ニュースレター

2012年07月24日

 

2030年に社会を担う若者たちの声「若者の視点でエネルギーを考える~エネ若の集い」

Keywords:  ニュースレター 

 

JFS ニュースレター No.118 (2012年6月号)

JFS/Listening to the Voices of the Young Who Will Lead Society in 2030 -- A Meeting to Consider Energy Issues from the Perspective of Today's Youth
Copyright 幸せ経済社会研究所


日本政府が新しいエネルギー基本計画の策定に向けて、経済産業大臣の諮問機関として資源エネルギー庁に設置している「基本問題委員会」。この25人の委員のうち、私を含め、女性委員はわずか4人しかいません。女性の声を少しでも委員会につなぎたいと、2012年1月31日に、100人近い女性の参加を得て、「エネ女の集い」を開催しました。ちなみに、基本問題委員会では開催してくれませんでしたので、自主企画として開催しました。

JFS記事:
新しいエネルギー基本計画に向けて

今回は、それに続いて3月17日に開催した、10~20代の若者と「若者の視点でエネルギーを考える~エネ若(ヤン)の集い」についてご紹介しましょう。

基本問題委員会の委員の年齢構成は、60歳以上の占める割合が64%、39歳以下の人が一人もいないというもので、世代的に偏りがあり、若者の声をあまり聞くことのできない構成です(日本の人口のうち60歳以上の占める割合は約30%、39歳以下の人が約40%を占めます)。年長者の経験や知恵を活かせるメリットはあるものの、今後の日本のエネルギーをどうするかは、あらゆる人に影響を及ぼすことであり、性別や世代などを含め、広く国民的議論をおこなって政策に反映すべきとの観点から、2030年に社会の中心を担う現在10代や20代の若者の声も反映すべきと考えました。

そこで、今回も自主企画として、34人の若者の参加を得て、「若者の視点でエネルギーを考える集い」を開いたものです。高校生12人、大学生・大学院生17人、10~20代の社会人5人がグループに分かれ、3時間にわたって、「エネルギーについて考えることはなぜ大事なのか?」「これからの日本のエネルギーはどうあるべきか? その理由は?」「2030年という先を考えたとき特に大事なのは何か?」などを議論し、全体で共有しました。

JFS/Listening to the Voices of the Young Who Will Lead Society in 2030 -- A Meeting to Consider Energy Issues from the Perspective of Today's Youth
Copyright 幸せ経済社会研究所


基本問題委員会の事務局からも6人ほど参加し、「日本はどれぐらい発展すべきなのか」「幸せと経済成長はどういう関係なのか」といった高校生をはじめとする若者の議論などに耳を傾け、意見交換をしました。最後には、若者たちから枝野経済産業大臣と基本問題委員会あてへの手紙を書いてもらいました。

若者の議論では、「そもそも日本がどういった社会を今後求めていくのか、何を国民の幸せとするのか、それがエネルギーを考える上で一番大事なのではないか」「持続可能性を考えて、100年先まで使えるシステムをつくってほしい。目先の成長は止まるかもしれないけれど、その後50年、100年先の人たちにとって良い、真の成長ができるようなことを今考えていってほしい」「エネルギーを選択できる社会を」「化石燃料や核燃料など、将来に禍根を残さない政策を」等、エネルギー供給の議論だけではなく、「どういう社会をつくりたいか」から始めてほしいという声が相次ぎました。

基本問題委員会では、すぐに「原発○%、自然エネ△%、化石燃料□%」と数字を議論したがりますが、それ以前に、めざす社会像やエネルギーに対する基本的な考え方(選択の度合いや、分散型か集中型かなど)を考えるべきだし、考えてほしいという若者たちの思いに、強く共感しました。

終了後には「同世代と熱く未来について話し合えた、すばらしい機会となった。また、多くのオブザーバー、特に日本の政策策定をしている人々が立ち会い、私たちの考えに耳を傾けてくれたことは、この会が一過性のものではない、価値あるものであるように思えた」「日本のエネルギー政策策定に若い年代の人たちの意見も反映してもらいたい」「今回のような対話の場づくりを希望します!」といった感想が寄せられました。

JFS/Listening to the Voices of the Young Who Will Lead Society in 2030 -- A Meeting to Consider Energy Issues from the Perspective of Today's Youth
Copyright 幸せ経済社会研究所


以下は、参加した若者たちから寄せられた生の声です。

「枝野大臣と基本問題委員会のみなさまへ
私が一番に考えて欲しいことは、私たちの世代が受け継ぐことができるエネルギーを考えて欲しいということです。私たちは学校で、このような問題について考える時間を設けられていません。だからこそ、考える時間や対話する時間をもっと増やして欲しいと願います。(18歳)」

「エネルギーを考えること。どうしていくかということ。これは、3.11を経験した日本が今後どのように成長していくかにあたって、とても重要なことだと思います。ゆっくり時間をかけて、国をあげて大々的に『国民的議論の場』を作っていかなくてはいけない。『議論』をしましょう。(23歳)」

「エネルギー政策を策定するにあたって、考えるべき多くのことがあると思います。しかし、いくつか『この点だけは』忘れて欲しくないポイントを下に書きたいと思います。『国民との対話』、『自然との共生』です。1つ目は、やはり信頼関係を構築させるためにも、国民と意見交換する場が不可欠だと考えます。次に、どんな課題があるにせよ、自然と共生していくことは第一に大切です。どんどんと進めていってほしいと思います。(21歳)」

「これから先、日本におけるエネルギー問題は、日々深刻になっていくのではないかと思う。どういう目的で、どういう利点があるから、この方法を進めていく、という明確な理由を、はっきり提示してもらいたい。今後、日本で生きていく若年層の意見等も取り入れ、良いものを作り上げてもらいたい。(16歳)」

「私は今後まさに話し合われていく中で、持続可能性を一番に考えて欲しいと思っています。自然との共存はもちろんのこと、100年先まで使えるシステムを作ってください。それで、目先の成長は止まるかもしれませんが、それ以降、50年、100年先の人たちにとって良い、真の成長を期待します。自然エネルギーの無限の可能性に期待しています。(17歳)」

こうした声や思いが、今後の国民的議論や建設的なエネルギー政策策定につながることを切に願っています。

参考:
連載コラム 第13回 「若者の声をエネルギー政策へ」
【動画Up】3/17(土)「若者の視点からエネルギーを考える~エネ若の集い」


(枝廣淳子)

English  

 


 

このページの先頭へ