エネルギー・地球温暖化

2013年05月22日

 

「自然エネルギー白書2013」に見る最新動向と課題

Keywords:  再生可能エネルギー  大学・研究機関 

 

JFS/「自然エネルギー白書2013」に見る最新動向と課題
日本国内の自然エネルギーによる発電量の推計値(2011年度まで)
国内の全発電量に占める割合は、大規模な水力を含めても約10.5%(ISEP調査)
Copyright 環境エネルギー政策研究所


環境エネルギー政策研究所(ISEP)は2013年5月、「自然エネルギー白書2013」を発刊した。日本のエネルギー統計では化石燃料や原子力が重視され、自然エネルギーについては整備が遅れている中、ISEPでは公開データを組み合わせて推計し、日本国内の自然エネルギー導入の現状やトレンドを、2010年から毎年「自然エネルギー白書」にまとめている。

日本国内の全発電量に占める自然エネルギーの割合は、大規模な水力を除いて3.8%程度にとどまっている。その中で急成長している太陽光発電の割合もまだ0.5%程度と推計されているが、2012年末の累積導入量は700万kWを超えた。

しかし、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電および水力発電については、発電所や地域ごとの発電量の実績データなどはほとんど整備されていない。発電所の数が少ない地熱発電だけが、自然エネルギーの中で唯一、毎年度の発電量まで公開されている。

自然エネルギーの導入状況を多くの関係者が共有し、広く国民の理解を得るためには、関連する統計を包括的に整備する仕組みが今こそ必要とされている。2012年からスタートした固定価格買取制度については、設備認定の実績が都道府県別に毎月公開され始めているが、認定設備の一覧や実際の電力の買取実績などの公開が望まれる。さらに、太陽熱、バイオマス、地熱などの熱利用についても、設備の導入状況からデータを整備する必要がある。

世界的には、さまざまな国際機関や業界団体が自然エネルギーの統計データを公表している。REN21(21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク)は世界の自然エネルギーの包括的な状況の把握などを目的に、2005年から毎年「自然エネルギー世界白書(Renewables Global Status Report)」を発行。IRENA(国際自然エネルギー機関)は、2012年より途上国での自然エネルギー統計の整備を目的にREDAF(Renewable Energy Database Framework)を提唱し、REN21と共同で世界各国の自然エネルギー統計の整備を進めている。ドイツでは、連邦環境省(BMU)の下に自然エネルギー統計の専門機関(AGEE-stat)を設け、毎年ドイツ国内の自然エネルギーの詳細な統計を公表している。

環境エネルギー政策研究所 (ISEP)
松原弘直

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