグニンが混ざったもの。このままでは発酵しないため、エタノールを取り出すことは難しい。バガスのうち60~80%は精糖工場のボイラー燃料として利用しているものの、それ以外は廃棄されているという。

以上の2つの問題を解決する可能性をもつのが日本の技術だ。「サトウキビ由来のバガスを利用して、1L当たり18タイバーツでバイオエタノールを生産する技術を確立する」(新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDO)。数値目標を立てた2012年時点で49円/Lに相当する。生産規模が年産1万7000kLに達した時点で18タイバーツが実現可能になるという見込みだ。

NEDOは2015年8月31日、タイのサラブリ県に建設したバイオエタノール製造プラントの実証運転を開始したと発表した。予算規模は2012年度から2017年度までを合計して約12億円(うちNEDOが10億円)。

「タイの主要な精糖企業であるThai Roong Ruang Energyのサラブリ精糖工場に隣接してプラントを立ち上げた。原料の入手には事欠かない」(NEDO)。300平方メートルの敷地を利用し、バガスを年間1300トン処理する能力がある。

投入した主な技術は「酵素オンサイト生産技術」と「同時糖化発酵技術」。セルラーゼ生産糸状菌が、セルロースを分解する酵素セルラーゼを工場内で作り出す。これが酵素オンサイト生産技術だ。

前処理装置では、木質のリグニンとセルロースを分離し、糖化発酵槽に原料を移す。ここで先ほどのセルラーゼを加えて、セルロースからグルコース(ブドウ糖)を作る。同時に、糖化発酵槽に酵母を加えて、グルコースからエタノールを作り出す。これが同時糖化発酵技術だ。

完成した実証プラントの生産能力は年産100kL。「今回の実証運転によって、商業プラントの設計に必要なデータと、18タイバーツを実現するために必要なデータを集める。日本企業によるタイ国内の商業プラントが広がることを目指したとり組みだ」(NEDO)。

商業生産に至っていない先進的バイオ燃料と、現在の糖蜜などを利用したバイオエタノール燃料の中間、いわば橋渡しとなる技術の開発にも、日本企業が参加している。対象はキャッサバだ。

写真:キャッサバ畑と収穫したイモ
キャッサバ畑と収穫したイモ(右上)
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タイのキャッサバ生産量は世界第4位であり、2000万トン(イモ分)を超える。キャッサバはイモを実らせ、このイモからでんぷんに富むタピオカを製造する。現在、タイ国内ではキャッサバを利用したバイオエタノール製造工場が多数稼働しており、生産能力は糖蜜によるものとほぼ同程度だ。

ただし、キャッサバの利用方法に課題がある。本来タピオカとして利用できるでんぷんを発酵させてバイオエタノールを製造していることだ。

NEDOとタイ科学技術省国家イノベーション庁は、2014年4月、タイ国内でキャッサバパルプを利用したバイオエタノールの実証プラントの運転を開始している。

この事業では、イモからでんぷんを抽出した後のタピオカ残渣を利用する。これをキャッサバパルプと呼ぶ。キャッサバパルプには利用しきれなかったでんぷんが残っているため、両社が開発した高温発酵酵母を役立てる。

製造プラントでは乾燥キャッサバパルプを年間1000トン処理する能力があり、バイオエタノールの生産規模は年産80kL。同プロジェクトでも商用プラントの事業化に必要なデータを取得する。

出典:スマートジャパン

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